報告
広報・事業部セミナー

「公認会計士の日」記念IFRSセミナー『IFRSへの対応と課題』

近畿会広報・事業部 部員 俣野朋子

 
日時: 平成22年7月13日(火)14:00〜17:00
場所:  ヒルトン大阪 4階 金の間
講師 株式会社東京国際会計 代表取締役 
公認会計士・米国公認会計士 岡村 憲一郎氏
 
 公認会計士協会近畿会広報・事業部では「公認会計士の日」を記念し、国際会計基準・国際財務報告基準(以下総称して、IFRSという。)セミナーを開催いたしました。
 講師に、IFRSに関する財務諸表作成支援や執筆等の経験豊富な岡村憲一郎氏をお招きし、『IFRSへの対応と課題』と題して3時間にわたってご講義いただきました。
 当セミナーには、IFRSの強制適用に向けて実務家の関心が高まりつつある中、外部と会員とで160名超と多数ご参加いただき、盛況のうちに終えることができました。
 内容的にはIFRS強制適用のロードマップ等の総論を確認した後に、まず企業が最初に直面する問題である初度適用のポイントを解説されました。
 次に、IFRSがこれほど広く受け入れられた理由を3点挙げて説明されました。
 第一は、原則主義であること。つまり例外をできるだけ設けず1つの会計基準を作ろうとするもの。
 第二は、経済実態重視であること。法制度は各国バラバラであるため経済実態に合わせた基準となっている点。
 第三は、財務報告を重視した基準となっていること。
 その後、実務上の影響が大きいテーマに絞った個別論点の解説に入りました。テーマとして有形固定資産、収益認識、外貨換算が取り上げられ、有形固定資産についてはやはり税務との調整が問題であるという指摘があり、収益認識については出荷基準が認められなくなるという論点が広く話題になっているが、特定の会社以外はそれほどの問題にならないのではという見解を示され、実務経験に基づく問題点の重み付けをした解説は大変に参考になりました。
 そして、2011年改正ポイントとしては、公表直後の収益認識の公開草案等の最新情報が紹介されました。
 また、上記の理論中心の解説の間には、先行する欧州の事例分析や、日本企業の現状の動向等の紹介がありました。欧州の事例としては影響額の多寡が国によって異なり一定の傾向がある点が具体的な数値を持って示されました。また、日本企業のIFRS導入プロジェクトの企業規模別動向、各社が認識している課題等が紹介されました。
 これらをふまえ、「いま、企業が取り組むべきことは何か」というテーマでこのセミナーが締めくくられました。
 全体として、やはり実務経験に裏打ちされたお話は大変に説得力があり、また、IFRSに対する熱い思いが伝わってきて、これから新たな制度に立ち向かう実務家にとってはとても有意義なセミナーになりました。