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監査会計委員会、研修会報告 |
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監査会計委員会副委員長 山添清昭 |
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平成23年3月22日(火)午前10時より、2時間にわたって、近畿会の会議室において、監査会計委員会主催の研修会を開催いたしました。新たに平成23年4月1日以降導入される「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(以下「過年度遡及会計基準」という。)についての、解説を行いました。当日の研修会は、近畿三会の共同開催で、104名の方(近畿会84名、京滋会5名、兵庫会15名)の参加がありました。 以下、当日の研修会で解説した内容のうち、強調したところや、重要と思われる箇所をピックアップして報告することとします。文中意見に関する箇所は、筆者の個人的意見によるものであることをご了解ください。 |
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1.新基準「過年度遡及会計基準」をめぐる改正の状況 | |
平成21年12月4日付けで、企業会計基準委員会(ASBJ)より、企業会計基準第24
号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(「過年度遡及会計基準」)及び企業会計基準適用指針第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用指針」(以下「過年度遡及適用指針」という。)が、公表されました。国際的な会計基準にみられる会計方針の変更、表示方法の変更及び誤謬の訂正が行われた場合の過去の財務諸表の遡及処理に関する取扱いや会計上の見積りの変更に関する取扱いが示されました。過年度遡及会計基準は、平成23年4月1日以後開始する事業年度の期首以後に行われる会計上の変更や過去の誤謬の訂正から適用が求められることになりますので、注意が必要です。 これら過年度遡及会計基準を含め、同基準に関連する4項目の改正の内容や留意点について、【図表1】に整理しましたので、確認してください。 |
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【図表1】過年度遡及会計基準に関連する基準等の改正の状況 | |
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2.新基準の全体の構成 | |
過年度遡及会計基準および同適用指針の全体の構成を【図表2】に示します。会計上の取扱いを、「会計方針の変更の取扱い」、「表示方法の変更の取扱い」、「会計上の見積りの取扱い」「過去の誤謬の取扱い」の4つに区分し、それぞれの取扱いが異なっているところにポイントがあります。また、適用指針の後ろに設例が5つ紹介されています。この設例を充分に理解しておくことが、新基準の理解を深めることにつながるものと考えます。 | |
【図表2】過年度遡及会計基準・同適用指針の構成 | |
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3.新基準の重要ポイント | |
過年度遡及会計基準等で示されている重要項目について、それぞれの会計処理等のポイントを10項目にまとめました。【図表3】でご確認ください。 研修会では、それぞれの内容について基準・適用指針と照らし合わせた解説を行いました。いずれもいままでの処理やルールを見直すものであり、会計士の今後の監査業務に留意が必要となります |
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【図表3】新基準の重要ポイント | |
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4.おわりに | |
平成23年4月1日以降の開始事業年度より、過年度遡及会計基準の適用が目前に迫っています。会計処理の変更、過去の誤謬の訂正など、これまでの取扱いと大きく変更になり、過年度遡及会計基準の取り扱いに慣れる必要があります。 過年度遡及会計基準の導入により、会計処理の変更と過去の誤謬の訂正の取扱いの区分が明確になります。その点に留意が必要です。 また、改定監査基準の導入によって、監査報告書の様式が大幅に改正され、監査上の取扱いも大きく変わることになります。あわせて実務指針の改正にも注意が必要です。監査報告書の形式的な様式の変更とともに、後発事象の取扱いの見直しや追記情報の取扱いなど従来の考え方を変えて対応することが求められることもあります。また、四半期簡素化に伴うレビュー報告書の見直しなどについても注目しておく必要があります。 国際的には、今後とも継続的に国際監査基準の改正が行われていくことが考えられます。今後の国際監査基準の動向にも留意しておく必要があります。 |