取材

近畿会第43回定時総会報告

会報部 副部長百々季仁

 
 平成21年6月5日(金)午後2時から、ホテル阪急インターナショナルにおいて日本公認会計士協会近畿会の第43回定時総会が開催されました。総会の次第に従い、その内容を報告いたします。

 

T.定時総会(午後2時〜午後4時20分)
1. 開会の挨拶(蔵口康裕副会長)
2. 物故者に黙祷
  物故会員・準会員のご冥福を祈り、出席者全員が黙祷を捧げました。
3.  報告事項
 
(1) 第43事業年度 事業及び会務に関する報告
   各担当副会長より、各担当事業についてそれぞれ詳細な説明が行われました。
   【総務、経理、非営利会計、国際】
 

・・・・蔵口 康裕担当副会長

  【経営、法務会計、女性会計士、公認会計士制度 
60周年記念事業特別委員会、監査現場再生特別  委員会】
  
 

・・・・小川 泰彦担当副会長

  【会報、広報・事業、IT】
 

・・・・小山 謙司担当副会長

  【厚生・地区会、会員業務、税制・税務】
 

 ・・・・蔭山 幸男担当副会長

  【監査会計、社会・公会計、研究・CPE研修、
 第17回CAPA大阪大会実行特別委員会】    
 

・・・・遠藤 尚秀担当副会長

  【小規模事業体監査特別委員会】    
 

・・・・・・・中務 裕之会長

  以上、担当副会長から事業報告についての説明を行った上で、出席者からの質問に移りました。質疑内容は以下のとおりです。
   
  定時総会の中で行われた質疑応答の概要は、以下のとおりです。
 
(質問) 近畿会・兵庫会・京滋会との統合についてどのような協議が行われたのか。
(回答) 近畿会での役員会での協議はこの1年間ではなかった。協会本部でそのような議論を行っているところである。今後の議論の予定も未定である。
   
(質問) 地区会のあり方及び実績についてどのような協議が行われたのか。
(回答) 活発に活動していただきたいと考えており、活動が活発でないところに対しては、提言及び支援を行っているところである。地区会の目的については、各地区会の規約に記載しているとおりであり、「親睦」もその中には記載されている。まず親睦していただき、それからさらに活動を活発化していただきたいと考えている。
   
(質問) 広報活動は、近畿会にとってどのような意義があり、どのような目的で行われているのか。
(回答) 次の事業報告で説明したい。
   
(質問) 近畿会の支出のルールについて、どのようになっているのか教えていただきたい。
(回答) 支出については近畿会の経理細則に記載されており、50万円以上の支出決裁は経理部長、50万円未満の支出決裁は事務局長となっている。支出前の意思決定段階の点については、会計監査人の指摘もあり、「決裁に関する取扱要綱」を定めて運用している旨の説明があった。
   
(質問) 中務会長が大阪証券取引所の監査役候補者になっているようだが、現職の会長がそのような役職につくことについてどのように考えているか。また、近畿会での手続はどのようになっているのか。
(回答) 個人に対しての社外監査役への就任の打診ではあるが、利益相反等の問題が生じるか否かについて、正副会長会議に諮り、特に問題はないと判断した。
   
(質問) 会員業務部からの推薦については、公的な依頼については、広く募集する等工夫してはどうか。
(回答) 推薦に当っては、公平性を基本に考えており、会員台帳に登録していただき、その中から推薦することを原則としている。ただし、特別な知識・経験が必要と判断される場合は、各部・委員会からの推薦に基づき、会員業務部から推薦している。
   
(質問) 中ノ島公会堂での費用はどれくらいかかったのか、近畿CPAニュースにおいての塚本氏(ドラマ監査法人の主役)へのインタビュー費用はどれくらいかかったのか。
(回答) 竹中氏の講演料は約150万円、塚本氏へのインタビューは取材費等含めて約55万円との報告があった。
   
4. 審議事項
   当定時総会の本人出席者数117名、書面決議書提出者数617名である旨説明された上で、以下の事項が審議されました。
 
(1) 第43事業年度予算外支出並びに収支計算書及び財務諸表承認の件
  〔定時総会議案書 37〜52ページ〕
  谷晋介経理部長より予算外支出並びに収支計算書及び財務諸表の概要について説明がありました。
   
  〔監査報告 53ページ〕
  谷口弘一監事より、「第43事業年度収支計算書及び財務諸表は適正」である旨の監査報告がありました。
 以上の結果、賛成多数で可決されました。
  事前に質問があった事項に対する回答の概要は以下のとおりです。
 
(質問) 賀詞交歓会、総会後、中日本五会研究大会後のパーティーの収支差額を説明してほしい。
(回答) 収支差額の内容について詳細な説明が行われました(谷経理部長)。
   
(質問) 部会交付金の使途を教えていただきたい。
(回答) 部会交付金の使途等について詳細な説明が行われました(谷経理部長)。
   
(質問) 広告宣伝費等事業活動に関する支出の内容について教えていただきたい。
(回答) 定時総会議案書を参考にしながら、詳細な説明が行われました(谷経理部長)。
   
  その他、事前質問に関しては、かなり詳細な質問があったようです。谷経理部長から詳細、かつ丁寧な説明があり分かりやすかったと思います。

 

  定時総会の中で行われた質疑応答の概要は、以下のとおりです。
 
(質問) 今回から総会で説明しなくて良いように議案書に記載していただきたいと思う。
(回答) 本部の計算書に準じたものを議案書に載せている。大幅な予算差異についてはその中で説明したいと考えているが、それ以外のものについては、口頭で説明したいと考えている(蔵口副会長)。
 
(2) 会費引下げに係る日本公認会計士協会近畿会規約の一部改正(案)承認の件
  高濱滋総務部長より会員増加等による収入増加などの影響により会費を引下げたい旨の詳細な説明があり、賛成多数で可決されました。
(3) 定時総会の開催時期に係る日本公認会計士協会近畿会規約の一部改正(案)承認の件
高濱滋総務部長より各地域会の定時総会が一定日に集中すること等もあり、総会の開催の時期に関する規約変更を行いたい旨の説明があり、賛成多数で可決されました。
(4) 第44事業年度事業計画(案)承認の件
中務裕之会長より、第44事業年度の事業計画(案)のスローガン、基本方針、重点施策について説明があり、賛成多数で可決されました。
【スローガン】〜社会の健全な発展に寄与する公認会計士業界を目指して〜
 【基本方針】我々の業務への信頼性を一層高め、独立性、専門性という我々の特長を活かして、「会計あるところに監査あり」を発展・浸透させる。加えて監査業務以外の業務の拡充を図る。もって社会の健全な発展に寄与する。
【重点施策】
@ 上場会社等の監査に関して監査現場の視点から見た課題について研究、提言を行う。
A 小規模事業体の監査に関する品質管理について研究、提言等を行う。
B 内部統制監査、四半期レビュー制度の円滑な運用に向けた活動など監査の充実や信頼性の向上に努める。また、国際税務報告基準導入に関するタイムリーな情報提供を行う。
C 地方公共団体における会計制度の発展及び財務情報の信頼性担保制度の充実に関する研究や新公益法人制度の研究を踏まえて社会公会計、非営利会計の発展、拡充のための施策を行う。
D 非財務情報チェックリストの普及や事業承継の研究などを踏まえて中堅・中小企業の発展のための施策を行う。
E 会員(特に中小事務所向け)の業務に役立つセミナーなど会員業務への支援並びに若手会員による活動への支援を行う。また、会員一人ひとりの主体的な会務への参画を促進する。
F より魅力ある業界、協会、地域会となるよう研究、提言等を行う。
G 我々の諸活動が社会に広く理解されるべく積極的な広報活動を行う。
(5) 第44事業年度収支予算書(案)承認の件
谷晋介経理部長より、第44事業年度収支予算書(案)の説明がなされ、賛成多数で可決されました。
5. 会員褒章
  協会活動に永年貢献してこられた7名の会員が、近畿会褒章細則第2条第1項第1号により褒章されました。表彰された方々のご活躍のおかげで今の公認会計士業界があると改めて思い、また、これからも私自身より一層がんばっていかないといけないと感じたり、非常に感慨深いものでした。
   
6. 閉会の挨拶
  中務裕之会長より閉会の挨拶がありました。

U.協会本部会務報告 (午後4時30分から午後5時50分)
協会本部木下専務理事と近畿会中務会長との対話形式で最近の本部会務について説明されました。 そのうち私が興味を持ったものの概要は、以下のとおりです。
   
1. 継続的専門研修制度の運営
   単年度で40単位の取得が必要だったが、3事業年度120単位のローリング方式に変更されることとなったそうです。
2.   職業倫理・法令遵守
   インサイダー取引について、金融庁からの防止対応策の要請があり、それに対して、具体的な指針を平成20年9月に公表しているそうです。
3.   懲戒処分フレームワークの検討
    「退会勧告」というものが新たに処分内容に含まれている。「戒告」「会員権停止」のすべてについて行政処分請求をできるようになった。 中には会費を30年も未納となっている会員がいるそうで、そのような会員への対応が難しいとのことであったが、そのような会員がいること自体にびっくりしました。
4. 政治資金監査人の登録受付開始
   平成21年5月20日現在、公認会計士536名、弁護士203名、税理士2,039名が登録しているとのことである。「監査」の内容は「合意された手続」に近いものであり、公認会計士からすると「監査」ではないと感じた。それにしても税理士が2千人以上も登録するとは、すごいものだなあと感じました。
5.  会計基準のコンバージェンス等に対する対応策の検討
   アメリカが2008年8月にIFRS受入ロードマップ公開草案を公表してから、すごい勢いでコンバージェンスに関する議論が進んできたが、オバマ政権になってから「ロードマップを見直す必要がある」とのことである。今までの大きな流れが大きく変更されることはないと思うが、今後の展開が見逃せないと思う。 また、国際会計基準の翻訳版は読んでも意味がよく分からないそうで、現在改訂作業を進めているとのことでした。私は英語で読むなんてとてもじゃないので、携わっている方は、是非がんばっていただきたいと思います。
6.   会計プロフェッションとしての多様、多才な人材を確保し育成するための施策
   合格者がすごく増加していることは知っていたが、合格率が15%を超えているのを知ってびっくりしました。これから合格する人は、就職できるのでしょうか。合格した人の教育、経験は十分に出来ていくのでしょうか。企業内会計士を育成すればよいとの意見もあるようですが、企業としてはコスト面や知識・経験のことを考えれば、必要ないように感じます。
   また、合格者増加等の影響を受けて、税理士協会は公認会計士に税理士資格を付与することをやめるように求めているようです。これに対して会計士協会も反対しているようですが、ぜひ、主張を通していただきたいと思います。会計士としても就職できず、税理士としての活動も出来ないとなると、大変なことですので・・・。 いずれにしても、将来の会計士業界を揺るがしかねない大問題だと思います。
   
V.会員の声を聞く会
 
(質問) 今度の会計監査六法は大きすぎて探しにくいので検討していただきたい。
(回答) 現在は、旧のものと新しいものが二重に掲載されており、分厚くなっている。来年は少し薄くなる予定である。  

昨年の「会員の声を聞く会」に比べると時間の関係もあってか、質問が少なかったように感じました。