寄稿

豪州縦断グルメ旅(B級)

第24回リレー随筆
堀 貴行
 私の味覚は幼少期よりあまり変わっていません。せいぜい、ブラックコーヒーの苦さと、唐辛子の辛さが堪能できるようになったくらいです。なので、高級フレンチや特上寿司よりも、ラーメン、カレー、ハンバーグが好きです。高い値段を支払えばおいしいものが食べられるのは当然のことで、安い値段でおいしく食べられるB級グルメこそ、費用対効果の良い付加価値の高い食べ物と言えます。
 私は2002年〜2006年まで監査法人で働いておりました。そのころは出張があると、全国各地のご当地B級グルメを食べるのが楽しみでした。札幌では味噌ラーメン、名古屋ではひつまぶし、香川では讃岐うどん、福岡ではとんこつラーメン、長崎ではちゃんぽんを食べ歩きました。

 2006年から現在までは、一般事業会社の経理で働いているため、出張回数は激減し、そういった機会もなくなってしまい、少し残念なのですが、2008年8月、ひょんなことから妻と2人でオーストラリアへ旅行することになりました。仕事ではなく、プライベート旅行なのですが、懸賞に当たったようなものなので、ただで行くことができました。その日程ですが、6泊7日でゴールドコーストとシドニーを巡るツアーで、食事は朝は全て、昼は1回、晩は2回がツアーの中に組み込まれていました。ですので、それ以外は自分たちで食事をとることになります。
 今回、筆を取る機会を与えていただきましたので、オーストラリアでめぐり合ったご当地B級グルメについて、旅行の工程に沿ってご紹介したいと思います。
 最初の訪問地ゴールドコーストでは、コアラやカンガルーと触れ合い、ビーチやグリーンマウンテンを訪れるなど、オーストラリアの大自然を満喫することができました。旅2日目の夕食にカンガルーとクロコダイルの肉を食べました。肉は柔らかくて、臭みなどもなく、非常に美味しかったです。普段日本では食べられないものなので、貴重な体験ができ、楽しめました。

 ゴールドコーストで2日間過ごした後、シドニーへ移動しました。シドニーはゴールドコーストとは一転して、都会でした。都会ですが、徒歩圏内にオペラハウスやシドニータワーなど観光名所が集中しており、観光しやすい街でした。
 シドニーに着いたのが午前11時頃、一通りの説明を受けた後、午後1時からツアーに行くので、その間にどこかで昼食をとってくれと言われました。しかし、来たばかりの街(しかも外国)で、1時間ほどしか時間が無い状況で食事をしなければならないのは意外と難しく、どうしようかと思っていましたが、考えている時間ももったいないのでとりあえず街を散策しながら食事できるところを探していました。10分ほど歩いたところで、PLAYFAIR CAFEというハンバーガーやサンドイッチを売っているオープンカフェを見つけました。店員や客は全て外国人で日本人は一人もいません。どうやらシドニーのビジネスマンなどが昼食をとるような店のようでしたが、こういう店こそおいしいものを提供してくれるはずと思い、ここで昼食をとることにしました。
 最初はハンバーガーを2つ注文しようと思っていたのですが、他の客の食べている物を見て、1つに変更しました。そう、とにかく全てが大きかったのです。私が注文したチーズバーガーも面積が手のひらより大きく、1つで二人満足できるボリュームでした。形はいびつでしたが、それも手作り感があって良いものでした。そして、味も抜群でした。バンズにほどよい歯ごたえがあり、肉もとてもジューシーで、日本のファストフードの肉とは比べ物にならないくらいの美味しさでした。これで6豪ドルは安いです。まさにオーストラリアで出会ったthe best of ご当地B級グルメでした。
 シドニーでは、1日自由行動する日があったのですが、当然、昼食は再びそのカフェへ足を運んだわけであります。
 なお、他に食べたもので印象に残っているのは、シドニーで宿泊したウェスティンホテルの朝食バイキングにあったバターとブリスベン空港で購入した「POTATO CHIPS SEA SALT」です。オーストラリアのバターは日本で売っているものより美味しく、パンがいくつでも食べられました。さすがはパン食の国です。「POTATO CHIPS SEA SALT」は、日本の「うすしお」をより濃くした味でしたが、この塩が美味しくて、やみつきになりました。
 拙い表現ではありましたが、少しでもこれらの美味しさが伝われば幸いです。皆様が、シドニーへ旅行することがあれば、是非足を運んでみて下さい。ご満足していただける事と思います。