報告

大阪銀行協会との共催研修会

会員業務部 部長 百々季仁

日時:平成22年11月16日(火) 15時〜17時
場所:近畿会研修室
主催:日本公認会計士協会近畿会、大阪銀行協会
 
大阪手形交換所は、(社)大阪銀行協会により運営されており、手形・小切手等の決済と取引停止処分制度の運用が中心です。手形交換所は取引停止処分制度を厳格に運用することにより、手形・小切手の信用秩序の維持を図っております。手形・小切手は信用秩序が保たれていることを前提に取引されていることを、まずご理解いただきたいと思います。
 私は、現在大阪銀行協会の銀行取引相談所に在籍し、一般のお客様から銀行取引に関する相談、照会や苦情を受けております。相談、照会の中には、手形、小切手に関するものもございます。本日は、その中からピックアップした手形・小切手の取扱いに関する留意事項をQ&A方式でご説明いたします。
Q1【訂正】
手形、小切手に間違った記載をした場合、訂正してもよいのか。

A:

 金額を間違った場合は訂正せず、新しい用紙を使用してください。振出日、支払期日など金額以外は、金融機関への届出印を押し、訂正してもかまいません。
Q2【印鑑相違】
振出人が銀行への届出印鑑と異なる判子を押している場合、不渡事由は「形式不備」になるか。  

A:

「形式不備」になりません。届出印以外の判子でも手形は有効です。不渡にする場合、不渡事由は「印鑑相違」になります。
Q3【先日付小切手】
11月30日を振出日とする先日付小切手が、11月16日に呈示された。0号不渡事由に該当するか。  

A:

小切手は一覧払いとされているので、0号不渡事由に該当しません。
0号不渡事由とは、「形式不備」「裏書不備」「依頼返却」等不渡処分にならない不渡事由です。
Q4【線引小切手(1)】
線引小切手を直接支払銀行に呈示し、現金を受け取りたい。支払銀行と取引がないが、受け取れる方法がないか。

A:

金融機関は線引小切手を取引先以外に支払うことを禁止されています。    
ただし、当座勘定規定により、振出人の届出印が小切手裏面に押してある場合、取引先以外にも支払うことができます。
Q5【線引小切手(2)】
本日新たに銀行に口座を作り、線引小切手を取立依頼することは可能か。

A:

 できません。金融機関はある程度継続した取引がないと取引先とは見ません。
Q6【手形の呈示期間】
支払期日11月15日の手形を11月16日に取引銀行に取立依頼できるか。  

A:

支払呈示期間は支払期日を含め3営業日で、それを過ぎると金融機関は支払うことができません。本ケースでは、支払銀行が同じ交換エリアであれば可能です。エリア外の場合、地域や時間帯により受付できない場合があります。
Q7【裏書(1)】
裏書に住所と日付が書いていない。「裏書不備」になるか。

A:

なりません。署名があればOKです。
Q8【裏書(2)】
当社は社名を変更した。旧社名が受取人欄に記載された手形を持っているが、裏書はどのように書けばよいか。

A:

同一会社であることがわかるように記載します。例示すると次のとおり。
    商号変更 旧商号 株式会社○○○○
         新商号 株式会社△△△△
         代表取締役 ×××× 印
 Q9【裏書(3)】
裏書をしたいが、既に4個の裏書があり裏書欄がない。どうすればよいか。 

A:

手形に補箋を貼り、裏書をしてください。
Q10【手形の盗難】
取引先から受け取った100万円の手形を泥棒に盗まれた。どうすればよいか。

A:

警察に被害届を出すと同時に、振出人に呈示があっても支払いをしないように依頼します。また、裁判所に除権決定の手続きをとることも考えられます。除権決定後に盗難手形が呈示された場合、0号不渡とできますが、決定前に呈示された場合は,不渡事由は「盗難」となり、異議申立提供金が必要です。
不渡事由が「契約不履行」「紛失」「盗難」「詐取」等の第2号不渡事由の場合、    異議申立を行なうと不渡処分が猶予されます。異議申立には手形金と同額の異議申立提供金を手形交換所に提供する必要があります。
Q11【手形帳の盗難】
何も記載していない白地の手形帳を泥棒に盗まれた。どうすればよいか。  

A:

白地の手形用紙を盗まれた場合、偽造手形を発行されるおそれがあるので、警察に被害届を出し、取引銀行に相談してください。不渡事由が「偽造」の場合、告訴することを前提に異議申立提供金を免除する特例扱いを申請することができます。
Q12【取引停止処分】
同一交換日にA銀行とB銀行で不渡を出した場合、取引停止処分になるか。  

A:

なりません。6ヶ月間に2回不渡を出すと取引停止処分になりますが、交換日でカウントしますので、この場合不渡回数は1回となります。
Q13【法人の代表者死亡の不渡事由】
死亡した代表者が生前に署名した法人振出しの手形が呈示された。「振出人死亡」で0号不渡となるか。

A:

なりません。「振出人死亡」は振出人が個人の場合の不渡事由であり、法人の代表者死亡の場合は該当しません。
Q14【金額白地手形】
金額白地の手形を振り出したが、勝手に1,000万円と記載され呈示された。「変造」を不渡事由にできるか。   

A:

「変造」には該当せず、第2号不渡事由の「白地補充権の濫用」となります。「変造」は異議申立提供金を免除する特例扱いの対象ですが、「白地補充権の濫用」は対象ではありません。
Q15【異議申立】
異議申立を行なう場合、資金はいつまでに準備すればよいのか。  
A: 交換日当日の午後3時までに当座預金に入金する必要があります。
Q16【再交換】
一度不渡となった手形を再度手形交換にかけることはできるか。

A:

原則できません。ただし、「形式不備」や「依頼返却」など再度手形交換にかけることが予期できる不渡事由の場合は可能です。
Q17【不渡情報の開示】
取引先が不渡を出したかどうか手形交換所で教えてもらえるか。  

A:

教えません。不渡情報は手形交換所参加金融機関限りとなっています。