寄稿
リレー随筆〜異色の会計士シリーズ〜

私が公認会計士を目指すまで

 第21回リレー随筆 小川裕子

 異色の会計士シリーズ第1回を寄稿させていただくことになりました。
  事の発端は、準会員会(旧士補会)のメンバーとして地区会長会に出席させていただき、懇親会で中務会長に私の経歴をお話させていただいたことから始まりました。
  話のネタになるような経歴ですが、公認会計士試験に合格してまだ2年で未熟者です。このような私ですが、僭越ながら私の経歴を紹介させていただきます。
 
〜大学受験まで
 医者の家系であったこと、医療を通じて社会の役に立ちたいと考えていたこと、また周囲の理系の友人の大半が医学部を目指していたため何の疑いを持つことなく医学部を目指し受験。
〜大学進学

医学部で受かったのが私立の医大と防衛医科大学校のみだったため、防衛医科大学校に入校。

 

〜大学時代 

 医学部の学生であると同時に自衛隊の生活が始まる。全寮制で衣食住付き、朝夜の点呼等自衛隊ならではの生活でしたが、慣れてしまうとあまり苦に感じることなく楽しく過ごす。大学では「学生隊」という組織を編成し、その中で学生長や幕僚という役職に就く。その他防衛医大でなければ出来なかった自衛隊ならでは経験としては、匍匐前進の訓練、銃を撃ったり、戦車に乗ったり、練習艦に乗ったり、硫黄島に行ったり、観閲式にて故小渕首相を生で拝見したりなどなどありました。  部活は、中高5年間やっていた舞台照明に携われるということで演劇部に所属。それから芝居を見に行くようになり、より舞台照明に魅かれる。

〜大学中退
 法医学に立ち会い、焼死体や刺殺のご遺体を目の当たりにし「死」と直面し私の力量では医者は無理と実感し、4年の時に中退。
 
〜劇団に入団
 大学を中退した時に、ちょうど憧れの舞台照明家が主催している劇団が照明助手を募集していたため即応募し、劇団所属の照明助手兼制作となる。  照明助手としては本番でのスポット担当し、制作では劇団HPやグッズ(販売用台本作成やTシャツの発注等々)を担当。劇団を通して初めて会計と出会い「会計に詳しくなれば劇団の役に立てるかも?」と安直な考えから、簿記の勉強を始める。
〜公認会計士目指す
 簿記を面白いと感じたので、会計に関する資格を調べ公認会計士を知る。監査やコンサル業務を通じて、会計的な面で企業の治療をしていくことによって、社会に貢献したい!と考え、公認会計士を目指すことを決意。
 
〜合格そして現在
 平成19年11月公認会計士試験に合格し、現在、あずさ監査法人で監査業務をさせていただいております。  このような経歴の私ですが、これから会計士としてやっていきたいことは現在2つあります。1つは、病院の監査及びコンサルティング業務、もう1つは、公認会計士の広報活動です。前者については、周りの友人・知人に医療従事者が多く現場の声を聞く機会が多いため、病院経営の面において公認会計士として貢献していきたいと思っております。後者については、私自身が公認会計士を知ったのが遅くもっと早く出会っていれば良かったと思うところが大きいため、広報活動を通じて公認会計士の認知度をあげていきたいと思っております。  確かに変わった経歴ですが、私自身はその時々の流れに任せて選択をしてきて今に至ります。また、選んできた道はすべて「裏方」という点で、共通していると思います。患者あっての医者、役者・観客がいての舞台照明家、企業・投資家あっての公認会計士だと思っています。役者をやったこともありましたが、このように振り返ってみると、私は「裏方」というのが合っていると思っています。  遠回りして会計士になりましたが、会計士を選んで良かったと思っています。年齢を重ねるにつれ保守的になってきつつありますが、やらずに後悔することのないよう積極的に勉強や色んな活動をしていきたいと思っております。