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第31回 リレー随筆 | ||||||
至福のひと時 B級作品 |
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安川啓祐 |
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昨今では、「B級」という言葉には、「一級品に及ばない」という意味の他に、「普遍的な支持が得難いが、カルト的な人気を持つ」というニュアンスが含まれてきています。今回のリレー随筆を執筆させていただくにあたり、私は、自分が“B級作品が好き”であるルーツ(原点)を辿りました。思えば私が中学生の時、友人から薦められたある一冊の本から、何かが目覚めてしまったのかもしれません。 それは、『VOW(バウ)』という本です。新聞・雑誌の誤植や、街で見つけたヘンな看板等の写真の投稿を集めた本で、私自身も投稿したことがある程ハマりました。世の中の人が写真を撮って投稿して本が完成している所や、その投稿作品の数々がたまらなく好きで、発売当初から現在に至るまで読み続けている本です。 これを契機に、その当時流行していたB級本である、アニメ・マンガの世界を科学的に検証した『空想科学読本』や、単純にくだらないことが描かれている『バカドリル』等を読み漁りました。当時は心斎橋アメリカ村のとある本屋さんで主に取り扱っていたため、足繁く通ったものです。 |
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B級ゲームにもいくつか手を出しました。例えば『ボコスカウォーズ』というゲームがあります。主人公は横に進むだけで、敵にぶつかったら勝敗は運のみという、一見シンプルに思えるが、非常に奥が深いゲームであると私は感じています。 そもそもB級作品は認知度が低いため、世に出回ることが稀でした。しかし、インターネットが普及し、情報交換が活発になったことが、私の“B級好き”に拍車をかけました。 |
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ボコスカウォーズ |
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また、私にとってのB級作品に触れることは、他の人にとっての、例えばスポーツ・読書・音楽鑑賞等と同様に、仕事や日常生活から離れることができる至福のひと時です。人間の脳というのは、寝ている間にも休まず働いているようで、仕事で疲れた脳は、別の事を考えることでしか休ませることができないと聞いたことがあります。人はこのような時間を休みの日に少しでも持つことで、ONとOFFを切り替え、仕事で凝り固まった頭をリフレッシュしているのではないでしょうか。 | ||||||
次回、放射能により巨大化したカニが人を襲う『地獄のシオマネキ』という映画を見る予定です。 | ||||||
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