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剣道と私 |
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黒澤 香 |
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![]() そもそも剣道を始めたきっかけは、母親の影響によるものでした。母親が森田健作氏の大ファンで、森田氏がドラマの中で剣道をしている姿を見て、子どもに剣道を習わせると決めたそうです。当時、小学校3年生だった私はただ言われるがまま、週2回重い防具を担いで道場に通っていました。 このように、気付いたら剣道をしていたわけなのですが、決して楽ではなかった剣道を長く続けることができた理由を考えると、「剣道の魅力を知ったこと」そして「仲間に巡り合えたこと」の2つが挙げられると思います。 まず、剣道の魅力に関してですが、ここでは3点紹介したいと思います。 1点目は「心」「技」「体」です。剣道が強くなるためには「心」「技」「体」がそろっていなければならないと言われます。この言葉は人によって解釈が異なると思いますが、個人的な見解として、「心」は「やる気」、「技」は「テクニック」そして、「体」は「丈夫な体」だと思っています。初めてこの言葉を聞いたときに、当たり前のことじゃないか、と軽く考えていたのですが、スランプに陥ったときのことを思い返してみると、「心」「技」「体」のうちどれかが欠けていたように思います。この「心」「技」「体」は、剣道だけでなくすべてのことに通じることだと考えており、現在の私の行動規範の一つとして、深く心に刻み込まれています。 2点目は、「残心」です。剣道は打突をした後に残心(残身とも言います)をとります。これは技を仕掛けた後も油断しないということなのですが、「言うは易く行うは難し」ということわざにもある通り、打突をした後は安心してしまい、残心をとることをつい忘れてしまいがちです。逆に、相手が残心を忘れてしまっているときに、そこを追いこんで技を決めるということもあり、この「残心」が剣道の勝敗を決めると言っても過言ではありません。剣道の試合を見に行かれる機会がありましたら、ぜひ残心にも注目していただければと思います。 3点目は、「礼」です。「剣道は礼に始まり礼に終わる」という言葉に代表されるように「礼」を非常に重んじます。この「礼」という言葉には自分自身を律する心、他者を思いやる心が含まれています。勝敗だけではなく、精神面を重視することも剣道の魅力だと思います。 次に、仲間に巡り合えたことです。特に高校時代、「寒稽古」という毎年1月中旬に早朝から練習を行うという恒例行事がありました。その名の通り極寒のなか剣道を行うため、足にマメができたり皮がめくれたりと毎年悲惨な状態になるのですが、それでも最後まで続けることができたのは、一緒に頑張っている仲間と励ましあえたからだと思います。 つらいことや苦しいことを共有した仲間は一生の友人になると言われる通り、そのときの仲間とは今でも頻繁に連絡を取り合い、親交を深めています。 このように今の私は剣道に育てられたと言ってもいいくらい、多くのことを学び、そしてかけがえのない仲間を得ることができました。現在、私にはまだ子どもがいませんが、将来、自分の子どもができたらぜひ剣道を学ばせたいです。 |
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