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監査会計委員会研修会の報告 |
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−適用1年目の総括と2年目に向けての課題と対応− |
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平成21年9月29日開催 参加者 92名 講師 溝口聖規 氏 |
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1.はじめに | ||||||
平成18年6月14日に公布された「証券取引法等の一部を改正する法律」(平成18年法律第65号)及び「証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(同第66号)に基づき、昨年4月1日より、上場会社等に対して、新たに内部統制報告制度とそれに伴う監査が導入されて以来、1年が経過しました。導入1年目の結果については、最近内部統制報告制度及びその監査結果に関して様々な報道がなされており、中でも金融庁より7月7日付けで「平成21年3月決算会社に係る内部統制報告書の提出状況について」が公表され、重要な欠陥があり内部統制が有効でないと報告書に記載された56社についての結果要約が報告されております。 導入1年目を振り返り、評価主体である経営者や監査人において、評価していく過程で種々の問題点や次年度以降対応すべき課題があったことと推察されます。結果として、3月決算会社が提出した内部統制報告書の合計2,670社からすれば、内部統制が有効ではないと報告された会社数は56社で全体の2.1%と、アメリカにおける制度導入1年目における提出会社数3,700社に対して重要な欠陥があると報告された会社数624社、16.9%に比して非常に少ない結果になっております。これは、日本企業の重要な欠陥に対するマイナスイメージが高かったことに加えて、内部統制報告制度への理解の高さと適用への積極的かつ組織的な取り組みの結果と評価されております。しかしながら、各社における取り組みの十分性や適用への効率性、効果性においては、まだまだ課題が残されていることと考えられます。このたびこの様な視点に基づき、上記56社の事例の報告に基づき導入初年度の課題を総括し、併せて、適用二年目に向けての課題とその対応について会員の皆様と問題意識を共有したいと考えて、今回、研修を企画致しました。 |
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2.内部統制報告制度初年度の結果分析 | ||||||
溝口氏より、2009年3月決算会社の結果分析に関してトーマツ企業リスク研究所公表の資料に基づき説明がありました。 | ||||||
1)内部統制報告書の評価結果 | ||||||
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2)内部統制監査の意見 | ||||||
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3)有効でないと評価した企業の分析 | ||||||
有効でないと評価した企業を分析した結果、売上高200億円未満の会社が31社と最も多く、従業員数では500人未満が32社で、取引所別では、ジャスダック21社、東証20社の順で多かった。 また、業種別では卸売業10社で情報・通信業8社、サービス業7社、電気機器7社の4業種が多いとの説明がありました。 重要な欠陥の分析では、決算・財務報告プロセスの不備を原因として記載している企業が最も多く、次に人材不足等の人的問題を原因としている企業が多かった。事実及び原因別の分類は以下の通りであります。 | ||||||
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1社に複数の不備があるため、上記の合計数は56社に一致しておりません。 | ||||||
4)総括 | ||||||
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3.内部統制報告制度初年度の総括と2年目の課題 | ||||||
西原和光氏からは初年度の総括について以下の項目とその具体的事例を解説頂きそれに基づく2年目へ対応について個々の項目ごとに御説明をして頂きました。2年目の対応の詳細については、紙面の関係上省略させて頂きます。 | ||||||
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4.最後に | ||||||
内部統制報告制度適用初年度において、会員の皆様方におかれましては、実施手続きにおいて、上記に述べた問題点や課題以外にも、列挙すべき問題点が多々あったかとご推察致します。しかしまだまだ問題点や課題を掲載している記事が少ないために、今回、溝口先生及び西原先生に協力頂き実際の体験に基づき具体的事例を踏まえて2年目の方向性をご解説頂きました。 2年目以降は、1年目での問題点や課題を解決するために、トップダウンリスクアプローチに基づく統制上の要点の絞り込みや文書化等の作業効率を向上させることにより、グループ・ガバナンスの強化が図られ、クライエントが制度導入の目的をより深く受け止め、積極的にこの制度に取り組むことを通じて、財務報告における企業不祥事が減少することを期待致します。 |
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