「正義と科学」(植田肇氏を偲ぶ)

島征一郎

 
 「智にはたらけば角が立つ、情に棹させば流される、意地を通せば窮屈だ、とかくに人の世は住みにくい」
 漱石の時代も今日も変ることはない。妥協に妥協を重ね波風を避けて身過ぎ世過ぎに追われる。
 しかしそうでない人たちもいる。正義と科学的態度を、仕事の中に市民生活の中に貫く人たちもいる。
 植田先生もそんなお一人だった。筆者(島)はこの9月に日本公認会計士協会を退会するが、後の十年、この心意気だけでもしっかり持って、なすべきことをなしたい。