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監査現場再生特別委員会の新規委員募集 |
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監査現場再生特別委員会 委員長 佐伯 剛 |
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■ はじめに | ||
我が国の会計・監査制度はこの数年、大きく改正が行われ大幅な改善が行われました。しかしその反面、監査現場での若手・中堅会計士が疲弊し、我国経済社会のインフラである財務諸表監査からの離脱傾向が指摘されました。そこで、平成20年4月に近畿会は監査現場再生特別委員会(以下、「当委員会」と言う。)を設置し、監査現場の問題点を「ディスカッション・ペーパー」として整理し、その問題点を近隣地域会の協力を得て約6000人の会員にアンケート調査(回答854人)を実施し、客観的な統計分析による検討を加えました。 |
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■ 提言書 | ||
その結果、監査現場疲弊の要因を「監査時間が少ない」「監査のヤリガイが無い」「処分が不透明」の3項目に整理し、日本公認会計士協会本部・金融庁等と意見交換を行い、平成21年4月に「監査現場再生に向けた提言書」にまとめ日本公認会計士協会に提出しました(近畿会のホームページにて公開中)。また、平成21年7月には日本監査研究学会第32回西日本部会の統一論題テーマを「監査現場の課題と再生」として学者(関西大学・松本祥尚氏)・弁護士(山口利昭氏)を交えて討論会を行い、その内容の一部は近畿CPAニュースで掲載されています。 | ||
■ 活動成果 | ||
当委員会の活動は上記の「提言書」に集約されますが、この作成過程で新聞取材記事として広く取上げられ、会計専門雑誌への投稿や、中日本五会研究大会の報告等々を通じて情報発信を行い幅広い議論を展開することができました。特に活動成果として、日本公認会計士協会本部が当委員会の「提言書」を受け、平成21年7月に「行政手続対応検討部会」(小川泰彦氏が部会長)を設置し、日本公認会計士協会と金融庁の懲戒処分の透明性について検討を開始した点が挙げられます。 | ||
■ 今後の活動予定 | ||
当委員会は、@監査時間の不足に深く関連する「監査調書」、およびA監査のヤリガイに係る「指導機能」の問題は監査法人自からが解決して行くべき課題であると結論し、またB「処分の透明性」については日本公認会計士協会本部の上記部会に部会長(小川氏)と部会員2名(高〈はしごだか〉谷氏・佐伯)の合計3名を送り込むことで一つの成果が得られたと判断し、当初参加頂いた構成委員を一旦解散することにしました。 ただ、上記の提言書で取上げた課題のなかで、緊急性がありながら未だ議論が深まっていないテーマとして「会計不正事件での司法判断」が存在することから、再度新しく委員を下記要領にて募集し、当委員会での調査・検討を継続することにしました。(尚、委員長(佐伯)と副委員長( 谷)、オブザーバー(内藤氏・甲南大学教授)は留任。) |
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■ 募集内容 | ||
・任 期 平成21年11月1日〜平成22年6月21日 ・研究報告 「会計不正の監査に関する司法判断の課題」(仮) ・作業内容 複数の会計不正事件の判例資料を基に、会計・監査の判決内容を検討し、学者・司法関係者と意見交換を実施し、その現状と課題を整理し研究報告として公表する。 ・公表手段 近畿会ホームぺージ、セミナー開催(大阪弁護士会と共催予定)等 ・申込み方法 平成21年10月30日(金)までに近畿会(担当・松岡: メールアドレス:t-matsuoka@jicpa-knk.ne.jp、 電話:06−6271−0400)へ申し込みください。 |
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■ おわりに | ||
会計不正事件が我国経済に与える影響が顕在化しており、民事・刑事訴訟での判決が監査現場に大きく影響を与える状況にあります。会計不正事件で我国の裁判官が、会計・監査基準をどのように認識し、また、会計監査人の善良管理義務とリスクアプ ローチや、過失・無過失をどのように判断したのかを職業的専門家の立場から調査・検討し、広範な議論を展開する必要があると思います。興味のある会員の参加をお待ちしております。 |