副会長に再び就任して

副会長 蔵口 康裕

 
(はじめに)
 前年度に引き続き副会長に就任しました。よろしくお願いいたします。最近の試験合格者未就職問題を発端として、金融庁の「公認会計士制度に関する懇談会」において、新しい公認会計士制度の改革案が検討されています。現在検討されている案では、試験の合格を三段階に分け、二段階目の合格者に准会計士などの資格を与え、三段階目の合格者はフルスペックの公認会計士として監査業務ができるようにする方向のようです。協会本部としても現状に対応できる制度の提案をしていますが、今後の動きが注目されるところです。
 
(前年度までの報告)
 この3年間副会長として、総務部(高濱滋部長)、経理部(高谷晋介部長)、非営利会計委員会(野邊義郎委員長)、国際委員会(谷口誓一委員長)を担当しました。
 非営利会計委員会では、NPO法人及び特定医療法人に対するアンケート調査を行いました。NPO法人小委員会では大阪NPOセンターの協力を得て、アンケート調査を実施し、その結果、多くのNPO法人が資金調達や後継者の確保に苦労している様子が伺えました。同小委員会ではこの調査を踏まえ、非財務情報の評価チェックリスト(NPO法人版)を作成しました。また公益法人小委員会では、一昨年の12月から始まった新公益法人制度のセミナーを行いました。近畿会管轄で公益認定を受けた法人はまだ少なく、多くの特例民法法人は様子を見ている状況のようです。
 国際委員会では、平成19年10月に行われたCAPA大阪大会において、加盟国の会計・監査制度のパンフレットの作成や中国・韓国公認会計士協会会長とそれぞれの留学生との朝食会を開催しました。また平成20年12月には、友好団体である韓国公認會計士會釜山支會を訪問し、意見交換を実施しました。意見交換の中では、財務報告に係る内部統制監査が韓国ではレビュー業務となっているということが印象的でした。また前年度には、5回シリーズのIFRSセミナーを開催しました。第1回を協会本部の方に担当していただき、第2回〜第5回は大手4法人の方に担当していただきましたが、最近のIFRSブームを反映して各回とも非常に盛況でした。
 経理部では、昨年度の定時総会に議案として提出した近畿会会費の引下げを提案しました。近畿会会員の会費については、平成6年に月3,500円から月5,000円に引上げて以来、効率的で適正な執行に努めた結果内部留保が充実してきたところです。経理部において今後のシミュレーションをしたところ、今後の会員数増加により支出を上回る収入増が見込まれることなどから、今年平成22年の4月から暫定的に2年間、会員で月5,000円から月4,000円に、準会員で月1,200円から月1,000円に会費を引下げることとしたものです。
 
(当年度からの担当)
 当年度からは、従来の経理部(林紀美代部長)、非営利会計委員会(野邊義郎委員長)に加え、新しく分離独立した学校・CSR委員会(大谷智英委員長)、IT委員会(我那覇篤司委員長)を担当いたします。
 非営利会計委員会では、社会福祉法人小委員会において以前から検討していた「わかりやすい 新会計基準による社会福祉法人の決算実務(仮)」という本を出版する予定です。これは、近々公表される新社会福祉法人会計基準の解説を中心に、消費税のソフトや財務分析など実務に役立つ内容にする予定で、新基準が公表されれば出来るだけ早く出版したいと考えています。
 学校・CSR委員会は、非営利会計委員会と経営委員会の担当が多くなってきたため、それぞれの小委員会の一部を分離統合したものです。学校小委員会では、学校法人監査における審査委員の斡旋を現在実施しています。平成22年度監査から実施予定の本部監査業務審査会による大学法人のモニタリングについてもサポートを行いたいと考えています。CSR小委員会では、環境会計や温室効果ガス排出量取引などの低炭素社会に関する会計、CSR情報等についてのセミナーや事例研究を実施する予定です。
 またIT委員会では、会計監査を始めすべての公認会計士業務に関係するIT委員会報告第4号「公認会計士業務における情報セキュリティの指針」やそのQ&A(IT委員会研究報告第34号)の普及、啓蒙を図りたいと思います。
 これから3年間、副会長として精一杯努めたいと思いますので、皆さんのご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。