報告
準会員会活動報告

法律勉強会～民事再生手続の実務～

日本公認会計士協会準会員会近畿分会幹事 髙木真一郎
　
1. はじめに
　平成23年６月18日、日本公認会計士協会準会員会近畿分会では、『民事再生手続の実務～再生会社の視点、債権者の視点から～』と題し、勉強会を開催しました。
　講師に北浜法律事務所より山口要介弁護士、谷川聡弁護士、大江橋法律事務所より定金史朗弁護士をお招きし、税務の視点を交え、我々会計士に求められる能力に重点を置いた講義をリレー形式でしていただきました。
当日は準会員、正会員合わせて約50名の方々にご出席いただき、非常に盛況な勉強会となりました。
　
2. 勉強会内容
第１部　事業再生入門（講師　谷川弁護士）
第２部　事業再生におけるM&Aスキームの活用（講師　定金弁護士）
第３部　倒産手続と税務（講師　山口弁護士）
　
〈具体的内容〉
第１部
　まず始めに、谷川弁護士より、事業再生の手法としての民事再生について、制度の概要を解説していただきました。数ある事業再生の手続の中で、民事再生手続が法的にどのような位置づけであるのか及び実際の手続のスケジュールを中心に講義していただきました。また、講義の中で担保の取り扱い、相殺の規定、リース債権の取り扱いなどの詳細な論点まで丁寧なご解説をいただきました。
　
第２部
　次に、定金弁護士より、事業再生手続の中で用いられる事業分離、会社分割について解説していただきました。両者の違いについて法律上の取り扱いを中心にご教示いただき、我々の理解も一層深まりました。更に、最近の事業再生におけるM&Aの事例を用いてトピックとなる論点について詳細に解説していただきました。
　非常に複雑な論点ではありましたが、丁寧にご解説いただき、参加者のみなさまも熱心に耳を傾けておられました。
　
第３部
　最後に税理士資格もお持ちの山口弁護士より、事業再生手続における税務上の留意点についてご講義いただきました。最近の税制改正論点も踏まえ、特に民事再生手続における特例を中心に解説していただきました。民事再生手続において最も慎重な検討を必要とする資金繰りに、税務が与える影響の重要性を理解することができました。
　また、債権者側が民事再生に賛成することにより得られる税務上の恩恵についてもご解説いただきました。債務者である民事再生会社側にとっても債権者側にとっても、民事再生が賛成される時期によってタックスプランニングが大きく異なることを理解させていただきました。
　
　全編通して再生会社における手続だけでなく、債権者の視点を常に意識した講義をしていただき、監査業務においても活用できる内容でした。先生方のご経験に裏付けられた確かな講義をしていただき、限られた時間の中でしたが非常に密度の濃い勉強会であったと感じています。
　
3. 参加者の声
　勉強会後に実施したアンケートにお寄せいただいた感想の声より、一部を抜粋し紹介致します。
【本日の勉強会の感想がありましたらご記入ください。】
・ 大変勉強になりました。次回ありましたらまた参加したいと思います。
・ もとより興味のある分野でありましたし、その分野にいかなる知識が必要となってくるか知ることができ、有益でした。
【今後行ってほしいテーマ・実施して欲しいイベントなどがありましたらご記入ください。】
・ 民法に特化したイベント、会社法に特化したイベント
・ M&A、上場準備
・ 事業再生サービスのビジネス的な観点も踏まえて、その他再生手法の勉強会を希望します。
【今後、弁護士にお聞きしたい内容がありましたらご記入ください。】
・ 弁護士の領域の中で、会計士と連携していく領域についてどのようなものがありますか。
・ 非上場株式の時価（評価）が争いになったケースにおいて、裁判所が認定する評価方法はどんなものがありますか。
　いただいたコメントの多くが事業再生、組織再生について触れられており、今回の勉強会のテーマに関心を持っていただけたと感じています。また、弁護士の方と協力して仕事をしていくことや、事業再生のみならず法律についての勉強会を希望する声が多数寄せられました。今後いただいたコメントを参考に、みなさまに興味を持っていただける勉強会を継続的に開催させていただきたいと考えております。
　
4. 最後に
　休日にも拘わらず多数の方にご参加いただき、ありがとうございました。今回の勉強会は準会員のみならず、正会員の方にも多数ご参加いただき、私たち準会員会にとっても良い刺激をいただきました。
今回の勉強会がみなさまのキャリアプランの一助となれば幸いです。
　そして、今回の勉強会のためにご準備くださったみなさまに改めて厚く御礼を申し上げます。