特集
各士業女性合同研修会

政策研究大学院大学副学長 大田弘子氏
 「日本経済について」 講演会

近畿会女性会計士委員会 俣野朋子

日時: 平成21年11月21日(土)14時〜16時
場所: 近畿会研修室
主催: 日本公認会計士協会近畿会、全国司法書士女性会、(社)大阪不動産鑑定士協会、全国女性税理士連盟
 今回の各士業女性合同研修会は、経済学者で元内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)、現在は政策研究大学院大学副学長の大田弘子先生を講師にお招きし、「日本経済について」と題して講演いただきました。大田先生はテレビ等で拝見する通りの綺麗な方で、気さくで気配りのあるとても素敵な女性でした。
 「日本経済について」と聞くと、マクロやミクロ経済などの難しい話ではと構えがちですが、実際にはとてもわかりやすく、また、数値やグラフを使いながらの説得力ある説明で、聞く人を退屈させない興味深い内容でした。
 まず、前提知識として、様々な切り口からの日本経済の現状についての説明が、次いで日本経済の3つの弱みについてのお話がありました。日本経済の3つの弱みのうち1つ目、非製造業の生産性が低いことについては、アメリカとの対比で6割程度という驚きの数字で、2つ目のグローバル化への取り組みの遅れについては、空港など身近な例で実感することができました。3つ目の人材を生かせていないことについては、女性、若者、高齢者の働きやすい環境づくりが最重要課題であるとのご見解でした。
そして最後にこれからの活路として、消費構造の変化を捉え、アジアとの密接な連携をつくるべしというお話で締めくくられました。
厳しい現状に対して具体的な例をあげながらの前向きな方策で、多少なりとも将来に明るい希望を持って講演を聞き終えることができました。
 
 その後の質疑応答は、大臣から現在の大学教授に至るまでのご経験等の様々な質問に対して、帰りの新幹線ぎりぎりまで時間を延長してお答えいただきました。
大臣になって良かったこと、悪かったことという質問に対しては、良い経験でやって良かったとは思うけれど、本当に大変、孤独でしんどく、今は野次や怒号が飛び交う国会に出なくて良いだけでハッピーだとちらりと本音を話されていました。
新政権に対しての評価は、鉄の三角形と呼ばれる既得権の構造が崩れたことは良かった、事業仕分けは見ていて気持ちがいいしやってみたかったと一定の評価をしながらも、他方では、製造業での派遣禁止、CO2の25%削減、最低賃金1000円など、マニフェストをそのまま実行すれば、日本の製造業は駄目になるとの厳しい見方でした。
また、不況が続く中、大田先生が大臣を務められた小泉政権の構造改革が全面的に悪者扱いされていることに対して、先生は今でも構造改革は重要で、改革なくして成長無しとのお考えでした。続く「女の道は一本道」という言葉に先生の強い信念を感じました。
 
 今回の講演会の参加者は80名超と大変に盛況で、性別、年齢を問わず幅広い方々にご参加いただきました。特に大臣までご経験された先生ということで男性参加者も多く、全体の半数以上を占めていました。

 また、今年は会計士協会が当研修の幹事だったこともあり、30名を超える会計士の方々にご参加頂きありがとうございました。これからも他の士業との連携を深めるべく研修会を続けていきますので、今後ともよろしくお願いします。
 
懇親会
 
日時:平成21年11月21日(土)16時半〜18時半
場所:CASA KICHIRI 本町
 活発な質疑応答で盛り上がった熱気そのままに懇親会も40名超が参加して大変に盛り上がりました。
 残念ながら大田先生にはご参加いただけませんでしたが、年に1度の恒例行事ということで旧交を温めるベテラン委員達の姿や、若手同士の新しい出会い等などがあり、和やかな雰囲気の中、楽しい時間を過ごすことが出来ました。
 普段接する機会の少ない他の士業の方々とのお話は、投資不動産の時価評価について不動産鑑定士の先生方のご意見を聞けたりと仕事にも役立つ有意義なものでした。