眼鏡と聞いてみなさんは何を思い浮かべますか。
「ドラえもん」に登場するのび太くんでしょうか。
「ちびまる子ちゃん」のまるおくんでしょうか。一般的に眼鏡は視力矯正道具との認識が持たれています。裸眼では近くのものが見えない、乱視がきつく 視界がぼやけるといった視力に関する悩みを解決さ せる道具を眼鏡と呼ぶはずです。
しかし、近年この眼鏡に対する概念が大きく変 わってきています。「伊達眼鏡」といわれる視力矯正機能を有しない眼鏡を着用する芸能人が増え、一般人までもが伊達眼鏡を着用し始めています。街中の本屋さんに立ち寄ってみてください。そこで眼鏡雑誌を手にとると、『眼鏡』ではなく『アイウェア』という言葉が用いられています。『アイ(= 目)、ウェア(=服)』という意味からもわかるように、眼鏡はもはや視力矯正道具としてだけではなく、『目に着る服』というファッションの領域に達 したものと認識されているのです。
僕が初めて眼鏡に興味を持ったのは大学2回生の夏でした。当時、服飾品が大好きだった僕は学部の友人と例年のように夏のバーゲンに出かけていまし た。一通り満足のいく買物をした後に友人とカフェで語り合っていると、ひとつの質問を投げかけられました。
「お前、なんでいつもコンタクトなん?眼鏡せーへんの?」 「眼鏡はガリ勉君みたい。」というイメージを抱い ていた僕に対し、ファッションに詳しいその友人は長々と語り始めました。
夏はオシャレには向かない季節。なぜならTシャツ1枚で自己主張するにもそこでは自分の体型やTシャツのブランド力に頼る羽目になりがちだから。 センスのいい眼鏡をつければアピールし過ぎないさり気ないファッションを楽しむことができ、全体的にオシャレな印象を作れる…。
単純で人に影響されやすい僕はすぐに南船場に向 かいました。初めて入った高級眼鏡専門店。入り口の佇まい、内装の重厚感、見るからに高そうな眼鏡…。それまで量販店で売っている眼鏡しか知らなかった僕は衝撃を受けました。
「眼鏡ってこんなにカッコイイもんなんや!」 そこには今まで見たことのないような個性あふれる眼鏡が並んでいましたが、どの眼鏡もそれぞれに特長があり、近くで見ると独特の高級感を漂わせてお り、そして何よりもかけ心地が抜群であることに驚 きました。
「これなら一日中かけていても全く疲れない!」 学生アルバイトの給料では手の届く価格ではなかったためウインドウショッピングがメインでたまにしか購入できませんでしたが、僕の眼鏡への興味はその後どんどん増え続け、今ではすっかり『眼鏡コレクター』になってしまいました。
常識的に考えて、高価な眼鏡をいくつも持つなん てお金の無駄遣いで馬鹿げた話だと思われる方も多
いと思います。確かに、視力矯正に必要な一本以外 は完全に嗜好品であり単なる自己満足かもしれませ ん。しかし、「目は口ほどにものを言う」という諺もあるように、目は人が人と接するうえで最も多く見られるところであり、人の印象を決めるうえで大きなウエイトを占めるところです。そんな重要部位 にかけるお金は自己満足だけでなくプラスアルファの何かが得られるかもしれません。一般的に男性は靴や時計、女性は美容やアクセサリーにお金をかけ る人が多いですが、靴や時計、アクセサリーよりも 最も他人から見られるところはまぎれもなく「目」
なのです。さらに最近のレンズは大半が紫外線カッ ト機能が組み込まれているため、視力矯正のみなら ず眼球の保護等にも効力を発揮し、ファッション以外の観点からも眼鏡は有効な道具になりうるのです。
頑張って働いて稼いだお金の使い道は人それぞれ千差万別。我々の業界では旅行や飲みに使う人が多 いようです。旅行は世界観を広げ、世界中の文化に直に触れることができる意味から素晴らしい使い道ですし、飲みも人脈を広げ、コミュニケーション能力を向上させることができる魅力的なお金の使い道だと思います。そういう意味では眼鏡にお金をかけ るのはもったいないことかもしれません。でも、もし繁忙期に稼いだ貯金が余っていて使い道が見当たらないという幸せな方がいらっしゃいましたら、自分に合った眼鏡を一本をご購入なさってみてはいかがでしょう。良い眼鏡は長く愛用できますし、眼鏡のバリエーションが増えれば、気分によって毎日か ける眼鏡を変えてみるという些細な楽しみが増える と思います。
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