『資本市場等を活用した地域活性化に向けての公認会計士の役割』 | ||||||||
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パネルディスカッションのテーマ | ||||||||
地域経済が衰退している状況では、雇用・消費が失われ、個人・企業所得が減少しており、人口減少や企業の倒産を招く状況となっている。地域への貢献として、公認会計士はこれまで積極的に関与していなかったが、公認会計士に対する社会からの期待は高まっている。 これを受けて、地域経済の衰退原因と地域活性化のために期待される公認会計士の役割とは何か、また地域で活動する公認会計士の将来像についてディスカッションが行われた。 |
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地域経済衰退の原因分析について | ||||||||
広島市立大学国際学部教授 二村英夫氏 | ||||||||
日本の抱える構造的な問題として、急速な少子高齢化の進展という人口問題と、首都圏への人材・資金・技術の一極集中が挙げられ、海外との関連では、貿易の自由化や生産拠点の海外シフトに加え、金融の自由化と世界的な資本市場の拡大が挙げられる。 公認会計士に対しては、地域の抱える構造的な問題を認識したうえで、世界の金融・実体経済の動きを把握し、財務+αのエキスパートの役割の発揮、金融経済の維持発展に資する活動を期待したい。 |
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地域活性化に向けた広島県の取り組み〜ひろしま未来チャレンジビジョン〜 【ひろしまイノベーション推進機構の設立】 |
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広島県知事 湯崎英彦氏 | ||||||||
人口減少やグローバル化など、大きな環境変化が進む時代の転換点にある中、@人づくり、A安心な暮らしづくり、B豊かな地域づくり、C新たな経済成長という4つの挑戦によって広島県の底力を引き出すべく、重点施策として「ひろしまイノベーション推進機構」が設立された。 県内には、資金面や経営体制面の不足によって新たな成長が困難となっている企業が多数存在しており、これらの企業に対してリスクマネー(成長資金)の投資を行うとともに、ハンズオン(技術・人材、マーケティング等)支援を行い、企業の成長を促進して雇用の創出、所得の拡大を図る必要がある。 ひろしまイノベーション推進機構は、広島県、民間金融機関及び県出資ファンドから総額100億円の資金調達を行い、これを県内企業へのリスクマネー投資とするとともに、企業へのハンズオン支援を行っていくスキームである。 機構のガバナンスは重要事項であり、公認会計士による監査などによって、機構の行う投資の透明性を高める必要がある。 |
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地域金融機関の立場から | ||||||||
株式会社広島銀行 法人営業部金融サービス室長 房安徹也氏 | ||||||||
金融機関の提供するサービスの中で公認会計士とのかかわりが深いものは、事業承継(親族内、M&A)、事業再生である。 事業承継、事業再生ともに事業計画の策定は重要であり、公認会計士には中小企業に対する中期経営計画の策定支援を期待したい。金融機関との間で『会話』できるような中期経営計画が策定できれば、資金調達がしやすくなるという企業メリットもあると考える。 |
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地域で活動する公認会計士の立場から | ||||||||
公認会計士 藏田 修氏 | ||||||||
中国会会員(平成23年6月30日現在)の所属形態は、全会員406名のうち、監査法人勤務者が199名、個人が200名、企業・官公庁勤務者が7名となっている。監査・税務業務以外の公認会計士の活動範囲としては、今後は、M&Aや企業再生案件のアドバイザー、デューデリジェンスおよび企業価値評価業務などのFAS業務の重要性が増すと考えられる。 また、ひろしまイノベーション機構には中国会会員2名が社外取締役、社外監査役に就任しており、県の重要施策として設立されたファンド運営の当事者として、経営に参加している。 |
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(報告:常田英貴) |
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