「公認会計士制度の見直しの迷走」 |
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松山 治幸 |
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平成23年2月16日に臨時理事会にて、公認会計士制度改革の法律案について審議が行われ、賛成多数で原案が承認可決された。この改革は、公認会計士試験に合格したものの就職先がなく、業務補助要件の関係から最終の試験の受験資格がないことが問題となっていた。この問題を解消するために、合格者の削減に併せて企業財務会計士制度の創設が盛り込まれた法律案であった。待機合格者問題に加えて、第一義的には企業会計の高度化・複雑化に伴い企業財務会計士として企業が採用し、財務会計制度の信頼性を高めようとする改正理由も主張されている。 2月16日の本部理事会での議事録は以下のとおりであった。 |
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(国会での審議) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
平成23年4月21日、参議院財政金融委員会にて、「資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取引法等の一部を改正する法律案」について審議が行われた。その議事録は、以下の通りで、公認会計士制度の見直しに係わる部分の一部抜粋である。 自民党の古川俊治議員、西田昌司議員、野上浩太郎議員らによる公認会計士制度見直し案に問題提起の姿勢で質問を金融庁関係にぶつけている。 |
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〇古川俊治君 続きまして、自由民主党古川俊治の方から質問をさせていただきます。今、今回の法律の御説明、趣旨説明を自見大臣の方からいただきましたけれども、私も、この内容の第一、第二、こちらの方はほぼ賛成できる内容となっておりますけれども、お聞きしたいのは第三についてでございます。これに、企業の財務書類等の質の向上を図るための公認会計士制度の見直しというふうに書いてありますけれども、今回の法案の中に企業財務会計士というような言葉がございまして、この制度を創設するようなんですけれども、自見大臣、この企業財務会計士の制度をつくる目的は何ですか。 〇大臣政務官(和田隆志君) お答えいたします。今回、企業財務会計士制度をつくるということを案の中に盛り込みましたのは、公認会計士という仕事が、経済社会の幅広い分野で活躍していただいているということを前提に、平成十五年には公認会計士試験制度の改正を行ったところでございますけれども、その後、公認会計士試験の合格者等の活動領域の拡大が十分に図られたとは言い難いという状況にあることは、恐らく認識を共有していただけるのではないかと思います。そんな中で、実際に企業の経済活動の高度化、複雑化が進展する中では、企業の会計実務について更なる充実が必要となってきておって、そんな状況の中では、この会計専門家の活用の促進を図るために、監査、会計の専門家である公認会計士と比べて資格の取得要件を軽減した企業財務会計士という新たな会計専門家の資格を創設するということを考えたものでございます。企業財務会計士の創設は試験合格者の企業への就職を促進するという側面を持ちまして、待機合格者問題の解決に向けてもプラスの効果を持つものと考えております。 ○古川俊治君 なるべく短く御答弁いただきたいと思っておりますけれども、企業が財務書類の質の向上を図るというふうにおっしゃいましたけれども、何のために企業は財務書類の質の向上を図るんでしょうか。 ○大臣政務官(和田隆志君) それを通じまして、適正な会計を行い、企業の信頼性を高め、もっては、日本全体の信頼性若しくは投資していただく環境を整えるということかと思います。 ○古川俊治君 個々の会社はまさに営利社団法人でございまして、究極的には営利を目的としていると、株主利益。これはどこの教科書にも書いてあることですけれども、お聞きしたいのは、財務書類の質が向上することによって会社の収益性は向上するんでしょうか。 ○大臣政務官(和田隆志君) 財務書類の充実そのものが収益性に直結するとは私ども考えておりませんで、むしろその財務書類がしっかりすることによりまして、今さっき申し上げましたが、企業の信頼性を高める、そういったところからビジネスチャンスも広がり、投資していた環境も充実してきて、そこが最終的に収益に結び付くということはあろうかと思います。しかし、私どもは、日本経済の全体の発展のためにこうしたことが適切ではないかと考えた次第でございます。 ○古川俊治君 今まで企業は財務会計士というものはなしでやってきたんですね。そうすると、企業財務会計士というものが、今までは主に社内の専門家、会計実務の専門家がやってきたということでありまして、このような資格を持ってなかったと。日本企業、今大変なグローバル化の中、厳しい状況に置かれ始めておりますけれども、そうすると、企業の財務専門家ではなくて新たな資格を持った企業財務会計士という人がやれば、その会社が信頼をされて、これからの経済発展により都合がいいだろうと、そういうお考えですね。今までの人たちでは駄目で、今度この資格を持った人たちだったらうまくいくというお考えですね。 ○大臣政務官(和田隆志君) 今委員御指摘の、現状において企業の財務面にわたって仕事をなさっている方々がその中でいろんな訓練を受けながら充実した財務書類を作っていただくということは、私どもそれはそれで非常によろしいことだというふうに考えています。しかし、さらに企業財務会計士という資格を創設することによって、実際にそこに入ってくる人材が更に意欲を持ってやっていただくことは、その向上に資するというふうに考えた次第でございます。 〇古川俊治君 どの程度向上に資するか、これは議論にわたりますので、新たに資格を持った人たちがやって実態が変わるかどうか、企業がどれほど向上していくかどうかはこれから見なきゃいけないと思いますけれども。一般的には、日本の企業がなかなかうまくいかなくなってしまったというのは、実際に技術的にも遅れが出始めていて、また、人件費も高くなったと、そういう構造的な問題があって、要は競争力が落ちてしまったというところに原因があって、別に財務諸表の質が落ちたというのが直接的な理由ではないというのが一般的な理解だと思うんですよね。先ほど委員がおっしゃいましたけれども、附属的に、あるいは公認会計士の待機合格者をこれから残さないためにやる、これは附帯的な効果としてあるんだというふうにおっしゃいましたけれども、これ実は、二十二年七月の公認会計士制度見直しの中間報告ですか、公認会計士制度に関する懇話会中間報告書というのを見ると、これまさに待機合格者を何とかしたいというのが前面に出ていて、その付け足しにどっちかというと少しは質も上がるだろうというように書いてあるんですね。それは明らかに読めますね、そのように。ずっと待機合格者の問題が書いてあると。本来、この企業財務会計士というのは、待機合格者が増加しちゃっているという現状を何とかしようと思ってつくられたものじゃないんですか。 ○大臣政務官(和田隆志君) そういった御提言があったこと自体は私も了知しておりますけれども、実際のその法案作成担当としまして、それを主たる目的としてつくるのでは、委員御指摘のように、国家資格として定めるものに対する考え方が少しそれは違うのではないかなというふうに考えています。あくまで副次的な効果として、そういったことも世の中にはいいのではないかと思った次第でございます。 ○古川俊治君 待機合格者をなくしたいというのが目的ではないのかもしれませんけれども、それも一つの目的としては考えていらっしゃるということでございましたからお聞きしたいんですが、この企業財務会計士というのを設けると経済界が積極的に雇用すると、これによって待機合格者が減っていくというようにお考えだと思うんですが、その根拠はどういうことでしょうか。 ○大臣政務官(和田隆志君) 私ども、この法案を作成する手前に、今のような御提言も当然いろいろ視野には入れておりますけれども、アンケート調査等を行いながら、実際にこういった資格を設けたときに、そういった人材が企業内に入って活躍することをある程度そのアンケート調査の結果によって感じ取れたということがございます。 ○古川俊治君 それはどのような調査ですか。具体的に、またその結果もお知らせください。 ○大臣政務官(和田隆志君) 経団連の方に行っていただいたアンケート調査でございます。その内容は、平成二十二年二月のことでございましたが、企業会計部会委員五十四社に対しまして、会計の専門家としての新たな資格の必要性などについてアンケート調査を行いました。 少し例示的に御紹介すれば、監査ライセンスとしての公認会計士資格とは別に、会計関連知識を備えているという能力証明としての能力検定試験は必要かということに対して、必要とお答えいただいたのが六八%に達しているというような状況でございます。 ○古川俊治君 必要かと、そのときに必要であると答えて、それが何で経済界が雇用するとの根拠になるんでしょうか。 ○大臣政務官(和田隆志君) 経済界が雇用するかどうかを直截的に感じ取るということは難しゅうございます。つまり、企業としてこういったものが要するに必要と考えていらっしゃるかどうかをお聞きした上で、そこから先は諸々の事情の中で決められることではないでしょうか。 ○古川俊治君 雇用をしてくれなければ待機合格者は減らないんじゃないでしょうか。 ○大臣政務官(和田隆志君) あくまで待機合格者を減らすために法案を作成したということではございませんので、そこのところを御理解いただきたいと思います。 ○古川俊治君 では、改めてお聞きしますけれども、では財務会計書類の質が上がったことによってどのぐらい日本企業は業績が上向くでしょうか。済みません。その根拠とともにお話しください。 ○大臣政務官(和田隆志君) 大変申し訳ございませんが、そういったことにつきまして定量的なことを要するに御説明することは本当に難しいかと思います。 ○古川俊治君 定量的なことはないと、要するに根拠はないということでよろしいですか。 ○大臣政務官(和田隆志君) それをもって根拠がないというふうには私ども思ってはいなかったのですが、今委員が御指摘のような受け止め方というのは、いろいろな方々の受け止め方があろうかと思います。 ○古川俊治君 では、どのような根拠があったのかだけお話しください。 ○大臣政務官(和田隆志君) 私どもがこの法案を作成しようと思った趣旨というのは、先ほど申し上げたとおり、こういった制度があればより日本企業が財務関係において充実した仕事ができるようになり、それをもって日本経済全体が信頼性を高め、投資環境が整っていくというふうに考えたということに尽きます。 ○古川俊治君 確認しますけれども、そうすると、今まで企業で財務の会計の専門家でやってきた方々のお仕事というのは、それでは信頼が得られていないということですね。 ○大臣政務官(和田隆志君) 今までやってきていただいた方々の仕事そのものは、私どもとしては非常に値するというふうに思っております。しかし、更にそれを充実させるために考えたことでございます。 ○古川俊治君 仕事を充実させるのは資格じゃないはずです。ですから、能力ある方がやれば、それは資格があろうがなかろうが、しっかりとした財務会計書類ができるはずですよ。まさに、なぜ公認会計士制度があるかというと、それは監査証明をするためであって、それは資格が要りますから。資格が監査証明ができない企業財務会計士であったらば、何の資格も要らない人たちと同じ能力で同じことができるわけですね。ですから、必要がないんじゃないでしょうか。 ○大臣政務官(和田隆志君) 私ども、必要だということを言い切った上で法案を作成申し上げたという立場には立っておりませんで、これらを創設した方がより充実するのではないかというスタンスに立っておりました。 ○古川俊治君 多くの業界の人たちの意見という、関係者の意見としては作られては迷惑だという意見が多いんですね。ですから、必要性がない、だけどより良くなるんではないか、それが根拠はなかった、であれば、必要性がないんではないかという意見も、根拠が政府があるかないかお考えになると思いますけれども、その点、どのように考えていらっしゃいますか。 ○大臣政務官(和田隆志君) 委員御指摘のように、私どもが考えていることが絶対値だというふうに思っていることではございませんで、いろいろな考え方をお持ちの方々がいらっしゃるということを審議前にもいろんな環境の中でお聞きいたしておりますので、それらを総合的に勘案しながらこれからの対処を考えてまいりたいと思います。 ○古川俊治君 法案を出してきた以上はしっかりと御答弁いただきたいと。どちらでもいいような今御答弁でございましたけれども、それでは不十分なわけで、まあ政務官も内心はいろいろお考えのこともあるんだろうと思っておりますけれども。じゃ、続きまして、近年、公認会計士の合格者数がとても増えたと、で、待機合格者ができたわけなんですけれども。そのためか、二十一年度、二十二年度の合格者は激減しました、今度は。これ、今後の合格者数というのは金融庁の方ではどの程度というふうに考えていらっしゃるんでしょうか。 ○大臣政務官(和田隆志君) 二十三年度につきましては、一千五百人から二千人程度ということで考えております。 ○古川俊治君 今回の法案の中では、実は短答式試験の免除期間の延長とか、あるいは論文式試験の科目の試験免除など、免除の延長ですね、そうした合格者数を更に増やすという方向性の制度改革も御提言されているんですけれども、これはどういうことですかね。合格者数を一定以上には上げないという今の御答弁とはやや矛盾する気もするんですが。 ○政府参考人(森本学君) 先生御指摘の試験制度の見直しの部分につきましては、社会人も含めまして、より幅広い層から公認会計士資格試験合格者を出しやすくするという趣旨に基づくものでございます。 ○古川俊治君 何%で切るかと。成績の部分見ましたけれども、大きく増えたときは五十一点ですか、五一%で切っていて、通常五二%に戻すとちょうどいいところに収まるというデータも見せていただきましたけれども。これから待機合格者だけではなくて、さらには就職できない資格を持った公認会計士も多く存在しているという状況ですから、是非、このような本末転倒のないように、すなわち改革の失敗、ある程度制度をいじってきた失敗というのを新たな失敗を重ねてそれを補おうなんという考え方はやめていただいて、もう一度根本的にこの平成十五年の改正を見直していただくと。こういう方向性でお考えいただかないとこれはまずいというふうに考えておりますので、それを付言をいたします。 ○西田昌司君 自民党の西田でございます。 私は、企業財務会計士の問題についてまずお伺いします。今も同僚の古川委員の方から非常に問題点、指摘していただきました。そもそも、企業側にそういうニーズがないのに、企業が受けてくれるだろうという希望的観測でつくられたと。つくって、企業の中でそういう会計の専門家がおられること自体は私も別に悪いことじゃないと思うんです。でも、この始めの入口の段階がそもそも違っておりまして、今も古川委員の方からもありましたように、要するに、この問題の本質は、待機合格者、これをどうするかということなんですが、そもそも、じゃ待機合格者がなぜこれだけたくさん増えてきたのかというところから始まると、元々の試験制度を改正してきた話になってくるんですよね。ですから、そこのところの経緯をちょっとお伺いしたいんです。なぜそういう形の改正をしてきたのかと。 ○大臣政務官(和田隆志君) 御指摘の改正の経緯でございますが、平成十五年に公認会計士試験制度を改正いたしております。企業等の開示の質を向上させるためには公認会計士が経済社会の幅広い分野で活躍することが重要という考え方に基づくものでございます。企業活動の高度化、複雑化等が進展する中で、現在もこの基本的な考え方そのものは間違っていないというふうに考えております。他方、平成十五年に公認会計士試験制度を改正しまして、十八年から新制度を実施して以降、公認会計士の活動領域がなかなか拡大しない一方で試験合格者数が急増したということの中で、その結果、待機合格者が多数発生したという御指摘にしっかりと真摯に耳を傾けていかなければいけないというふうに思っています。このような状況で、平成二十年に約三千人程度の合格者であったのが、公認会計士試験の合格者数について足下二千人程度まで抑制し、今回御審議をお願いするに当たって、平成二十三年以降は当面千五百人から二千人程度と一層抑制を図るという方向で考えていたところでございます。実際に、試験合格者の就職促進という視点からの取組も大切だというふうに考えているところではございます。 以上でございます。 ○西田昌司君 そのときの経緯は、今は民主党政権が与党なんですが、そのときは自民党だったんですよね。私はそのとき国会議員にはなっていなかったんですが、変な改革するなあと思っていたんですね、実は。といいますのは、そのときは前提として、社会全体がこれからどんどんどんどん会計士需要が大きくなるだろうと。同じときにされたのが法曹の改革もあったんですけれども、要するに試験制度をどんどん変えていきまして、はっきり言いまして受かりやすくしたんですよ。資格者がたくさん出てきて、当然その資格を持った方が業界、いわゆる会計士という、監査法人だけじゃなくて一般企業も含めたもっと大きく活動される分野があるだろうと、こういう前提ですね、それでたくさんの方を合格しやすくした。これは非常に大きな問題を生んだんですよね。待機合格者ということだけじゃなくて、実は会計士の先生方、私は税理士なんですけれども、この近辺の領域なんですけれども、非常に似て非なるものがあるんですね。それは何かというと、会計士の先生は監査の独占業務、税理士は税務の独占業務なんですが、会計士の先生の場合には税理士登録をすれば税理士の、当然できるわけなんですね。実はここに非常に大きな問題点の本質があるんですよ。 といいますのは、税理士、私は税理士を資格で取りましたけれども、会計士の方も監査法人に勤めなければ監査会計士にはなれないんです。監査をする場合は、ほとんどの場合監査法人でないと監査業務はできないんですよ。これは、別に会計士でもできるんだけれども、実際、仕事を発注するのは監査法人しか出しませんからね。そうすると、公認会計士のうち監査法人に勤められている方が監査をされている方なんですね。それ以外の方というのは、それぞれ会計士の資格はもちろん持っておられるんだけれども、御自分で独立されたりしている方ももちろんたくさんおられるんだけれども、その多くは税理士業務をされているんじゃないのかなと思うんですよ。その実態をちょっとどういうふうにとらえておられるのか、まず教えていただきたいんです。 ○政府参考人(森本学君) お答えいたします。公認会計士の登録者数は約二・一万人でございまして、そのうち監査法人にお勤めの方約一万人、それから税理士業務を登録されている方が約七千人であると承知しております。 ○佐藤ゆかり君 私は、自由民主党、みんなの党及びたちあがれ日本・新党改革を代表して、資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取引法等の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。 まず、提案の趣旨について御説明いたします。今回の改正案には、企業財務会計士制度の創設等を内容とする公認会計士制度の見直しが含まれておりますが、公認会計士試験の待機合格者問題等への対応については更に検討し、より有効な解決策が図られるべきと考えます。一方、公認会計士制度の見直し以外の規定については、無登録業者による未公開株取引への対応なども含まれ、現在の状況を踏まえると早期に成立させる必要があります。よって、今回の改正案から公認会計士制度の見直しに関する規定を全て削除するよう修正案を提案した次第でございます。修正案の概要は、金融商品取引法に会計の専門家の活用等に関する規定を加える改正規定及び公認会計士法の改正に関する規定を削るとともに、その他所要の規定の整理を行うものであります。以上、修正案の提案の趣旨及びその概要を御説明いたしました。何とぞ、委員各位の御賛同をいただきますようお願い申し上げます。 ○委員長(藤田幸久君) これより原案及び修正案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取引法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。まず、佐藤ゆかりさん提出の修正案の採決を行います。 本修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕 ○委員長(藤田幸久君) 全会一致と認めます。よって、佐藤ゆかりさん提出の修正案は可決されました。次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕 |
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金融庁の答弁、自見大臣の回答は、公認会計士制度の見直しの必要性が十分に説明しきれていない。企業財務会計士の創設の意義とその成果についての回答は、その成果が必ず表れるという信念を訴えるものでなく、法律案改正の趣旨が比較的曖昧さに加えて、企業財務会計士の創設は、大量合格者の未就職問題にも一定の副次的効果があるとの説明では、何のための改正であるかがぼやけてしまっている空気を醸し出したものであった。この問題について、同じく自民党の中山恭子議員が、何らかの機能というものがあっても新しい制度が必要ならそういう資格を取るための何らかの措置をつくるのが通常と訴えた。その後、佐藤ゆかり議員が、「・・・企業財務会計士制度の創設等を内容とする公認会計士制度の見直しが含まれておりますが、公認会計士試験の待機合格者問題等への対応については更に検討し、より有効な解決策が図られるべきと考えます。」と発言し、今回の改正案から公認会計士制度の見直しに関する規定を全て削除するよう修正案を提出された。委員会は、この修正案を可決し、4月27日に開催された参議院本会議で「資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取引法等の一部を改正する法律案」が公認会計士制度改革は先送りとなり、その修正案が賛成多数で議決され、公認会計士制度改革に関する部分は実質廃案となった。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
本件の一連の迷走の問題点 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
日本公認会計士協会が、公認会計士制度の現状と有り様について十分な議論を疎かにしてきた大きなツケが影響している。しっかりとした議論が協会の理事会等で実施されず、監督官庁の方向を伺いながらのよちよち歩きの協会運営にある。 今般の問題にしても、協会としてあるべき方向について議論を尽くす姿勢が欠如してる。会長の責任も重いが、副会長、専務理事、常務理事、理事は押しなべて全てに責任を感じてもらいたい。監事も同じである。協会の執行部たる役員である以上、一人ひとりが自分自身の信念で発言し、行動してもらいたい。流れに流されてしまう運営ではそんな役員は必要ない。 今回の問題は、協会の運営姿勢、協会のガバナンス問題を露呈した格好の事例である。 この一連の迷走により惹起した山崎会長のリコール運動は、問題視する対象が偏っている。 公認会計士制度が、社会に重要な役割を果たしていることは認めるが、より信頼性の高い、より広範囲に活躍し、公正で効率的な社会貢献を期待する。そのためには、今回の一連の迷走の猛省を受け日本公認会計士協会の運営が、開かれた堂々とした活発な議論と実践に期待したいものである。 |