報告
監査会計委員会研修会報告

「有価証券報告書作成上の留意点」

監査会計委員会副委員長 山添清昭

1.はじめに
 平成23年5月23日(火)午後2時より、3時間にわたって、近畿会の会議室において、監査会計委員会主催の「有価証券報告書作成上の留意点」にかかる研修会を開催しました。 
 有価証券報告書は、事業年度経過後3ヶ月以内に各財務局に提出することが義務づけられており(金融商品取引法第24条第1項)、会計士は、クライアントが作成された有価証券報告書を限られた日数において、チェックすることが求められます。今回の研修会は、有価証券報告書を作成・チェックされるタイミングで、有価証券報告書作成上の注意しないといけない留意点についての解説を行いました。
 当研修会は、近畿三会の共同開催で、137名の方(近畿会100名、京滋会16名、兵庫会21名)の参加がありました。
 以下、研修会で解説した内容のうち、平成23年3月期の主な改正点を紹介するとともに、改正が有価証券報告書のどこに影響が及んでいるのかを中心に報告することとします。文中意見に関する箇所は、筆者の個人的意見によるものであることをご了解ください。
 
2.有価証券報告書作成に係る主な改正点
 平成23年3月期の有価証券報告書作成に係る主な改正点を、以下の【図表】にまとめています。それぞれの改正の主な内容や適用時期について、記載しています。また、改正規則に対応する有価証券報告書の改正項目についても記載していますので、ご確認ください。
 今回の有価証券報告書の改正点は、IFRSへのコンバージェンスの関連で改正されたものが多くあります。当期より強制適用が求められる新会計基準や翌期より適用とされるものがあり、有価証券報告書を作成・チェックする際において、改正の内容を正確に押さえておく必要があります。
 
3.おわりに
 研修会の後半では、平成23年3月期の有価証券報告書作成上の留意点について、説明しました。
 有価証券報告書の記載様式である三号様式の各項目ごとの「作成上の留意点」が多くあります。研修会では、「平成23年3月期の有価証券報告書作成上の留意点」の一覧表を作成し、この一覧表をもとに、従来からの記載上の注意点や、改正された箇所の作成上の留意点について説明を行いました。また、有価証券報告書での改正の箇所は、公益財団法人財務会計基準機構の「有価証券報告書の作成要領(平成23年3月期提出用)」の記載様式を参考に個別に説明を行いました。
 有価証券報告書作成に係る留意点は、財務情報・非財務情報など広範囲に及んでおり、注意しないといけないポイント・留意点は、非常に多くあります。今後も、コンバージェンスの観点から、新会計基準の公表は、当面続くことが予定され、有価証券報告書の改正点に留意しておく必要があります。