報告

日本公認会計士協会定期総会報告

本部理事 田 篤

 
はじめに
 平成23年7月6日(水)快晴の蒸し暑い最中、例年と同様、帝国ホテル(東京都千代田区内幸町)本館3階の富士の間にて日本公認会計士協会の第45回定期総会が開催されました。その内容をレポートしたいと思います。なお、文中意見に関する記載は私見であり、また私の聞き漏れ、聞き違い等により正確性に欠ける記述があるかもしれませんが、素人記者ということでご容赦ください。なお、公式の総会報告については後日JICPAニュースレターにより行われますので、そちらをご参照下さいますようお願い致します。
 総会の式次第は次の通りです。
 上林三子雄常務理事、鈴木昌治常務理事の2名の司会で第45回定期総会が、午後1時より開催されました。冒頭、本定期総会が全国23会場に中継されている旨、司会者から報告されました。
 
ご来賓入場
 まず、ご来賓である東祥三内閣府副大臣、三國谷勝範金融庁長官、森本学金融庁総務企画局長、池田唯一金融庁総務企画局参事官、斎藤馨金融庁総務企画局開示業務室長、斉藤惇株式会社東京証券取引所グループ取締役兼代表執行役社長の入場がありました。
 
開会の辞、会長挨拶
 関根愛子副会長の「開会の辞」に引き続き、午後1時8分頃から山崎彰三会長の次のような挨拶がありました。
 会長の山崎でございます。日本公認会計士協会第45回定期総会を開催するにあたり、ひと言、ごあいさつ申し上げます。
 まずは、東日本大震災によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。また、被災された方々にも、心からお見舞い申し上げます。
 協会といたしましても、この災害からの復旧、復興支援に関係各所・機関とも連携し、積極的に協力していく所存でございます。皆さまのご協力を切にお願いするしだいでございます。
 なお、被災された会員および準会員、ならびに被災者の方々の救援、復興の支援を目的に義援金の募集をおこないましたところ、多くの会員各位のご奉仕を頂きました。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。
 お預かりした義援金は、近く開かれる配分委員会を経て、被災地の会員にお見舞いとしてお渡しするとともに、日本赤十字社に寄付する予定でございます。ご協力、ありがとうございました。
 さて、本日は東金融担当副大臣、三国谷金融庁長官、森本金融庁総務企画局長、同じく金融庁の池田参事官、および齋藤開示業務室長、ならびに斉藤東京証券取引所グループ代表執行役社長におかれましては、諸事ご多用のところ、ご臨席を賜り、誠にありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。また、会員および準会員の皆さまには、多数、ご参集いただき、ありがとうございます。
 この1年間の会務を振り返ったときに、公認会計士法改正をめぐる議論を抜きには語れません。昨年、私が会務を引き継いだ時点では、公認会計士制度に関する懇談会での試験・資格制度をめぐる見直しの議論はほぼ終息し、中間報告というかたちでパブリックコメントが求められようとしておりました。その後の経緯、結果は会合を通じてご報告させていただいたとおりであります。今回の公認会計士制度の見直しは実現しないことになりました。
 その結果として、まず、会員各位の多くの人が懸念されていた企業財務会計士は創設されないことになりました。一方で、協会が要望してきた公認会計士資格の取得にあたっての学歴要件や協会の自主規制機能の一部強化といった措置も実現されないことになりました。
 しかしながら、私たちが喫緊の課題と考えていた直面する未就職者問題については、国会審議を通じ、平成23年度の試験合格者を1,500人から2,000人程度として制度を運用するという政府の答弁が引き出され、現状よりは改善が期待できるようになりました。
 紆余曲折した今回の制度見直しの顛末は、私たちに大きな課題を投げ掛けました。私たちが常に議論の対象としてきましたのは、あくまでも監査証明業務をおこなう権能のある公認会計士の制度であります。その担い手を、いかに確保・育成していくかということでありました。そのような公認会計士が監査業務で培った経験と知識を持って、さまざまな分野に転身していくことが、わが国経済社会にとっても非常に必要なことであると考え、議論に参加してまいりました。
 しかしながら、議論はいつしか、監査証明業務をおこなう権能のない資格制度の創設に転化されてしまいました。試験合格者の増減という制度の一部の議論は、いつしか、わが国公認会計士制度の根幹に及ぶ議論に発展していったわけであります。
 これを振り返ってみますと、協会として、わが国の公認会計士制度を守り、維持していくための幹となる、確固たる公認会計士のあるべき姿というものを持ち合わせていなかったのではないかという大きな反省に行き当たります。わが国の公認会計士制度に最も重要な要素は何であり、何を守らなければならないのか、どこを変えてもいいのか、どこを変えてはまずいのかということを社会に向けて主張し、説明していけるだけの素地と十分な情報が整備されていなかったのではないかということでございます。
 こうした反省を踏まえ、私たちは、わが国の公認会計士制度、および公認会計士のあるべき姿を考察し、また諸外国の制度に関する正しい情報を調査研究し、継続して内外に広く提携する機能を早急に整備すべく、活動を開始いたします。
 また、今回の制度見直しの議論に関しては、会員各位から執行部に多数のご意見が寄せられました。私たち執行部も、さまざまな機会を捉えて、議論の経緯、背景と協会の基本姿勢をご説明させていただいたつもりでおりましたが、会員各位のご懸念にはお応えしきれず、なおご叱責を賜りましたことを非常に残念に思っております。皆さまにご迷惑、ご心配をお掛けし、誠に申し訳ございません。会長として、深く反省いたすところでございます。
 この反省を糧として、会務運営における会員各位と執行部とのコミュニケーションの充実を図りたいと思います。理事会等の運営を通じた会員との双方向の情報伝達、できるところから逐次改善していきます。こうしたことは、これから本格化するであろう、税理士法改正問題に対応するためにも、早急に手当てをしなければならない課題と認識しております。
 税理士法改正問題につきましては、また幹となる公認会計士のおこなう税務業務の本来の姿を確認し、内外にご理解を願う必要があります。その上で、協会一致の組織的な活動を展開していく必要があると認識しております。
 残された2年の任期において、私は公認会計士の業務分野の拡大、それと能力向上に力を注ぎたいと思います。業務分野の拡大には、まず制度面の課題として、例えばIFRSのわが国への導入の促進、公認会計士がおこなう税務業務のあるべき姿の実現へ向けた活動、さらには地方自治法や公益法人制度の改正、改革などの対応があります。その他にもいろいろございます。
 また、会員の能力の向上には、これもIFRSへの対応、税務業務遂行のための知識の再確認と、さらなる向上。例えば、事業再生やコンサルティング、こういったものを実際に手掛けていくために必要とされる能力の向上のようなものがあります。協会自身も社会の期待に応え、その信頼を維持するために、自主規制機能を遺憾なく発揮できる体制整備に努める必要があると認識しております。
 本日、会則等変更案として上程させていただいた会員業務の指導監督体制の再整備構想も、こうした思いを具体化したものでございます。よろしくご審議ください。
 公認会計士制度は、わが国の経済の健全な発展、わが国の資本市場の信頼性の担保を担うものでなければなりません。先人、同胞、あるいは関係諸氏のたゆまぬ努力もあり、わが国は国際的に統一された会計基準の開発と設定に対する一定の発言力が確保されています。のちほど、あらためてご報告させていただきますが、その国際的に統一された会計基準である「国際財務報告基準(IFRS)」のわが国での適応に対し、これまで築き上げられた先人諸氏のご努力を実りあるものにする努力が、今、あらためて求められております。
 この他、私たち公認会計士を取り巻く重要な課題が山積しております。役員はもとより、会員各位と一致団結して、この難局に取り組む所存であります。皆さまの変わらぬご支援、ご協力をお願い申し上げます。ありがとうございました。
 
来賓挨拶
 
 続いて、午後1時20分頃から、ご来賓のご挨拶を頂戴しました。
 まず、東祥三内閣府副大臣が登壇され、次のようなご挨拶を頂戴しました。
 本日は、自見庄三郎金融担当大臣が本総会に出席し、ご挨拶を申し上げるべきところでございますが、都合により出席できなくなりましたので、大臣に代わりまして私が代読させていただきたいと思います。
 金融担当副大臣の東祥三でございます。
 まず初めに、本日の日本公認会計士協会第45回総会に際しまして、山崎会長をはじめ、役員の皆さま、そしてまた会員の皆さま方に、心からお祝いを申し上げる次第でございます。
 先ほど、司会の方からお話がありましたとおり、自見庄三郎金融担当大臣が本総会に出席する予定でございましたが、皆さま、ご案内のとおり、本日9時から衆議院における予算委員会で集中審議がおこなわれておりまして、6時間拘束されておりますので、どうしても出席することができず、自見大臣からお預かりいたしましたメッセージを不肖私が代読させていただくことをお許しいただきたいというふうに思います。
 「第45回定期総会の開催にあたり、ごあいさつを申し上げます。
 申し上げるまでもなく、金融資本市場に対する投資者の信頼を確保し、わが国経済の発展を図る上では、企業財務情報の適正な開示が不可欠であり、会計監査の専門家である公認会計士の果たすべき役割は益々大きくなっていると思います。
 本日、ご列席の皆さま方におかれましては、適正な開示の確保のため、さまざまなご協力を頂いているとともに、監査の水準の向上に常日頃よりご尽力いただいており、深く敬意を表するものであります。
 今後とも、会計プロフェッションとして、取引の複雑、高度化等に適切に対応した監査水準のさらなる向上などに、そのノウハウを最大限に発揮していただければと思います。
 また、本年3月に発生いたしました東日本大震災からの復旧・復興が政府の、そしてわが国全体の喫緊の課題であり、金融庁としても、さまざまな取り組みを進めております。貴協会におかれても、3月末には震災の影響による会計監査上の対応について、会長通知を発出する等、迅速な対応を取られており、高く評価するものであります。引き続き、被害に遭われた企業等に対しまして、会計および監査上の適切な対応、サポートをお願い申し上げます。
 次に、わが国における国際会計基準(IFRS)の適用について申し上げます。ご案内のとおり、2009年に企業会計審議会の中間報告が取りまとめられましたが、その後、国内外でさまざまな状況変化が生じております。このような状況に鑑み、去る6月21日に金融担当大臣の談話を公表し、少なくとも、2015年3月期についての強制適用は考えておらず、仮に強制適用する場合であっても、その決定から5年から7年程度の十分な準備期間の設定をおこなうこと等を明らかにするとともに、6月30日から企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議において、国際会計基準(IFRS)について、議論を開始いたしました。
 議論にあたっては、会計基準が単なる技術論だけではなく、国における歴史、経済文化、風土を踏まえた企業の在り方、会社法、税制等の関連する制度、企業の国際競争力などと深い関わり合いがあることから、このような幅広い視点から、米国のように導入の利点と影響を広範に検討するとともに、国民への説明責任を果たしていくことが必要と考えております。
 次に、公認会計士試験合格者等の活動領域の拡大について申し上げます。近年、公認会計士試験に合格しても、資格取得に必要な実務経験を得られない者、いわゆる待機合格者が多数生じていることは、皆さまご承知のとおりであります。本件に関しては、貴協会からのご要望も踏まえ、まず、平成23年試験以降の当面の合格者数について、1,500人から2,000人程度と、より一層の抑制を図るとともに、貴協会ならびに経済界、金融界等の関係者と引き続き緊密に連携し、試験合格者等の活動領域の拡大に努めることが必要と考えております。
 会計制度、開示制度、監査制度等をめぐり、各般の課題が存在するなか、貴協会との連携の重要性は益々高まってきていると思います。
 今後とも、会計プロフェッションの立場から、会計開示、監査制度等の適切な在り方について、ぜひ、忌憚のないご意見を頂きたいと存じます。
 最後に、日本公認会計士協会および会員各位の今後益々のご繁栄、ご発展を祈念いたしまして、挨拶とさせていただきます。
平成23年7月6日
金融担当大臣 自見 庄三郎」

 以上でございます。


 続いて、午後1時27分頃から斉藤惇株式会社東京証券取引所グループ取締役兼代表執行役社長から次のようなご挨拶を頂きました。
 東京証券取引所グループの斉藤でございます。
昨年に引き続きまして、日本の公認会計士協会の、この定期総会にお招きをいただきまして、誠にありがとうございます。一言、ごあいさつを申し上げます。
 まず、日ごろより、公認会計士、監査法人、さらには日本公認会計士協会の皆さまには、証券市場の公正かつ円滑な運営、投資者保護にご理解とご協力を賜り、厚く御礼を申し上げます。
 また、3月11日に発生いたしました東日本大震災により、被災された皆さま方には、心からお見舞いを申し上げます。被災地域を活動の場とされておられる公認会計士の方々も、本日多数いらっしゃるかと存じますが、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
 今般の被災の発生から、ようやく4カ月が経とうとしております。先日発表されました日銀短観では、大企業を中心に、6月以降の状況判断の改善が見られるなど、一部に明るい材料もあるものの、私どもに上場いただいております上場会社各社の事業活動、業績に、現在もなお、大きな影響を及ぼしております。
 未曽有の大災害が上場会社の大半を占めます3月期決算会社の事業年度末の直前に発生したということによりまして、本年3月期の各社の決算作業等に大きな混乱が生じ、証券市場への影響も懸念されましたけれども、日本公認会計士協会からは3月30日付で災害に関する監査対応をご公表いただき、また個々の公認会計士、監査法人の皆さま方のご努力もありまして、大きな混乱もなく、各社の決算発表、株主総会の開催等が今、おこなわれております。
 あらためて、市場関係者の立場といたしまして、皆さま方の迅速、かつ多大なご尽力に対しまして、深く感謝を申し上げる次第でございます。
 今後は、震災により打撃を受けました、この日本経済、日本企業について、あらたな産業構造への転換を含め、震災以前にも増して力強い復興を実現していくことが、何よりも求められているというふうに思います。私どもといたしましても、上場会社に円滑な資金提供の機会を用意するという証券市場の役割を適切に発揮していくことを通しまして、これをサポートしてまいりたいと存じます。
 そうした観点から、これは既に震災前から取り組み始めておりますけれども、私どもでは、その一つのシンボルといたしまして、IPOの拡大。これを中期経営計画の重要課題の一つとして掲げました。先ほど申し上げました日本経済の復興を進めていくためには、既存の大企業に加えまして、成長可能性の高い新興企業に上場を促し、証券市場を通して調達いたしましたリスクマネーを原動力として、さらなる発展を遂げていただくことが不可欠であるというふうに考えております。
 その取り組みの一環として、昨年12月に私どもの運営する新興市場であるマザーズの信頼性向上と活性化に向けた施策をパッケージで打ち出し、順次、その実行に努めているところでございます。一連の施策においては、昨年、新興市場において、上場前から粉飾決算をおこなっていたという大変残念な事例が複数生じたことを受け、日本公認会計士協会とのあいだの密接な連携なもとで、市場の信頼性向上に努めていくという観点から、新たに新規上場の申請をおこなう会社には、上場会社監査事務所による監査を義務付けることとし、合わせて監査の品質に関わる信頼性の向上のお願いをさせていただきました。
 本日の年次総会においても、この上場会社監査事務所の登録制度の一層の充実、これに向けました制度改正の対応を頂くというご予定を伺っておりますけれども、新興市場の信頼性向上、活性化に向けて、引き続き、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 先日から、今お話がありましたように、わが国へのIFRSの導入に向けた議論が企業会計審議会において再開されております。この議論に際して、最も大切なことは、国内外の投資者に対して、上場会社の適切な財務情報が効率的に開示される環境を整備し、わが国の証券市場の透明性を維持向上していくことを通しまして、わが国の企業に対する投資者の関心を失わせないということ。そして、グローバル競争のなかで、わが国の市場が埋没しないようにしていくことではないかと思っております。
 公認会計士、監査法人の皆さま方、そして日本公認会計士協会に対する期待は、一層高まっていくものと思われます。皆さま方の益々のご活躍を祈念したいというお言葉で締め括られました。
 この後、ご来賓の方々はご多忙のため午後1時34分頃、退席されました。
 
黙祷、議長・副議長の任命
 手塚仙夫副会長により物故会員・準会員123名への黙祷が出席者全員によって奉げられました。その後、山崎会長から会則第76条第1項により議長・副議長を任命したい旨の提案がありました。小島昇(東京会)を議長に、伊藤大義(東京会)、小島庸匡(北部九州会)をそれぞれ副議長に任命することが拍手をもって承認されました。
 その後、議長、副議長3名が演壇に上がられ就任の挨拶をされました。
 
議事
 午後1時42分頃、議事に入りました。
 本日の出席者数は現在集計中であり、「報告事項」の後に集計結果を報告することとされました。また、議決権の総数は22,488個であり、委任状による出席者数6,593個(本人出席含む)は、議決権を有する会員及び準会員の5分の1以上であり、開会に必要な定足数を充足している旨が報告されました。さらに、会則第82条に基づき、東京会会員の松崎信会員、志村さやか会員の2名を議事録署名人としたい旨の提案があり、拍手をもって承認されました。
 
報告事項
 午後1時45分頃、山崎彰三会長より最初の報告事項が報告されました。
「@IFRSの動向について」
 今後の国際的動向や過去、日本が積み上げてきたIASBにおける実績等を踏まえ、2012年における判断時期を変更すべきではなく、具体的な適用範囲や適用時期等について決定すべきである旨の意見が述べられました。
 次に、会則75条第2項に従い木下俊男専務理事より報告事項として「A第45事業年度事業及び会務報告の件」の報告が定期総会議案書に従って、下記下線部分について報告がなされました。
1. 制度的枠組みや基準の整備等についての提言と必要な施策の実行
  (1)公認会計士試験・資格制度の見直しへの対応
(2)税理士法改正を巡る動きへの対応
(3)地方自治法の抜本見直しに向けた意見の提出
(4)独立行政法人等における会計監査人の選任手続に関する要望
(5)コーポレート・ガバナンスの改善を提言
2. 国際財務報告基準(IFRS)への実務対応を含む、会計・監査分野の変革への対応
  (1)IFRS監査・会計特別委員会の設置
(2)IFRSの円滑な導入に向けた関係諸団体との連携
3. 会計・監査上の対応
  (1)監査上の実務指針、過去に公表した関係指針の見直し
4. 会計プロフェッションとして多様、多彩な人材の育成
  (1)公認会計士試験合格者等の未就職者への積極対応
(2)国際会計人養成基金及び海外会計・監査調書研究基金の運営
5. 困難な経済情勢の中で社会的使命を実行するための、自主規制の着実な実行
  (1)監査業務審査・綱紀事案処理体制の見直し
(2)東京証券取引所及び大阪証券取引所の上場会社登録制度の利用
(3)共同事務所名称登録制度の見直しに伴う対応
(4)CPE制度の会員への周知と効果的な運用
6. 社会的ニーズや業務の多様化に適切に対応するための会員支援
  (1)企業内会計士等に転籍・活躍する会員への支援のための施策
(2)税務業務を行っている会員の組織化のための税務業務部会の設置と活動
7. 協会組織・機構改革の着実な実施
8. 広報活動
9. 出版局の活動
10. 東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)への対応
  (1)災害対策本部の設置及び会長声明
(2)被災会員に対する支援
(3)被災地支援活動
   更に、手塚仙夫副会長より「B会長解任請求の否決理由報告」がありました。
 6月7日に544名の同意書とともに会長解任請求がなされ、翌8日の理事会にて賛成13名、反対58名、棄権5名により否決された。
 まず、会長解任の会員投票にすべきという賛成意見の一部と反対意見の一部が紹介され、投票の結果、提出された会長解任請求の理由は、会員による解任投票を実施するほどの相当性がないものとされた旨の説明がありました。
 続いて午後2時13分頃より質疑に入りました。
 まず、事前に提出された書面による質問、意見に対して木下専務理事より説明、回答が行われました。記載ぶりに齟齬があるかもしれませんので、以下では質問事項等の概要のみ示したいと思います。回答等についてはJICPAニュースレターをご参照下さい。
 
Q1. 健康保険組合の設立動向は、現在どのようになっているのか?
Q2. 企業財務会計士への反対意見が強い中で、理事会で賛成とした意思決定は適切であったのか?
Q3. 未就職者(待機合格者)への対応状況について説明してほしい。
Q4. 税理士法改正問題への対応状況はどのような状況か?
   提出された書面による質問・意見及びそれらに対する回答・説明は午後2時20分頃終了しました。その後、これらと関連する質問やこれら以外の質問・意見陳述が会場にて行われました。
 
「企業財務会計士」という資格が創設されることの影響は多大なものであるが、協会執行部は、その点をどのように認識しているのか?
 東税健保に入っている会員からみれば、新しい健康保険組合の将来見込を簡単に理解できない。また、本部に意見交換を求めても取り合ってくれない。協会本部は、「地域との連携強化」を謳っているが、これがその姿か?
職業倫理上、最も倫理が必要なのは公認会計士法改正案に賛成した理事ではないか?賛成した理事は責任を取るべきである。また、昨年のクアラルンプールにおける世界会計士会議に木下専務は公費で参加しながら会議に参加せず、ゴルフをしていたと聞くが、会長はそのことについてどのように思うか?
会長解任請求の理由書を総会において会員に開示するよう事前にお願いしたが、実現しなかった。何故開示しないのか?また、手塚副会長が説明した否決理由は、解任請求の相当性がないことの理由になっていない。現在、会員は直接選挙で会長が選べないのであるから、解任請求理由があるかないかは、理事が決めるのではなく、会員に問うべきではないか?
執行部をはじめ、協会の運営組織を見直す必要があるのではないか?
今回の公認会計士法改正に関し、協会本部はもっと毅然とした態度を保持すべきである。理事会で公認会計士法改正に賛成を取り付け、結果、廃案となって「良かった」というのは論理矛盾ではないか?
会長解任請求につき、会則では「理事会が」否決した理由を総会で説明することになっているが、「理事会が」否決した理由は示されていない。
  以上のように、主に公認会計士法の改正や会長解任請求について、多くの質問がなされ、山崎会長及び森副会長、小見山副会長より回答、説明がありました。
 議長により、質疑応答は午後3時21分頃に終了され、休憩をとることになりました。

 午後3時34分頃、再開され、出席者数についての報告が議長団より行われました。議決権の総数22,488個、そのうち、本人出席1,056名、委任状による出席6,482名(本人出席除く。)の合計7,538名でありました。
 
審議事項
午後3時35分頃、審議事項に入りました。
第1号議案 第45事業年度収支計算書及び財務諸表承認の件
 木下俊男専務理事により第1号議案の説明があり、その後、尾内正道監事より、会計監査人である優成監査法人から平成23年5月27日付けで無限定適正意見の表明があり、さらに監事意見として、会務の執行は誠実に行われており、収支計算書等は適正に作成されている旨の監査報告がありました。
 続いて木下俊男専務理事より事前に提出された書面による質問、意見に対する回答、説明が行われました。ここでは質問事項等のみ示しています。
Q1. 今期大幅な利益が出ているが、適正な自己資本の水準はどの程度と考えているのか?また、会費の設定を見直すべきではないか?
Q2. 会長、専務理事の報酬、退職金、渉外関係費、外部の公職についてお教え願いたい。
 午後3時52分頃、書面による質問事項に対する回答が終了しました。
 その後、これ以外の質問・意見陳述等が会場より行われました。以下、質問のみ記載しました。
監査報告書上、付属明細書が含まれていないのではないか?間違いか?
教育研修機構への負担は、今後も継続するのか?今後の改善は考えているのか?
弔慰金制度の変更については、地域会によって差があるがどのように考えているか?
事務職員の給与が下がったと聞いているが事実か?
専務理事が政治家との接触が多いと聞くが、それは適切なことか?
 木下専務理事より説明があり、その後採決に入りました。その結果、第1号議案について、出席者の拍手により賛成多数と認められました。また、委任状による賛成は6,462個、反対20個でありました。よって、原案通り可決されました。
 
 午後4時2分頃より第2号議案の審議に入りました。下記2議案を一括上程することが議長より提案され、拍手をもって了承されました。
 
第2‐1号議案 
監査業務審査・綱紀事案処理体制の整備のための会則の一部変更案承認の件
第2‐2号議案 
監査業務審査・綱紀事案処理体制の整備のための綱紀審査会規則及び監査業務審査会規則の一部変更案並びに規律調査会規則の制定案承認の件
 鈴木昌治常務理事より議案の説明が午後4時10分頃までありました。書面による事前質問、意見はなく、会場からの質問等もありませんでしたので採決が行われました。その結果、第2‐1号議案について、出席者の拍手により賛成多数と認められました。また、委任状による賛成は6,451個、反対31個でありました。よって、原案通り可決されました。
 第2‐2号議案について、出席者の拍手により賛成多数と認められました。また、委任状による賛成は6,449個、反対33個でありました。よって、原案通り可決されました。
 
 午後4時15分頃第3号議案の審議に入りました。
第3号議案 
監査業務における意見表明等の用語の整理等に係る会則の一部変更案承認の件
 鈴木昌治常務理事より議案の説明がありました。書面による事前質問、意見はなく、会場からの質問等もありませんでしたので採決が行われました。その結果、第3号議案について、出席者の拍手により賛成多数と認められました。また、委任状による賛成は6,464個、反対18個でありました。よって、原案通り可決されました。

 午後4時20分頃第4号議案の審議に入り、鈴木昌治常務理事より説明がありました。
第4号議案 
上場会社監査事務所登録規則及び品質管理審議会規則の一部変更案承認の件
 書面による事前質問、意見はなく、会場からの質問等もありませんでした。採決に入り、第4号議案について、出席者の拍手により賛成多数と認められました。また、委任状による賛成は6,455個、反対27個でありました。よって、原案通り可決されました。
 
 午後4時24分頃第5号及び第6号議案を一括上程することが議長より提案され拍手により了承されました。
第5号議案 第46事業年度事業計画案承認の件
第6号議案 第46事業年度収支予算書案承認の件
  第5号議案については、木下俊男専務理事より議案の内容が説明されました。
 まず基本方針及び下記6つの重点施策が説明されました。
1. 東日本大震災の被災者支援及び被災地の復旧・復興に向けての活動
2. 制度的枠組みや基準の整備等についての提言と必要な施策の実行
3. 国際財務報告基準導入への実務的対応を含む、会計・監査分野の変革への対応
4. 困難な経済情勢の中で社会的使命を実行するための、自主規制機能の一層の強化と着実な実施
5. 多様・多才な会計プロフェッションの育成及びそのための基盤整備
6. 社会的ニーズや業務の多様化に適切に対応するための会員支援
7. 協会組織・機構改革の着実な実施
 
 また、第6号議案については、木下俊男専務理事より内容が説明されました。
 書面による事前質問、意見はありませんでしたが、会場から下記の質問、意見があり、山崎会長、小見山副会長から回答が行われました。
税理士法改正に関する事項が重点施策にないが、「重点」ではないのか?
「7.協会組織・機構改革の着実な実施」において、会長の選任・解任について検討する旨の記載がないが含まれているのか?
会長選挙については、是非見直してほしい。
重点施策に、公認会計士法の改正がないが、どのように考えているのか?
試験合格者には、もっと税務の教育をして価値を向上してあげてほしい。
   午後4時50分頃採決に入りました。
 第5号議案について、出席者の拍手により賛成多数と認められました。また、委任状による賛成は6,449個、反対33個でありました。よって、原案通り可決されました。
 第6号議案について、出席者の拍手により賛成多数と認められました。また、委任状による賛成は6,447個、反対35個でありました。よって、原案通り可決されました。

 午後4時52分頃第7号議案の審議に入り、森川潤一監事より説明がありました。
第7号議案 会計監査人選任の件
 書面による事前質問、意見はなく、会場からの質問等もありませんでした。採決に入り、第7号議案について、出席者の拍手により賛成多数と認められました。また、委任状による賛成は6,431個、反対51個でありました。よって、原案通り可決されました。
 午後4時54分頃、議事がすべて終了し議長団が退席され、会場から大きな拍手が起こりました。
 
協会学術賞授与
 午後4時56分頃より学術賞審査委員会の飯田信夫委員長から、「学術賞」として山内暁氏「暖簾の会計」、金子邦博氏「公会計情報活用論−徴税費を事例とした実証分析−」、MCS賞として、森田隆大氏「格付けの深層−知られざる経営とオペレーション」が選出された旨報告され、当日出席された3氏に山ア会長から表彰状及び賞品が贈呈されました。
 
会員表彰
 午後5時5分頃より会員表彰が行われました。表彰細則第2条第1項第一号(100歳以上かつ公認会計士の登録期間30年以上の会員)に基づき大島宗作氏(東京会)、堀本周三氏(東海会)が、また、表彰細則第2条第1項第二号から第六号に基づく会員表彰贈呈者398名を代表して、東海会の堀本周三会員が山ア会長より表彰状を授与されました。その後、堀本会員よりご挨拶を頂き、会場から大きな拍手が起こりました。
 
閉会の辞
 午後5時9分頃、森公高副会長により閉会の辞があり、定期総会が終了しました。
 
最後に
 本年の定期総会も審議議案が第7号議案に加え、会長解任請求に関する質問をはじめ、多くの熱心な質問等があり、昨年同様予定時間を10分程度超過する長い総会となりました。山ア彰三会長をはじめ日本公認会計士協会の執行部は、会員からの意見に真摯に耳を傾け、環境変化が著しい公認会計士業界を強力にリードして頂くことを切に願いたいと思います。