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第43回 リレー随筆 | |
クワガタといた夏 |
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田附貴章 |
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昨年還暦を迎えた妻の両親をこの7月末の休みを利用して淡路島旅行に招待しました。淡路島へ旅行に行くことになったのは、私の長男が2歳でまだ幼いことと、7月にして暑さが厳しいということで近場にしようと思い至ったわけです。淡路島に旅行に行くと決まり、神戸からバスで1時間半という手軽さから、妻の姉家族も参加することとなったが、残念なことに、出発3日前に姉家族の子供が病気になったため結局参加できなくなってしまいました。 淡路島は、シンガポール島とほぼ同じ面積を持つ島で北端を明石海峡大橋、南東端に紀淡海峡、南西端で鳴門海峡により本州、四国と繋がっています。有名人では、上沼恵美子、大地真央の出身地です。 さて、淡路島に旅行に行くにあたり、両親に喜んでもらえる旅行にするべくいろいろ調べた結果、温泉をメインに考えていこうと決めました。温泉といっても数ある温泉の中で自分達だけで厳選できるわけでもなく、穴場を目指すなどの冒険もできないので一番確実な方法として最もメジャーな温泉旅館に決めました。そう、淡路島の旅館といえば、CMでおなじみの、“♪ホテルニュ〜あ〜わ〜じ♪”に決めました。淡路島の老舗中の老舗だけあり、施設(施設内にプールがあり、うちの子供も楽しめた。)、料理、サービスとも非常に充実していました。特に温泉は、‘くにうみの湯’、‘棚田の湯’など複数の温泉を兼ね備える充実ぶりで両親にも喜んでもらえたのではないかと思います。 さあ、両親にも喜んでもらえ親孝行できたことだし、帰りに支度をしてチェックアウトにフロントへ行くと、なんとカブトムシ、クワガタがペアでそれぞれ1,000円で売られていました。カブトムシ、クワガタといえば子供達にとってはいまだに絶大なる人気を誇っていますが、都会に住む子供には専門店で買う以外ほとんど縁のない非常に希少な昆虫になってしまっています。私も20年以上前、親に一度買ってもらって以来で生でお目にかかることは本当に久しぶりでした。年甲斐もなく興奮してしまい、都会じゃこんなに安く手に入れることはできない。ましてや自然のものは、まず手に入らないし、自然のペアだから交尾もするし、そこから卵を産むこともできるので(ホテルの担当者談)、成虫になるまでしっかりと面倒をみるからといろいろ昆虫嫌いの妻に説明し、さらには、旅行に来れなかった甥っ子へのお土産とたたみかけ、カブトムシとクワガタのペアそれぞれ一組づつ手に入れることができました。ホテルの担当者が用意してくれたのは、それぞれのペアを入れる小さなかごと昆虫ゼリーのみで、家に帰ると大きいかごに替えるよう指示を受けました。 無事帰宅して翌日妻に頼んでコーナンで大きいかごと昆虫マット(土のこと)、立木などを購入してもらい、その日のうちに引っ越しを済ましてあげました。するとその翌日の夜、隣の部屋で‘キー、キー’と音がなるので見に行くとカブトムシが交尾を始めていました。早速、引っ越しをしてあげて環境を替えた効果が出たことが嬉しく思い、さあ次は卵を産んでそれを成虫にする準備をと考えていました。ただ、その想いもつかの間、その翌日妻が姉に連絡し甥っ子のお土産にカブトムシとクワガタを買ってきてるからどちらかあげると約束してしまい、案の定甥っ子はカブトムシが欲しいと言ってきたためカブトムシとの楽しい一時は一瞬にして終ってしまいました。 ![]() そんなある日買い始めて1ヶ月くらいが経ったころ、朝カゴの中を見てみるとオスがひっくり返って死んでいました。 |
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![]() メスは大丈夫かなと探しましたが彼女は非常にシャイなのかほとんど土の中にいるためあまりお目にかかれないのですが夜かごを覗くと元気に餌を食べてました。 オスが死んだのでメスはそろそろ卵を生むんじゃないかと思い、クワガタは朽木に卵を生みつけるため、今はその準備をして卵を生んでくれるのをいまかいまかと待ち続けています。週末に朽木の中を探すのですがまだ生んでないようです。 今年の夏は、二十数年ぶりにカブトムシとクワガタに出会い、久しぶりに生き物を育て観察する充実した夏をすごせました。今思いますと親孝行したので神様からご褒美を貰えたんじゃないかなと思います。親孝行は親が生きてるあいだしかできませんので、できるときにしとかないとあきませんね。 |