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第30回日本公認会計士協会研究大会 |
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「翔る!公認会計士 ―グローカリズム時代に果たす使命― 」 |
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■日時:2009年8月6日(木) ■場所:新潟市朱鷺メッセ(新潟コンベンションセンター) |
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日本公認会計士協会研究大会前夜祭 | |
研究大会前夜祭は、築31年の老舗であるホテルオークラ新潟で開催されました。老舗らしく、信濃川にかかる萬代橋のたもとという景観のよい所にありました。前夜祭の参加者は、話しによると、当初300人の予定であったのが、人気が高かったため400人に変更されたとの事でした。一部には、申し込みが遅かったため断られた方もいたようです。食事は着席形式で、新潟地元の食材を使ったコースメニューでした。飲み物に関しては、酒ど ころ新潟ということもあり7種類の地酒が用意されました。ただ、お酒好きの方が多いせいか、すぐに無くなりました。さて、アトラクションですが、新橋、京都祇園と並び称される新潟の古町芸妓よる踊りや唄のおもてなしと、新潟の観光名所や特徴を紹介するポートクイーン新潟による観光プレゼンテーションがありました。その後も芸妓が各テーブルにお酌をして回りました。楽しい前夜祭も時間が来て、盛況の内に閉会となりました。 |
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(報告:古野康和) |
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第30回 日本公認会計士協会研究大会 | |
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【研究発表 10:30〜14:50】 | |
研究大会のメインテーマ、サブテーマを受けて企画された 研究発表のテーマは、以下のとおりでした。 | |
●午前の部 10:30〜12:10 | |
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●午後の部 13:10〜14:50 | |
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取材では、午前の部の第2会場と午後の部の第4会場に足を運ばせて頂きました。 |
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午前の部 | |
午前の部 第2会場においては、「国際会計基準に 対応する監査人の役割 〜原則主義のもとでの監査 人の判断のあり方について〜」と題して、青山学院 大学大学院教授の八田進二氏、橋本 尚氏、町田祥 弘氏による発表がなされました。その主な内容は以下のとおりです。 | |
はじめに(研究の目的) | |
冒頭に八田氏より、IFRSに対応する時期を見 据えて公認会計士がどのように対応するかが今回のテーマ選定の背景にあるとの説明がなされました。 | |
T.公正な会計慣行に対する理解と監査人の判断 | |
(八田氏) |
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現状、「公正なる会計慣行」の解釈は、刑事犯罪の 成否に関わる重大な争点であるにもかかわらず、裁判 所の判断は分かれている。解釈は、「公正なる会計慣 行」が「唯一」のものかどうかという法律家の視点だ けでなく、会計専門家からの視点をいれて確立する必 要がある。法律実務家と会計実務家の間において、 企業実務に有用性のある意見でもって「公正なる会 計慣行」を考える必要がある。また、検討の際には 会計監査実務に無用の萎縮的効果を与えないように 留意する必要があると説明されました。 | |
U.国際会計基準の特徴と原則主義の意味合い | |
(橋本氏) | |
最初にIFRSの特徴を説明されました。原理原 則を明確にし、例外を認めない原則主義を最大の特 徴として挙げました。次に、IFRS導入に向けた わが国の課題と展望を説明され、各企業が判断する 部分が増えるので、従来と違った制度対応が必要で ある。現場における判断が求められ、専門的な判断 の定着化・共有化を図っていくことが求められる。 原則主義に対応するには、自分で考える事ができ、 的確な判断を下せる人材の育成が不可欠である。企 業は会計判断の正当性について根拠を残すことがこ れまで以上に求められる。また同業社との積極的な 情報交換により適用経験や事例を蓄積・共有できれ ばグローバルスタンダードが形成されることにな る。最後に、より専門的な能力が求められることに なるので、説明責任を遂行できる人材の育成が必要 であるとし、具体的には、会計基準に対する理解、 取引実態の把握、実務適応能力を挙げられました。 | |
V.会計方針をめぐる経営者の判断と監査人の判断 | |
(町田氏) | |
今後、厳格化が想定される監査環境のもとでの監 査人の判断に必要なものとして、・プロフェッショ ナル・ジャジメント、・判断自由の原則を支えるプ ロセス主義(プロが行った判断を結果だけで判断し てはいけない)、・プロセス主義を支える自主規制 による高度な品質管理と倫理観の向上(プロセスに ついては、事務所レベルで適切に管理しておく必要 がある)、・被監査企業における適正な財務報告プ ロセスとそれを支える会計スキルを有した人員を挙 げられました。 | |
W.まとめ:監査人に求められる判断の本質と特質 | |
(八田氏) | |
IFRSのもとでは、・経営者は会計処理の判断 プロセスを詳細に説明すること ・監査人はこの説 明の適否を判断すること ・いかに適正と判断した のかの判断プロセスの適切性 の3点が求められ る。今後は、IFRSの原則主義のもとで実務が積 み重ねられ、それが会計・監査上の判断の慣行を形 成していくことになる。監査判断は長年にわたって 積み重ねてきた実務慣行で、外部から図り知ること ができないという特質を持っている。今、正に監査 人には会計プロフェッションの本質が問われようと していると最後を締めくくりました。 | |
(報告:古野康和) |
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