|
||||||||||||||||||||
税理士法改正に関するアンケート調査 |
||||||||||||||||||||
日本公認会計士協会近畿会 会報部 |
||||||||||||||||||||
はじめに | ||||||||||||||||||||
日本公認会計士協会近畿会(会報部)は、表題のアンケート調査を実施しました。ご回答頂きました方々には、本紙面をもって厚く御礼申し上げます。 本アンケートは、「税理士法に関する意見(案)」について会員・準会員がどのような意識を持っているのか調査することによって、今後の公認会計士業界(協会)としての目指すべき方向性の一端を検討したいという趣旨から実施しました。 従って、純粋に集計された回答結果を示し、別途頂きましたコメントについては抜粋の上、原則として原文のまま(明らかな誤字脱字は修正)掲載しております。その上で会報部としての分析や説明を記載しております(分析・説明文書は会報部の独自意見であり、文責は会報部にあることをお断り致します)。 |
||||||||||||||||||||
調査の概要 | ||||||||||||||||||||
(1)調査の目的 | ||||||||||||||||||||
日本税理士会連合会が平成23年
6月30日に発表した同年4月21日付けの日本税理士会連合会税理士法改正特別委員会の「税理士法に関する意見(案)」(以下「意見(案)」とする。)では、「税理士になる公認会計士については、税法に属する科目のうち税理士試験において必須科目である所得税法又は法人税法のいずれか1科目の合格が必要である。」として、税理士法改正案を提案している。この動きに対し、日本公認会計士協会は反対意見を表明するとともに、税理士法改正反対署名活動を実施した。 近畿会会報部では、協会本部の税理士法改正反対署名活動に先立ち、近畿会会員・準会員の「意見(案)」に対する意識を確認し、協会本部に対し会員・準会員の意見を汲み上げた上で対応してもらうことを目的としてアンケートを実施した。 |
||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
回答者属性 | ||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
質問1〜4の回答者属性について、まず年代別で見ると、20代と30代で67.6%を占めており、40代まで含めると実に84.0%となる。 所属別では、監査法人に所属している者だけで81.1%を占めている。個人事務所所属の回答は16.4%であるが、この中には既に税理士登録をしている者もあると思われるが、昨今の監査法人への就職難から税理士未登録で個人事務所に所属している者からの回答も推定される。 キャリア別では、20年以下で80.7%を占めている。その中でも7年未満では、51.6%となっている。 回答者属性の大きな特徴として、監査法人に所属しているキャリア7年未満からのシニア・スタッフからの反応が大きかったと思われる。 |
||||||||||||||||||||
□質問5 あなたは現在、税務業務へ従事されていますか? | ||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
回答者全体の回答結果は次のとおりである。 | ||||||||||||||||||||
![]() |
||||||||||||||||||||
年代別で見ると、50代以上となると税務業務に従事している割合が高くなるが、20代、30代となると圧倒的に税務業務に従事していない。 会員種別では、会員(公認会計士)でも70.9%が税務業務に従事していない。所属別では、公認会計士数1,000人以上の監査法人では圧倒的に税務業務に従事していない。キャリア別では、監査法人に所属する会員・準会員からの回答が多いことへの裏づけとして、10年未満では大部分が税務業務に従事していない。一方で、20年以上となると税務業務の従事割合が57.8%と多くなっている。 以上のことは、回答者属性の特徴とも整合するものである。 |
||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
回答者全体の回答結果は次のとおりである。 | ||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
上記のとおり、回答全体では監査業務に従事したいとする回答と、税務業務に従事したいとする回答はほぼ同水準の回答結果となった。 年齢別では、20代、30代の「税務業務に従事したい」とする回答がそれぞれ40%以上となっているのに対し、40代、50代では「監査業務に従事したい」とする回答が約50%を占めている。 会員種別では、会員(公認会計士)よりも、準会員の方が「税務業務に従事したい」と回答した比率が高くなっている。また、キャリア別では、実務従事年数が長くなるほど「監査業務に従事したい」との回答率が高くなるという傾向があった。 以上のように、年齢別、会員種別、キャリア別の回答結果を分析すると、20代、30代を中心とした比較的キャリア年数が短い若手公認会計士世代では、将来個人事務所を開設して税務業務にも従事したいとの回答が多く、これらの若手世代では、監査法人退職後の業務の一つとして、税務業務に携わっていくことを検討していると考えられる。 また、所属別では、「税務業務に従事したい」とする回答は、公認会計士数が1,000人未満の監査法人が48.6%と最も高く、公認会計士数が1,000人を超える大規模監査法人でも同回答率39.0%となっている。このことは、監査法人の中でも培った知識・経験を生かして税務業務に従事したい人がいることを窺わせる。 |
||||||||||||||||||||
□質問7 あなたは「税理士法改正に関する意見(案)」をご存知ですか? | ||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
回答者全体の回答結果は次のとおりである。 | ||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
回答者全体の60.5%が「税理士法改正に関する意見(案)」を「知っている」と回答し、31.8%が「意見を出したことは知っているが内容まではよくわからない」と回答している。このことから、回答者の9割以上が「税理士法改正に関する意見(案)」について何らかの形で認知しているという結果となった。 年代別にみると、「税理士法改正に関する意見(案)」を「知っている」と回答した割合は60代〜(64.5%)で最も高く、以下40代(62.9%)、50代(62.6%)と続いた。回答者の年齢が低い年代ほど相対的に「知ってい る」と回答した割合が低く、30代で58.4%となったものの、各年代ごとの認知割合はいずれも50%を大きく上回っており、年代を問わず税理士法改正(案)に対して関心が高いことを示す結果となったといえる。 所属別にみると、「知っている」と回答した割合は個人事務所が69.5%と非常に高く、監査法人合計58.6%を上回っている。また、監査法人の中でも1,000人以上を要する大規模監査法人では「知っている」と回答した割合が58.4%にとどまった。個人事務所では、会計監査よりも税務業務に携わっている会員・準会員の割合が高いこと、大規模監査法人では専ら会計監査のみに携わっており、税務業務を全く行わない会員・準会員が多いことを反映した結果になったと考えられる。 キャリア別にみると、「知っている」と回答した割合が15年以上20年未満で71.6%、20年以上で63.8%と非常に高かった一方で、キャリアの浅い年次では相対的に低い回答結果となった。これは、公認会計士のキャリアが長い年代の会員ほど税理士法改正に対する関心が高いこと、独立開業などを通して税務業務に普段から携わっていることから税理士法改正にも関心を持ちやすいことが考えられる。 その他、税務業務に従事している会員・準会員が「知っている」と回答した割合が69.5%と、そうでない会員・準会員の58.2%よりも高くなっており、普段の税務業務への関わりの深さが、税理士法改正に対する関心の深さとなって現れた結果となった。 |
||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
回答者全体の回答結果は次のとおりである。 | ||||||||||||||||||||
![]() |
||||||||||||||||||||
回答者全体では、48.7%が日本公認会計士協会の意見提出を「知っている」と回答し、34.1%が「意見を提出したことは知っているが内容まではよくわからない」と回答している。 このことから、回答者の8割超が「税理士法改正に関する意見(案)」に対して、日本公認会計士協会が意見を提出したことについて、何らかの形で認知しているという結果となった。 年代別にみると、「知っている」と回答した割合は40代(54.8%)が最も高く、以下60代〜(53.9%)、50代(53.0%)と続いた。他方、回答者の年齢が低い年代ほど相対的に「知っている」と回答した割合が低く、20代(43.8%)、30代(47.6%)といずれも50%を下回る結果となった。若手公認会計士が監査法人勤務であることが多いことを考慮すると、普段の業務において税務業務に直接携わる機会が少ないほうが、税理士法改正に敏感ではないとおもわれる。 所属別にみると、「知っている」と回答した割合は、公認会計士数が1,000人未満の監査法人所属(61.3%)が最も高く、次いで、個人事務所所属(56.3%)となっている。対して、公認会計士数1,000人以上の大規模監査法人所属(46.0%)が、最も低い結果となっている。大規模監査法人では、会計監査に特化していることを考慮すると、税務業務に直接携わる機会が少ない分、税理士法改正に敏感ではないと思われる。 キャリア別にみると、「知っている」と回答した割合は、15年以上20年未満(64.7%)が非常に高かった一方で、キャリアの浅い年次では相対的に低い回答結果となった。 また、会員種別にみると、「知っている」と回答した割合は、会員(51.4%)が高く、他方、準会員は相対的に低い回答結果となった。その他、税務業務に従事している会員・準会員が「知っている」と回答した割合が59.3%と、そうでない会員・準会員の46.0%よりも高くなっている。キャリアが長いほど、また準会員より会員の方が、税務業務に携わっている割合が多いことを考慮すると、税務業務に普段から携わっている方が、税理士法改正にも関心を持ちやすいと思われる。 以上より、年代別、会員種別、キャリア別の分析の結果、それぞれ普段の税務業務への関わりの深さが、税理士法改正に対する関心の深さとなって現れたと思われる。 |
||||||||||||||||||||
□質問9 あなたは「税理士法改正に関する意見(案)」に賛成ですか、反対ですか? | ||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
回答者全体の回答結果は次のとおりである。 | ||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
回答者全体では、5.6%が賛成、84.8%が反対、どちらともいえないが9.6%であり、各属性別において会員・準会員の大半が反対であったが、賛成意見も一部見受けられる結果となった。 賛成意見としては、所属別で個人事務所が9.1%、一般事業会社が13.3%と高い割合となっているが、監査法人に所属している者の賛成割合は4.7%にとどまっている。また、キャリア別の賛成意見は20年以上が7.3%、税務業務への従事別の賛成意見は税務業務従事者が7.4%と高い割合を示している。 個人事務所所属者及び一般事業会社所属者、キャリアの長い世代や現在税務業務に従事している会員など、すでに税理士登録を行っており、税理士法改正による影響がない会員からの賛成意見が高い割合を示していると考えられる。 |
||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
「税理法改正に関する意見(案)」に反対の方の意見 回答者全体の回答結果は次のとおりである。 |
||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
回答者全体の84.8%が反対しており、最も多い理由はBの「試験制度で確認」で反対者の70.6%が選択されている。 20代、30代はこのBを選択している割合が最も多いが、40代以上では@の「当然」を選択している割合が最も多く、Eの「他の免除」、Fの「魅力低下」理由を選択している割合が平均からするとかなり低くなっている。 これは、40代以上の合格率が厳しい世代の人たちは公認会計士資格に対する自信を持っており、弁護士と並び称される困難な国家資格を取った公認会計士は「当然」に税理士業務ができると考えているものと思われる。これに対し、30代以下の大量合格世代は、公認会計士試験に租税法が取り入れられたこともありBを選択している割合が高く、そこまで公認会計士資格に対して自信を持てない状況があるためE、Fも選択している割合が高いものと考えられる。 所属別では、1,000人未満の監査法人と個人事務所で@の割合が最も高く、E、Fを選択している割合が平均からすると低くなっている。これは先の分析からすると、大量合格世代の当該所属場所に占める割合が1,000人以上の監査法人に比べて低くなっているためと考えられる。 なお、多数のコメントも寄せられており、「市場淘汰されるのが原則であり入口規制は不要」、「税理士資格は不要」といった意見も見られる。「公認会計士は税務的能力が不足しているから税理士登録に際して租税法試験を受けよと主張するが、その具体的根拠または統計データを税理士会は示すべき」とするコメントもあった(税理士と公認会計士で同じ問題を与えてその良否を判定する等が考えられる)。 |
||||||||||||||||||||
□質問11 「税理士法改正に関する意見(案)」に賛成である場合、あなたの意見は次のうちのどれに該当しますか? | ||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
回答者全体の回答結果は次のとおりである。 | ||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
公認会計士の職域を狭める改正案であるが、質問9に記載の通り、回答者全体の5.6%のみ賛成しており、大多数は反対となっており、その少数意見における賛成理由の分析である。 キャリア別では3年未満の8.6%と20年以上の7.3%が賛成しており、平均の5.6%に比べて高い割合となっているが、3年未満の最も多い賛成理由は1番目の「税務知識が不十分である」の36.8%であるのに対し、20年以上の最も多い賛成理由は2番目の「合格する力がある」の23.5%となっている。 監査の経験が浅い人は監査現場での税務担当経験がなく、公認会計士の税務担当能力がよくわからないのに対し、監査の経験が長い人は監査現場で培った税務担当能力が非常に高いことを如実に表しているものと考えられる。 賛成理由の3番目「急激に増員」は賛成者の11.9%が選択しているが、3年未満で15.8%、20年以上で17.6%と平均より高くなっており、最近の大量合格者は当事者としてこの問題を肌で感じているものと推測できる。 反対意見の裏返しのような「税務署OBや博士課程修了者に対する試験免除について同様の規制をかけるというのであれば、我々も議論に応じる必要はあると思う」というコメントもあった。 |
||||||||||||||||||||
□質問12 あなたは、日本の公認会計士は世界の公認会計士と同様に公認会計士法(例えば、法第2条第3項)により当然に税務ができる者とすべきだと思いますか? | ||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
回答者全体の回答結果は次のとおりである。 | ||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
上記のとおり、@とAを合計すると、88.8%となる。日本の公認会計士は、世界の公認会計士と同様に公認会計士法により当然に税務ができるようにすべきとの意見が大半であると考える。 年齢別では、「公認会計士法を改正し税務ができるようにすべき」とする回答が20代では、52.2%となっているのに対し、40代では71.1%にも達している。 会員種別では、準会員よりも、会員(公認会計士)の方が「公認会計士法を改正し税務ができるようにすべき」と回答した比率が高くなっている。 また、所属別では、一般事業会社の所属者が「公認会計士法を改正し税務ができるようにすべき」と回答した割合は、73.3%と高くなっている。キャリア別では、キャリア年数が長い(15年以上20年未満)層の「公認会計士法を改正し税務ができるようにすべき」との回答率が高くなるという傾向があった。 以上のように、年齢別、会員種別、所属別、キャリア別の回答結果を分析すると、比較的実務従事が長い40代以上の世代で、かつ、キャリア年数が長い(15年以上20年未満)層では、「公認会計士法を改正し税務ができるようにすべき」との思いが強いことが伺え、ほとんどの者が、公認会計士に対する能力担保措置は不要と考えている。 また、「税理士法改正に関する意見(案)」の反対者(1,016人)の意見としては、「公認会計士法を改正し税務ができるようにすべき」と「現状の枠組みのまま税務ができるよう維持すべきである」の合計で92.6%となっている。 コメントには、「公認会計士試験に税法科目が入っている以上、当然に税務も実施できると考える」との意見や「将来に向けて公認会計士と税理士は一本化すべきである」との意見があった。 |
||||||||||||||||||||
□質問13 「税理士法改正に関する意見(案)」では、公認会計士が税理士登録を行う際に能力担保措置として税理士試験の受験・合格を課そうとしていますが、そのように改正された場合、あなたは監査事務所への影響として、次の意見のうちのどれが最も当てはまると考えますか? | ||||||||||||||||||||
![]() |
||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
回答者全体の回答結果は次のとおりである。 | ||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
上記のとおり、回答全体では、@、A、Bを合わせた「影響がある」とする割合は、81.2%となる。「とくに影響ない」とするCが13.4%であり、回答結果は、能力担保措置として税理士試験の受験・合格を課すことの影響が、相当あるとの認識が示されている。 年齢別では、影響があるとする回答が20代〜50代では、おおむね80%台で高いのに対し、60代以上では、64.5%と低くなっている。 会員種別では、準会員よりも、会員(公認公認会計士)の方が77.9%と幾分低くなっている。 また、所属別では、個人事務所や一般事業会社や比較的規模の小さい監査法人に所属している者の「とくに影響はない」と回答した割合は、19.4%〜23.9%と幾分高くなっている。 キャリア別では、キャリア年数が長いほど「とくに影響はない」との回答率が高くなるという傾向があった。 また、「税理士法改正に関する意見(案)」の反対者(1,016人)の意見としては、「影響がある」とする割合が84.7%となっている。さらに税務業務への従事しているものの回答は、「とくに影響がない」とする割合が、23.0%となっており、税務業務に従事していないものの回答と比べ高くなっている。 コメント欄には、その他の監査事務所への影響として、「将来的には受験者の減少により人手不足になる可能性がある」、「税理士資格も同時に取得できるという魅力がなくなることは、優秀な人材が公認会計士試験を受けなくなり、結果として人材の質が下がる」、「税務を含めた一体的なサービスの提供が難しくなる」などの意見があった。 |
||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
![]() |
||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
回答者全体の回答結果は次のとおりである。 | ||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
回答者全体の88.1%が、公認会計士に対する能力担保措置が法定化された場合、国際的なマーケットにおいて、@「日本の公認会計士は税務知識がないものと見做され、日本の企業および公認会計士の国際的な信用力が低下し、国益を損なう」または、A「監査マーケットが自由化された際に、日本の公認会計士は海外から水準の劣る資格と見做され、海外での業務拡大に影響が出る」、もしくは@、Aその両方の影響があると回答している。「とくに影響はない」と答えた人は全体の9.8%にとどまった。 世界的には公認会計士は当然に税務を行うことができる者であることから、さらなる制約は国際的な監査マーケットにおける競争力を弱めてしまうことになるかも知れないという危機感の表れであろう。 年代別にみると、@、Aもしくは両方の影響が出ると回答したのは20代、30代がそれぞれ90.3%、89.7%、40代は少し下がって84.8%、50代はさらに下がって80.0%であったが、60代においては88.6%と20代、30代と同じくらいの割合となっている。若干のばらつきはあるもののいずれの年代においても、「影響がある」と考えている人が、「影響がない」と考えている人に比べて圧倒的に多いという結果となった。 会員種別にみると、ほぼすべての種別において、@、Aもしくは両方の影響が出ると考えている人が約90%前後と高い割合を示している。 所属別にみると、@、Aもしくは両方の影響が出ると考えている人は、監査法人に所属している者で90.0%、一般事業会社に所属している者で86.7%と高い割合を示している一方、個人事務所に所属している人は79.8%と若干低い結果となった。これは個人事務所に所属している人よりも、大規模監査法人や一般対象会社に所属する人の方が、海外案件や海外駐在など国際的な場面に触れる機会が多いため、危機感を感じている結果かもしれない。 キャリア別にみると、@、Aもしくは両方の影響が出ると考えている人は、5年以上7年未満で91.7%と一番多く、キャリアが増すごとに割合が減少し、キャリア20年以上では83.1%という結果となった。 それぞれ、年代や所属により若干の差はあるものの、公認会計士の能力担保措置が法定化された場合、国際的な監査マーケットに何らかの影響が出ると考えている人が圧倒的に多いことを示す結果となった。 |
||||||||||||||||||||
おわりに | ||||||||||||||||||||
今回のアンケートは平成20年4月に実施された「勤務実態及び監査業務への意識」に関するアンケートの回答608件を大きく上回るものであった。これは、会員・準会員がより身近な問題と捉えた結果だと思われる。このことは、アンケートを分析した結果からもうかがえる。つまり、回答者の大部分は、税務業務に従事していない監査法人に所属している者であり、さらにキャリア7年未満の会員・準会員である。これらの方は、個人事務所を開いて税務業務に従事したいとも回答している。 さて、「意見(案)」に対しては、「反対である」と回答する会員・準会員が実に84.8%にも上った。このことは、「意見(案)」は、国益を損なうものであり、将来的に影響がある重大なものと捉えているからである。 先日、協会も公認会計士になる者の将来に影響を及ぼすことを十分承知し、署名活動を実施した。よって、会員・準会員の方々も今後、協会まかせにするのではなく、積極的に税理士法改正反対について意見を上げていくことが望まれる。 |
||||||||||||||||||||