報告

近畿会女性会計士委員会・準会員会近畿分会&京滋会・兵庫会共催講演会

『女性プロフェッショナルとしての働き方〜“ガラスの天井”の今は〜』

日本公認会計士協会準会員会幹事&女性会計士委員会委員 播磨宏美

 
 7月3日(土)ドーンセンターで『女性プロフェッショナルとしての働き方〜“ガラスの天井”の今は〜』というタイトルで講演会を開催しました。講師には、日経WOMANの編集長をされている麓幸子氏をお招きしました。普段の取材において様々なキャリアウーマンとお話しされている麓氏のお話は参加者の心にぐっとくるものがあり、とても有意義な時間を皆さん過ごされていました。また、講演後には麓氏と直接参加者の皆さんがお茶をしながらざっくばらんに話す茶話会タイムがあり、皆さん講師の方と本音でお話しをされていました。講演後は参加者全員で後片付けを実施するという手作り感のある講演会ではありましたが、和やかなひと時を過ごすことが出来ました。
 

(司会)

 今回の講演ですが、京滋会、兵庫会にもご協力頂き、3会共催という形で実施致しました。また、お子さんがいらっしゃる方にも気軽に参加して頂ける様、講演の間、講演会場と同じドーンセンター内で無料で一時保育を実施するという初の試みも実施致しました。
 ご協力いただいた皆様ありがとうございました。
 
<講演概要>
 ここでは、当日の講演の内容を少しご紹介したいと思います。
 世の中では、女性活用を経営戦略と考える企業が増加しています。その例として、日経WOMANで実施されている「女性の働きやすい会社ランキング」の調査結果をご紹介していただきました。20年前のランキング結果は百貨店やスーパーが上位にランクインしており、女性が消費者である企業、「女性型企業」が有利でした。しかし、最近はその傾向に変化が表れてきています。2年前に行われたランキング結果では、P&G、日本IBM、松下電器産業といったグローバル企業が上位にランクインしました。「女性型企業」から「グローバル企業」へと主役が交代しているのです。製造業、サービス、流通、金融など女性が活用する業界が拡大しており、女性活用が企業業績につながると考える企業が日経WOMANのアンケート結果でも9割にも及びました。

麓幸子氏

 

さて、ここで女性が活躍する企業とはどういう企業なのでしょうか。注目すべきキーワードは、「やりがい」と「続けやすさ」です。「やりがい」とは、女性が管理職などに登用されていきいきと働いているかどうか。「働き続けやすさ」とは、結婚・出産しても働き続けることができる環境かどうか。この2点が良好な企業は女性が活躍しており、また企業としてのパフォーマンスも高い企業です。そのキーワードに繋がるのが@男女均等な待遇と公正な人事制度Aワークライフバランスを推進する人事施策トップのコミットメントです。みなさんのまわりはどうでしょうか。
 さて、次に男女の考え方にも変化があるということについてもお話しいただきました。まず、女性側ですが、リーマン・ショック以降に大きな意識変化ありました。リーマン・ショック後、日経WOMANでアンケートをとったところ「定年まで働き続けたい」「一生働き続けたい」と考える読者が8割以上になりました。1年前より10%増加し、キャリア意識・自立意識の高まっていることがわかります。
 一方男性側ですが、こちらにも徐々に変化が表れています。日経WOMANで男性にとったアンケートでは以下の結果となりました。

副委員長 堤 あづさ氏(左)
同    岡本 善英氏(右)

@専業主夫もありだと思う  68.1% 
A地位や給料が自分より上の女性と結婚したくない いいえ 76.8%
B仕事とプライベートはきっちり分けたい 85.0%
Cエコ・ロハス・スローライフに憧れる 57.8%
出典)日経WOMAN07年11月号「300人(平均年齢30.8歳)の男性アンケートより」
 皆さんの中には意外と思われる方も多いかもしれませんが、男性側にも変化が表れているそうです。女性が働きやすい環境になるよう変化が起こりつつあります今なら「ガラスの天井」は打ち破れるはずです。

兵庫会 会長 
仲尾彰記氏
準会員会 近畿分会長
 荻窪輝明氏
京滋会 会長 
橋一浩氏
近畿会 担当副会長 
高濱 滋氏
<参加者の声>
○森田晋次さん
 わかりやすい表やグラフで解説していただき、日本が欧米に比べ働く女性に対して如何に厳しい国であるかがわかりました。また働く女性を苦しめている一番の原因が、「他人からの非難の声」などではなく、本人が抱く「働くことで家族を犠牲にしていることへの罪悪感」であることには目から鱗が落ちました。働く女性にとって一番大切なのは、「働いている自分を許せる心」であり、また働く女性が罪悪感を持たないような日本の社会にすることが必要だと思いました。

○藤田咲さん
 働く女性が辛くなる一番の原因は、「周囲の環境」ではなく「女性自身が抱く罪悪感」なのだというお話が最も印象的でした。働く女性のロールモデルは未だ少なく不安になる女性は多いと聞きます。しかし、キャリア形成の方法に正解はなく、女性一人一人がいかに自分の生き方に自信をもつかということが大切だと実感しました。また、今回女性の参加者が大半でしたが、男性にもたくさん参加してもらい意識の共有を図るべきだと思いました。
 

〜講演会を振り返って〜

女性会計士委員会委員長 宮口亜希

 この講演会は、当日土砂降りの大雨で足元の悪い中、約50名の会員及び準会員の方にご参加いただき、男性も京滋会、兵庫会の会長を含め13名の方にご参加いただきました。講師の日経WOMAN編集長・麓氏は大変気さくな方で、講演の内容が面白かったこともさることながら、茶話会の時には各テーブルで参加者の方と和気あいあいと語りあっていただけたのが非常に印象的でした。この講演会は、講師の方のお話を聞くだけでなく、参加型の講演会という双方向型の講演会として企画しておりましたので、その目的が達成でき、また参加者の方にも一味違った講演会として喜んでいただけたのではないかと思います。また今回初めて同じ施設内で託児付き講演会を実施させていただき、4名の方に利用いただきました。これも大きな収穫だったと思います。
 次回は12月4日(土)に東レ経済研究所の佐々木常夫様を講師としてお招きし、同じくドーンセンターにてワークライフバランスに関するセミナーを開催予定です。
 今回参加されなかった方もぜひ奮ってご参加ください。

(撮影:女性会計士委員会委員 俣野朋子)