報告

「水都大阪2009」で公認会計士をPR

広報・事業部部長 野村政市

 
 広報・事業部では、平成21年9月19日、20日「水都大阪2009」水辺の学校へ協賛し、小中学生を対象に、ゲーム感覚で会計を学んでいただきました。日本公認会計士協会準会員会(旧会計士補会)の有志の方、募集に応じてくださった若手広報サポーターの懇切丁寧な指導により、ゲームを楽しんでもらいつつ会計の大切さを知ってもらいました。そして、最後には、一言、監査ということ公認会計士の業務とはどのようなことなのかまでPRしてきました。
 今回、私の何よりも嬉しかったのは、事業を進めていく上で、必要となる協力者が得られるかどうか心配しておりましたところ、日本公認会計士協会準会員会から多くの方に協力いただき、また、広報サポーターを募集したところ複数の方から協力が得られたこと。協力者なくして為し得ない広報でした。
 出展内容については、各人で案を持ち寄り、コンペし、楽しんで学べる内容でと決めたのちは、両日の担当グループが最初から最後まで運営していただけたことでした。到底、少人数の広報事業部ではできない、ボランティア広報でしたので、本当に協力いただきました皆さんに感謝、感謝、感謝です。  今回のイベント型広報の企画運営状況について、代表して辻本さんと播磨さんから寄稿いただきました。また、多数のボランティアいただいた方のうちから荻窪さん、芝アさん、川野さんから感想をお寄せいただきました。
 
大阪水都 9月19日開催分(ウォーター・スライダー・カンパニー)

近畿会 会員 辻本通孝

 「車にかかる費用よりもテストにかかる費用をどれだけ抑えられるかがポイントやな。」
 「ホントに必要なものを見極めて、いるものだけ買わなあかんな。」
 
 これらは、とある会社の経営陣の会話。経営の経験はおそらく誰もなく、人生経験も十分とは言い難い。彼らは近畿圏から集まった小学生。
 開始前に配布してある資料を見ただけで司会からの説明を聞く前になされたこの冒頭の会話を聞いた時、今回のイベントは成功すると感じました。
 
  平成21年9月19、20日の2日間、大阪活性化のために開催された水都大阪に「水辺の学校」(主催:読売新聞大阪本社、共催:日本公認会計士協会近畿会)として参加してきました。水にかかわる事象をテーマに小学生や中学生に会計を勉強してもらい、公認会計士という制度・職業について知ってもらおうとするものです。
  事前に決まっていた内容は「水をテーマに1時間の持ち時間に野外ステージで小学生・中学生相手に会計と公認会計士について知ってもらう。」だけで、後はまったくの自由です。実行は協会の「広報・事業部のサポーター」に登録している協会員と公認会計士準会員会の有志により行われることになりました。
  まずはテーマに沿ったどんなイベントを行うかを決定することになり、サポーターをいくつかのグループに分け、イベント内容に関するコンペを行いました。各グループから様々なアイデアに関するプレゼンテーションが行われ、結局2日間の日程で別々のイベントを実施することになりました。
  決定したイベントのひとつは、企業の利益概念と公認会計士の役割を小学生に理解してもらうビジネスゲーム「ウォーター・スライダー・カンパニー」。もうひとつは別の担当の方が紹介されるので、ここでは割愛します。 ウォーター・スライダー・カンパニー(以下WSC)は、大阪市が水陸両用車を発注する設定で参加チームには、水陸両用車を製造する疑似的な会社の経営を行ってもらいます。チーム毎に社長・経理・開発など役割を決定し車両を製造して最後に大阪市に対してプレゼンを行います。発射台から浅い水槽に向けて車両を走らせ、走行距離に応じて大阪市から代金が支給される設定になっており、代金(=売上)から原価を除いた利益が最も大きいチームが勝者となります。チームの人数に応じた費用も設定し人件費の概念を理解してもらうようになっており、発射台の制作もチームにしてもらい、チームは大阪市から厚紙、工具など(ハサミやセロテープ、ものさし、鉛筆すべてにレンタル料がかかる)を購入し、それを用いて制作します。また、チームで簡易なキャッシュフロー計算書のように穴埋め形式で作成できるようになった決算書を作成し、正しく作成されていることをチームの担当会計士が確認して、各チームが作った決算書にサインすることにしました。チーム毎に担任のような感じで担当会計士がついて、チームのゲーム進行と決算書作成について相談にのります。
  参加者である小学生はビジネスゲームを通じて、公認会計士という存在が何をする職業なのかを理解することになります。
 
 日々の業務の合間に時間を捻出し、幾度の打合せを重ねて詳細な設定、使用する数値を決めて備品などの準備物の手配に奔走、何とか当日に間に合わせました。今回のイベントにおいて最も頭を痛めたのが、ビジネスゲームに登場する様々な設定・用語・要点を小学生がどこまで理解できるかがわからないということでした。そもそも小学生に会計や会社という概念を理解してもらうことができるものなのか?これだけ複雑なルールを僅か1時間、ゲームそのものの実施時間はせいぜい40分程度の間に理解し全チームが採点対象となる決算書作成までたどり着くのか?このような不安を抱えつつ「水辺の学校」当日を迎えました。
  WSCには近畿全域から約40人の小学生が参加してくれました。グループでの参加もありましたが多くは1人での参加であり、初めて会った小学生同士がスムーズにゲームを進行することができるか心配ではありました。しかし、そこは流石に子供で担当会計士のフォローもあり、すぐに打ち解け合い仲良くゲームを楽しんでくれていました。逆に、他人とすぐに打ち解ける能力は子供を見習わなければと思わされるほどでした。
  各チームには、当日手伝ってくれる広報サポーターのみなさんが担当会計士としてつきました。小学生に「お兄さん」と呼んでもらうか「おじさん」と呼んでもらうかということも含め、どのように接するかに戸惑うサポーターもいましたが、最終的には一緒になってゲームに勝とうとサポーター自身も楽しんでいたように見うけられました。中にはゲーム終了後にチームの小学生から記念撮影をせがまれた方までいました。サポーターのみなさんは全てボランティアで行っているわけですが、今回のようにボランティアをする側も楽しめる形にすることができれば継続的にボランティアの参加者も望めるのではないかと感じました。
 
  一方、ゲームは小学生から企画段階では予測しなかった奇抜なアイデアが次々と飛び出し、下手をすれば全チーム赤字に終わるかといった杞憂を吹き飛ばして7チーム中上位4チームが黒字を確保し豪華賞品を手に入れていきました。作成した決算書に間違いがあるとその分利益から減点されるため、正しい決算書を作成したチームが上位に行くことになり正確な決算報告をすることの大切さも学んでいただきました。
   最終的には会計士も驚くコストカットを実現したチームが優勝に輝き、おおげさですが日本の未来に希望を見た気がしました。
   水都大阪を通じて、当日多くの小学生と保護者の方に楽しんでいただき、公認会計士という存在や制度に触れていただいたことはもちろん、若手の広報サポーターが主体となって最初から最後までイベントを運営できたという点において非常に有益であったと思います。
  今回のイベントに携わったすべての方々にこの場を借りて御礼を述べさせていただきます。ありがとうございました。
 
大阪水都 9月20日開催分(「大予想!大繁盛!かき氷屋さん!!〜一番儲かるかき氷屋さんはどれだ!?〜」)

近畿会 準会員 播磨宏美

 1. 「水都大阪 2009」への参加経緯
 「水都大阪 2009」というイベントをご存知ですか?地下鉄でのポスターやアナウンスによる宣伝や、橋下大阪府知事が記者会見をされる際のボードで、名前だけでもご存知の方が多いのではないでしょうか。
 今回、士補会(現 準会員会)から「水都大阪2009」に参加してみないかというお誘いがあり、このイベントに参加させていただきました。また、普段接する機会があまりない小中学生と交流を深めたいと思ったこともきっかけの一つです。
 
2. イベントの内容
 「大予想!大繁盛!かき氷屋さん!!〜一番儲かるかき氷屋さんはどれだ!?〜」という催しを9月20日に実施しました。
  参加して下さった小・中学生のみなさんに、かき氷屋さんという身近な物を通し「会計」に興味を持ってもらおうという趣旨です。
 具体的には、3種類の異なる特徴(人件費がかかるお店、固定資産代のかかるお店、人件費も固定資産代もかからないお店)をもつかき氷屋さんについて売上・原価・利益を計算し、どのお店が一番儲かっているかをチームで予想してもらいました。
 
3.当日の様子
  準備段階では、会計の問題が小・中学生に理解できるのだろうか、そもそも会計というものに興味を 持ってくれるのだろうかなど様々な不安がありました。しかし、ゲームを始めてみると皆真剣に問題に取り組み、チーム内で激しい議論を交わし、思った以上に興味を持ってくれました。どのチームも悩みながらもスムーズに問題を解き、小・中学生の賢さにびっくりしました。また、時間に余裕があれば解いてもらうつもりで用意しておいた「損益分岐点を求める問題」もすべてのチームが解答し、問題を解くスピードにも驚かされました。そして優勝したチームは、なんと全問正解でした。他のチームも解答・解説を配ると、「間違ったところが気になる!」と解説とにらめっこをしていました。ゲームであったとはいえ会計に少しは興味を持ってもらえたのではないでしょうか。
  解答できたチームからご褒美のかき氷を配りました。当日は晴天で気温も高く、かき氷は大人気!おかわりをもらいにくる子供もたくさんいました。難しい問題を解いた後のかき氷は格別においしかった様です。
  「会計」と言う言葉を知らなかった子供たちに、「会計」は「難しいものではないのだ!楽しい!」と身近に感じてもらえたのではないかと思います。今後もこの様なイベントを通じて小・中学生に興味をもってもらい、いつか将来なりたい職業として「会計士」という言葉が出てくることを願っております。  最後になりましたが皆様のお陰でこのイベントを成功させることが出来ました。 ご協力頂いた皆様、有難うございました。
 
 【企画・運営ボランティアいただいた方から寄せられた感想】

(荻窪 輝明さん)

  水都イベントに参加させていただきありがとうございました。
  一人では決してできませんでしたが、なんとか子供たちに喜んでいただけるイベントにしようとみんなで協力し合えたと思います。
  私自身、子供向けイベントへの参加経験がなく不安でしたが、子供たちの方から積極的に参加してくださり学習意欲の高い子どもたちに囲まれ大変良い勉強になりました。
  また、初対面の子供同士が1時間という短い時間にもかかわらず仲良く団結して良い成果を残そうと頑張っているのが非常に印象的でした。

 (芝ア 晃さん)
水辺の学校は大成功だったと個人的には思っております。 私の妻も見に来ており、協会のブースは皆さんが真剣に取り組んでいたと感心しておりました。

(川野兵馬さん) 水都大阪2009に参加して
   私は、準会員会(旧会計士補会)の幹事として、広報・事業部の方々と連携してイベントの企画運営をお手伝いさせていただきました。元々、人が集まるイベントの企画や運営をすることが好きで、お話を頂いた際は、二つ返事で参加させて頂きました。当初水辺の学校と言うことでどういう内容がいいのか頭をひねりましたが、私はいいアイデアが出ない。しかし、3人寄れば文殊の知恵と言うように他のメンバーからいい案が考えられ、それに対して改善点が提案されと企画が充実していきました。当日も企画が良かったため、参加した子供は飽きることなく熱心に取り組み、かわいい笑顔を見せてくれて、準備の苦労が吹き飛びました。イベントが終了し、この中から将来会計士になってくれる子がいると嬉しいなと思いながら満足気に帰っていく子供の背中を見送り、私の水都祭が終わりました。  
 
【広報・事業部から今回の広報活動の効果について】
新聞広告を見て相当数の応募があったことから、多くの方の目にとまったものと思われます。
また、水辺の学校開催中の9月19、20日は、水都大阪2009のタブロイド版の新聞が、4万部会場周辺で無料配布され、その中でも日本公認会計士協会近畿会による本イベントの広報やハロー会計への取り組みの広報ができました。
  今回のイベントを通じて子供が若手会計士と接触することにより、その存在感をアピールできたと思われます。
 多くの若手会計士からの協力が得られ、広報(後進育成)に関する輪が広がったと思われます。
ボランティア活動に目を向ける若手会計士が多数いることがわかり、今後も協会活動に自主的に協力いただけることがわかりました(若手の会務への参画)。
水都大阪2009という「市民が主役」の大きなイベントに参加し、企画の立案から当日の運営まで市民たる日本公認会計士協会近畿会で取り組み、貢献できました。