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日本監査役協会関西支部と日本公認会計士協会関西地区三会との |
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「過年度遡及会計基準」について |
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監査会計委員会副委員長 山添清昭 |
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平成23年7月14日、日本監査役協会関西支部と日本公認会計士協会関西地区三会との共同研究会が開催されました。近畿会の監査会計委員会より、新たに導入された「過年度遡及会計基準」について、報告を行いました。 | ||||||||
1. はじめに | ||||||||
平成21年12月4日付けで、企業会計基準委員会(ASBJ)より、企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(以下「過年度遡及会計基準」という。)及び企業会計基準適用指針第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用指針」(以下「過年度遡及適用指針」という。)が公表されました。国際的な会計基準にみられる、会計方針の変更、表示方法の変更及び誤謬の訂正が行われた場合の、過去の財務諸表の遡及処理に関する取扱いや会計上の見積りの変更に関する取扱いが示されました。過年度遡及会計基準は、平成23年4月1日以後開始する事業年度の期首以後に行われる会計上の変更や過去の誤謬の訂正から適用が求められることになります。 今後対応が求められることになる「過年度遡及会計基準」をめぐる改正の内容を整理し、報告を行いました。報告では、新基準の内容をおさえること、改正される趣旨・狙いをわかりやすく説明すること、過年度遡及適用指針に示されている設例の注記例について紹介することに重点を置きました。文中意見に関する箇所は、報告者の個人的意見によるものであることをご了承ください。 |
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2. 報告の内容 | ||||||||
「過年度遡及会計基準」のそれぞれの項目について、以下の観点より、報告を行いました。報告の内容、強調したところを報告のポイントに記載しています。 | ||||||||
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上述のうち、「過年度遡及会計基準」をめぐる改正の状況、新基準の全体の構成、新基準の重要ポイントについては、近畿C.P.A.ニュースの6月号「『会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準』について」(拙著)(同6月号P4〜P8)において、まとめていますので、ご参考にしてください。 | ||||||||
3. おわりに | ||||||||
過年度遡及会計基準の導入により、会計方針の変更や会計上の見積りの変更が生じた場合の注記の記載の仕方は、これまでのものと大きく異なることになりました。また、会計上の変更と過去の誤謬の訂正の取扱いとの区分が明確になります。会計上の変更は、会計方針の変更、表示方法の変更、会計上の見積りの変更に区分され、それぞれで取り扱いが異なります。とくに、過去の誤謬が生じた場合の会社と監査人の対応には、留意が必要となります。 新たに、比較情報の概念が財務諸表に導入され、有価証券報告書、四半期報告書の財務数値に比較情報の記載が求められるようになりました。当期の監査意見の対象となる当期の財務諸表に比較情報としての前年度数値等も含まれることになり、監査上、比較情報の監査が求められることになり、注意が必要です。以上のように、会計上の変更、過去の誤謬の訂正など、これまでの取扱いと大きく変更になっています。新たに導入された過年度遡及会計基準の取り扱いに慣れる必要があると考えます。 以上が、報告の内容です。報告終了後、出席された監査役より、「過年度遡及会計基準」を踏まえて、会社法上、どのような点に気をつけたらいいか。また、例えば、税務調査があって修正申告を求められたときに決算上どのような対応をすればよいか等の質問があり、意見交換を行いました。 |