最近、「物理学者」の活躍をよく耳にするようになった。ノーベル物理学賞で日本人受賞者が出たり、探偵ガリレオというドラマの主人公が物理学者だったりと、昨年は物理学者が世間に取り上げらる事が多い珍しい年だった。かつて物理学を専攻していた私にとって、物理学者が活躍しているのを聞くのはとても嬉しい事である。物理学者に限らず、基礎研究に携わり続けるには時間と努力と才能が必要である。一般的に研究機関に籍を置かれる物理学者は非常に才能に恵まれ、かつ厳しい競争を生き残る必要がある。大学卒業後から5年をかけて大学院の後期博士課程卒業する。そのまま大学に就職口があれば、かなりの才能の持ち主か、強運の持ち主である。ほとんどの方は、ポスト・ドクター(いわゆるポスドク)と呼ばれる期間を設けた形でどこかの大学の研究室或いは公的研究機関に属すことになる。この期間内で論文作成のため研究しつつ、大学の助教教授や講師での就職口を探すことになるが、就職の競争倍率は高く、研究機関に留まる事に苦労される方が多いのが現状である。ただ、悲観的な事ばかりでなく、ひとつの発見で社会の有り様を変えられる可能性がある道でもあり、実際に物理学者としての道を選択された方々は、日々活き活きと研究に従事されている方が大多数である。
先日、お世話になった助教授が物理学の裾野を広げようと腐心されているのを知り、少しでもお役にと、考えていた矢先、ここで悪文を披露する機会を得ることになった。それが、場違いにもこんな話をする理由である。
もし、物理に興味があり、物理学者の世界に興味があれば、一度「ご冗談でしょう。ファインマンさん」という本を読む事をお勧めする。ファインマンと言う人は、ノーベル物理学賞を受賞した人であり、ファインマンさんの半生を堅苦しくなく綴った本である。私が学生時代に物理学者としてのモチベーションを高めるため読んでいた本でもある。また、物理の楽しさを実際体験するために、「大阪市立科学館」に行ってみるのもお勧めである。
当該科学館は、プラネタリウム設備や物理現象等を利用した遊戯施設があり、お子さんがおられる方などは是非、お子さんを連れて見に行って頂きたい場所である。ご存じでない方も多いかもしれないが、東洋初のロボット「学天則(のレプリカ)」が展示されているのもここである。現在の素粒子物理学や量子力学も、研究の積み重ねで発見・構築されたものであり、皆さんの興味の積み重ねが将来のノーベル賞受賞者の誕生につながるかも知れない。昨日より1人でも多くの方が物理に興味を持て頂ければ幸いである。
まだまだ書くべきノルマがあるので、将来、もしかしたら生活を一変させるかもしれないと、個人的に注目している物理的な研究を列挙する。
高温超電導
超電導物質が初めて発見されてから既に100年近く経過し、MRIや超電導リニアモーターカーとして社会生活の中に応用されており、基礎研究としては目新しくはないが、最近新たに鉄系の超電導物質が発見され、高温超電導(約−196度以上で超電導転移すれば高温超電導と呼ばれる)実現に向けた研究が再燃するかもしれない。現在の超電導転移温度では、冷却材に高価な液体ヘリウムを使用する事が多く、超電導を使用する施設の維持費用が高くなる。そのため、高温超電導が発見されれば、現在超電導を使用する施設のコスト削減や、今までコスト的に折り合いがつかず、導入できなかった分野への応用も期待できる。
量子コンピューター
量子力学的効果が出現する環境下では電子等はいくつかの状態の重ね合わせで存在しており、それらの状態1つ1つを信号として扱う事で、現在のコンピュータに比べて桁違いな演算能力を実現できると考えられている。
残念ながら現時点では量子コンピューターに必要な現象の幾つかが実験室レベルで確認されているに過ぎない。もし、将来において実現できれば「生命、宇宙、すべての答え」が42だと証明してくれるかもしれません(元ネタはググって(googleで検索して)下さい)。
LHC(大型ハドロン衝突型加速器)
素粒子研究のためにスイスとフランスの国境付近に建設された世界最大の加速器である。
この加速器の最大の目的は「ヒッグス粒子」と呼ばれる素粒子の発見である。もし、この実験を機に質量発生の謎が解明されれば、遠い将来において光速で移動する乗り物が実現するかも知れない。
最後に、読み辛い点が多々あったかと思いますが、お読み頂きありがとうございます。
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