編集後記

編集後記

 
 7月号では、近畿会監事 松山治幸先生の寄稿「公認会計士制度の見直しの迷走」を掲載させていただきました。
 思い起こせば、合格者の就職難問題を受けて公認会計士試験の見直し議論が始まったのは2009年12月のこと。監査業界や産業界など様々な立場の人が参加した懇談会が発足し、以降10回にわたる会議が開催されてきました。この懇談会では公認会計士の社会的な役割について参加者の間での認識の違いが早くから浮上。企業内会計士をどう育成するか等のテーマにつき意見集約がなされないまま、最大公約数的な案として2011年1月に「企業財務会計士制度」が提案され、日本公認会計士協会としても、この案を承認するにいたりました。
 しかし、できあがった「企業財務会計士制度」について、会計士側も、また、受け手と期待されている企業側も、その効果について懐疑的であったと思われます。これら反対意見を反映し、実質的に廃案決定がされるに際して、当該制度を容認していた山崎会長について解任請求騒ぎが起きることになりました。
 恥ずかしながら、私、このような一連の迷走劇を、どこか他人事のように眺めておりました。実務者として一番現場感覚を持ち合わせているはずの日本公認会計士協会は、この議論の中で、しっかりと自らの役割を果たせたのか。本当に議論をつくした上で提案されたものだったのか。協会の一員として、松山先生のきびしいお言葉が胸にひびきます。

(会報部 西村 強)