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基調講演 |
日本公認会計士協会 会長 増田 宏一氏 |
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皆さんこんにちは。只今ご紹介頂きました、本部会長の増田でございます。本日は、中日本五会研究大会にお招き頂き、お話させて頂く機会を頂きましてありがとうございます。
今日のテーマとしては、「拡大化・多様化する監査業務〜我が国経済発展への貢献〜」というテーマでお話させて頂くこととしました。最近の非常に厳しい経済環境、それに加えてここ数年の監査現場における状況についてのパネルディスカッションが行われますが、我々の業界は将来まだまだ発展するということをご説明したいと思います。 |
はじめに |
1. 我が国発展の基盤として、監査業務の役割の重要性 |
我々のコアビジネスである監査業務については、我が国発展の基盤としての役割が非常に重要です。特にバブル経済崩壊後、我が国経済の復活に官民挙げて取組んできたという情勢下において、いくつかの点において非常に重要な役割を果たしてきました。今の非常に厳しい経済環境の中で、逆にピンチの時にこそ我々会計士の役割、監査法人の役割というのは社会的に重要であると思っております。今日は会計・監査という面でお話をさせて頂きます。会計そのものは社会の経済インフラのツールということで、時には会計基準そのものが悪者になったりしますが、実は会計基準そのものが悪いのではなく会計基準を利用する側の問題であると思います。バブル経済の前には取得原価主義でしたが、その時においても含み益・含み損を利用して経営を行って問題が起きていました。その後、会計基準を改訂して時価会計基準となっておりますが、今回の金融バブルの崩壊の中で時価会計基準そのものが悪いかのように言われていますが、そうではなく会計基準を利用する側の問題であると思っております。
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(1) 開示財務情報の信頼性担保のための監査 |
経済活動の主役である株式会社の資金調達方法として、間接金融偏重からバランスのとれた直接金融への移行が求められております。資本市場から公募によって資金調達(直接金融)する会社には、投資家等に適正な財務情報の開示が義務付けられておりますが、当該財務情報の信頼性を担保するために、「独立した公認会計士の監査」の意義が高まっております。 |
(2)組織体を監視・監督する組織ガバナンスの一環としての監査 |
内部統制の監査も、大きな意味でのガバナンスの一環であります。独立した公認会計士の立場で監査を行うということは、いろいろな組織体のガバナンスの支えとなってくる非常に重要な一角であります。特に企業会計については言わずもがなですが、利害関係者の多い非営利組織体、一つの例としては地方自治体、あるいは独立行政法人、公益法人等、非営利の組織体の事業活動においても監視機能が働かなければなりません。その意味では、地方公共団体等の監視役の一部になっていくことも十分考えられますし、一部では監査委員として現在でも活躍しています。いずれ地方公共団体の会計監査・財務諸表監査についても、我々の監査の対象となっていくと思われます。 |
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2. 監査業務の拡大化・多様化 |
一 「営利部門」(上場会社等) |
@内部統制監査
A四半期レビュー
B環境情報に関する保証業務 |
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二 「非営利部門」(学校法人、公益法人等) |
消費生活協同組合法監査(H20/4/1)や中小企業等協同組合法監査(H21/4/1) |
非営利団体による債券発行による資金調達の時代に備えた取組み |
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(H20/12/1) |
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三 「官庁部門」 |
地方行政や地域経済の活性化のためには、地方財政の実態を示す公会計制度の導入は不可欠であります。将来的には、地方財政のディスクロージャー制度及び公会計監査の導入が必要と考えられます。 |
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T営利部門の監査 |
1. 間接金融から直接金融へ |
(1) |
1996年の橋本内閣の金融ビックバン(フリー、フェア、グローバルな金融市場の創設) |
(2) |
2002年6月の閣議決定「経済財務運営と構造改革に関する基本方針」(構造的不況を脱しリスク経済にチャレンジする企業活動のために直接金融を重視する瀬策) |
(3) |
2004年12月の金融庁の金融政策「貯蓄から投資へ」(不良債権処理を目的とした「金融再生プログラム」後の新たな金融政策「金融改革プログラム」の公表) |
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我が国個人金融資産(1,500兆円弱)の50%超が預貯金に回され、株式等の有価証券への投資は10数%と、間接金融に相当に偏重しています。米国や欧州においては相当な個人金融資産が投資で運用されています。これを踏まえて、2004年12月に金融庁の金融政策「金融改革プログラム」が策定されたと聞いております。 |
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2. 「直接金融」への転換の必要性 |
(1) |
アジア資本市場のゲイトウェイとしての国政金融市場の形成 |
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「工場立国」である我が国経済を支える「金融力」を育成し、世界経済の中心に躍進するアジア金融市場のゲイトウェイとしての国際金融市場を形成する必要があります。
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(2) |
リスク・マネーの調達 |
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企業活動のグローバル化、情報化及び著しい技術革新が進展する「リスク経済」の下で、成功するかどうか未知の事業分野にチャレンジするには、長期的に安定した資金運用ができる資本市場から資金の調達が求められています。 |
(3) |
適切な投資資金の配分 |
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経済最先端を走っている国家のさらなる経済発展には、個人金融資産の一部は、金融市場の価格メカニズムを通じて、産業分野に配分されることが望まれます。 |
(3) |
我が国企業のコーポレート・ガバナンスの強化 |
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我が国経済を牽引する企業には、国際資本市場での厳しい監視と評価に応えるコーポレート・ガバナンスを備えた強靭な体質が要請されています。 |
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3. ディスクロージャー制度等の充実 |
(1) |
会計不祥事の続発 |
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投資家が、個人金融資産を「自己責任」の下で投資に回すには、信頼できる資本市場の形成が必要ですが、こうした状況下で、大規模な会計不祥事が続発しました。 |
(2) |
金融商品取引法(証券取引法の改正) |
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上記の大規模な会計不祥事の続発を受けて法律の改正が行われ、金融商品取引法において、@内部統制報告書の導入 A経営者の確認書の導入B四半期報告書の導入 C証券会社等における顧客資産の分別管理に係る監査の法定化等が定められました。
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(3) |
公認会計士法の改正 |
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一方、我々に関係のある公認会計士法の改正も、平成15年改正(平成16年4月1日施行)、平成19年改正(平成20年4月1日施行)と、大きな改正が立て続けに行われました。 |
(4) |
新会計基準の公表、監査基準及び倫理規則の改定・整備 |
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会計基準自体も国際会計基準とのコンバージェンス又はアドプションの方向に向っていますが、監査基準や倫理規則等についても、いずれ統一化の方向に向かっていくものと思われます。 |
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4. 公認会計士監査の信頼回復への協会の対応 |
会社情報の中核は財務情報です。監査人は、財務情報の信頼性を担保する社会的使命を担っていますが、残念ながら、カネボウ事件等の会計不祥事等の続発は、公認会計士監査に対する不信感を高めることとなりました。協会は、公認会計士監査の信頼性の確保のための施策として以下のことを行ってまいりました。 |
(1) 自主規制策 |
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@品質管理レビューの実施、A上場会社監査事務所登録制度の導入、B倫理規則の整備、C継続的専門研修の実施 |
(2)公認会計士法の改正による対応 |
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@ |
公認会計士・監査審査会による協会の品質管理レビューの監視・監督 |
A |
自主規制で実施してきた品質管理レビュー及びCPEの法制化 |
B |
行政罰の多様化による課徴金の導入 |
C |
監査事務所の業務管理体制の整備 |
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5. 拡大化した金融商品取引法監査への取組みの現状 |
(1) |
内部統制報告書監査の取組み |
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財務報告に係る内部統制監査制度が導入され、協会として実務指針を公表致しました。上場会社の整備・運用の現状は、比較的順調のようですが、新興市場等については苦労されている様です。これについては、本年度の内部統制報告書の提出後、実態調査を実施して必要な対応を検討する予定です。る企業活動の活性化のために直接金融を重視する施策)
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(2)四半期レビューの円滑な運用 |
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四半期レビューに関する実務指針を公表しております。これについても比較的順調に推移していると聞いております。ただ問題は、世界的な金融危機に直面し、継続企業の前提や繰延税金資産の回収可能性等の問題で非常に苦労されていると聞いております。これは四半期のみならず、この年度末においても大変だろうと思います。 |
(3)研修の充実 |
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専任の常務理事の担当において中小事務所等施策調査会を設け、中小事務所所属会員への研修を実施しております。また、継続的専門研修の内容の見直し等を行い履修が容易となるような改正を行っております。 |
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6. 国際財務報告基準(IFRS)受入れへの取組み |
昨年11月に米国証券取引委員会(SEC)がIFRS導入のロードマップ案を公表して以来、IFRSによる会計基準の国際的統一が現実のものとなり、我が国においても、2月4日に受入れ案が公表されました。 |
(1)我が国の受入れ案の概要 |
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@ |
上場会社の連結財務諸表を対象 |
A |
2010年3月期から任意適用の容認 |
B |
2012年に義務化の判断を行う。義務化には少なくとも3年間の準備期間を置く。 |
C |
個別財務諸表の取扱い。将来的には国際会計基準への統一も視野に入れている。 |
D |
連結先行 |
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(2)課題 |
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@企業における内部統制やITシステムの見直し、A原則主義への対応、B人材の育成、CIASBへの意見発信機能の強化、DIASBやIASCFの国際的なモニタリング機能の整備 |
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7. 環境情報に関する保証業務の動向 |
今日では、環境情報に関する保証が、地球温暖化対策の一つとして、温室効果ガス排出量の抑制の観点から、欧州を中心に世界的な規模で議論がなされております。我が国においても、自民党・民主党等の各政党において、具体的な検討が行われております。 |
(1)環境情報等の信頼性の担保 |
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我が国では、環境配慮促進法「環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律」に基づき、民間企業に対して環境報告書の作成に係る努力規定が設けられ、当該報告書の環境情報の信頼性向上の手段として、第三者機関による審査が行われております。 |
(2)有価証券報告書への排出量情報の記載と担保 |
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EUでは、会計法現代化指令により、アニュアル・レポートへの排出量情報の記載が勧告され、イギリス、オランダ、ドイツ等では法制化されております。この中で、気候変動情報の開示、排出量情報への保証が検討されています。 |
我が国においても、現在、自民党「地球温暖化対策推進本部」のPTにおいて、排出量情報の有価証券報告書への記載について審議がおこなわれており、公認会計士にこの分野での活躍が期待されています。 |
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8. 監査を我が国企業と経済の発展の力に |
(1) |
適正かつ迅速な企業情報の開示による資本市場の信頼性確保と投資者保護のための資本市場の番人 |
(2) |
財務諸表監査や内部統制監査を通じて、国際的な市場競争に打ち勝つ強靭な体質(コーポレート・ガバナンス機能)を備えた国内企業の発展への貢献 |
(3) |
透明性・公正性の高い国際的資本市場の構築により、アジア資本市場のゲイトウェイとしての我が国の資本市場の育成への貢献 |
(4) |
健全な資本市場の価格メカニズムに基づいた個人金融資産(1,500兆円弱)の有効かつ効率的な分配による我が国経済発展への貢献
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U非営利部門の監査 |
現代市民社会では、市場競争下にある営利企業の事業活動にも、法律権限に基づく行政活動にも馴染まない、国民の社会貢献意識に支えられた、「非営利部門」の事業活動が重要となっております。例えば、公益法人、学校法人、病院等の非営利法人による、教育、環境、芸術、医療、福祉、スポーツ等の事業活動が拡大しており、これらの活動が健全な市民生活の発展に大きく貢献しております。 |
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1. 非営利団体の監査の必要性 |
(1) |
非営利部門の財源は、事業収入のほか、政府等の補助金、会員の会費、市民の寄付金等により賄われています。
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(2) |
責任者は、@事業活動の内容を反映した決算書類を作成し、A当該書類に職業的専門家の検証を受け、B社会に事業実態の「説明責任」を負っております。
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(3) |
我が国において、最初に非営利団体の会計・監査が義務化されたのは、組合員の会費で運営される労働組合であります。
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(4) |
会計・監査は、大規模化した組織の「統治システム」として、営利企業以外の組織にも幅広く求められております。 |
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2. 非営利部門の監査の現状 |
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相当の数の非営利法人が、監査の対象となっております。詳細については資料をご覧いただくとして、ここでは省略させて頂きます。 |
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3.
会計・監査のガバナンス機能と監査範囲の拡大 |
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非営利団体に対する監査が非常に重要であるということを申し上げたいと思います。これから非営利団体における財務情報のディスクロージャーの監査が必要になってくるだろうと思います。非営利団体の活動における会計・監査は、ただ財務情報の適正性の問題だけではなく、違法行為、随意契約の内容のチェック、業務の有効性・効率性等、従来我々の監査の対象ではなかった分野において監査が求められてきております。社会的なニーズがこれらの業務を行うことであるとするならば、対応していく必要があると思っております。最近の法定監査の拡大は、例えば消費生活協同組合の監査、中小企業等協同組合の監査が始まっております。また、学校法人及び医療法人においては、学校法人債及び社会医療法人債を発行する枠組みが、金融商品取引法の「別記事業」に採り込まれております。
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4. 会計基準の設定主体の設立の必要性 |
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現在、非営利会計基準は、各監督官庁が行政目的に照らして個別に策定しています。非営利団体の会計基準が統一された基本理念に基づいて作成される必要性があるのではないかということで、非営利会計基準の設定主体を設立していく必要性があるのではないかと思います。 |
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5. 非営利法人の活躍の基盤としての監査 |
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先進諸国においては、行政活動と営利活動の中間に活動基盤を置いた非営利法 人の活躍する分野がますます拡大しており、非営利法人の事業活動が社会的信頼を得るためには、監査によるサポートが不可欠であり、監査人の活躍が期待されております。 |
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V官庁部門の監査 |
1. 夕張市の財政破綻の教訓 |
夕張市においては、決算期後2ヶ月間の出納整理期間での決算調整を利用して、決算調整を行っていました。観光事業会計における赤字を一般会計からの借入金で補充し、出納整理期間に観光事業が銀行融資を受けて一般会計に借入金を返済し、赤字を補填していました。銀行からの観光事業への融資が継続する限り、一般会計の赤字は表面化しませんが、しかし、観光事業の借入金は累積し、利払金は異常な額となり、結果的には破綻してしまいました。ここで問題なのが、市民には財政の実態が開示されていなかったということであります。 |
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2. 「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」の成立と、総務省による財務書類4表の作成要請 |
(1) |
夕張市の破綻を契機に、平成19年6月、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」が成立し、地方財政健全化への対応策が制度化しました。これは、地方の財政状態を毎年評価し、財政破綻の危険性のある地方自治体に対して、イエローカード又はレッドカードを出し、公認会計士、弁護士又は税理士によるチェックが求められました。 |
(2) |
総務省は、平成18年6月に制定された「行政改革推進法」に基づき、平成20年度内を目標に、財務書類4表の作成を全国1,800の自治体に指導しました。
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3. 地方自治体の会計改革 |
(1) |
単式簿記・現金主義会計から複式簿記・発生主義会計への転換 |
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@ |
現金主義のため、税収及び事業収入と借入金が共に収入として認識 |
A |
単式簿記のために貸借対照表が存在せず、財政状態の実態把握が困難 |
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(2) |
公営企業会計や第三セクターを含む連結会計の必要性
公営企業会計等が連結されていないことから、地方自治体全体の財政状態の実態が不透明 |
(3) |
地方行政を市民が監視できるディスクロージャー制度の必要性
適正な決算書類が開示されていないことから、議会や市民の審査請求権が機能していない。 |
(4) |
決算書類の信頼性を担保する公認会計士監査の必要性
将来的には、決算書類の信頼性を担保する公認会計士監査が不可欠 |
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4. 研究報告「地方公共団体の会計に関する提言」の公表 |
協会は、地方自治体の確立と我が国経済の発展の基盤として、公会計制度の導入は不可欠であると考え、「公会計・監査特別委員会」を設置し、公会計の在り方を検討してきました。昨年10月に研究報告「地方公共団体の会計に関する提言」を公表し、次のような提言を行いました。
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(1) |
総務省が暫定的な貸借対照表の作成基準として公表している二つのモデル(基準モデルと改訂モデル)について、あるべき会計基準として、例えば、次のような点を指摘している。
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@出納整理期間の取扱いと見直し |
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A税収を収入とし、収益と費用とを対応させる計算書への改善 |
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B固定資産の取得原価での計上と減価償却及び減損会計の適用等 |
(2) |
地方公共団体の財政の健全化と地方行政の効率化の基盤は、適正な公会計基準に基づいた財務書類の作成にあることから、公会計基準の設定を提言 |
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5. 公会計基準の設定主体の必要性 |
(1) |
IFACによる国際公会計基準(IPSAS)の公表等 |
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IFACの国際公会計基準審議会(IPSASB)において、中央省庁、地方政府及び関係機関の公会計基準の策定が進展しており、公会計における国際的な統一が進行している。
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(2) |
公会計基準の設定主体が必要な時代 |
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地方自治体の会計改革の推進には、統一した会計基準が不可欠であり、中央政府の会計基準も単式簿記・現金主義会計であり、会計改革が必要である。 |
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6.
地方行政の活性化が我が国の活性化の基盤 |
(1)地方経済の現状 |
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人口減少、高齢化、低賃金のアジア諸国への工場移転等による地方経済の低迷 |
(2)公会計制度は地方活性化の基盤 |
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地方財政は自主規律が機能するシステムとなっていないことから、財源が有効かつ効率的に使用されているか否かの実態を把握する公会計基準及び公会計制度の導入が必要
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A |
公会計制度の下で行政活動の実態を正確に把握し、効率的な管理・指導や有効な経済開発計画等の策定が必要 |
B |
公会計制度に基づく地方行政状況のディスクロージャー制度の導入、及び地方議会や住民によるガバナンスの強化が地方財政健全化の基盤 |
C |
公会計制度の確立が地方自治の確立の大前提 |
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W終わりに |
1. 監査は我が国発展の基盤 |
(1) |
営利企業における監査 |
@ |
資本市場のグローバル化・情報化を反映して、会計及び監査基準の国際的統一化が急速に進展しており、特にIFRSの受入れにおける監査人の役割は重いと思います。 |
A |
財務報告の信頼性の観点から、内部統制監査の定着化に取組む必要があります。 |
B |
公認会計士は、監査を通じて、我が国資本市場の発展と金融力の強化の基盤の確立に寄与し、我が国の経済発展への貢献が期待されています。
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(2) |
組織ガバナンスの充実強化という観点の役割 |
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営利部門、非営利部門及び官庁部門の会計・監査に共通していることは、大規模化した組織体の監視機能(ガバナンス)の強化の観点から、会計・監査の役割が一段と高まっている。特に地方自治体の原点である住民のガバナンス機能の基盤を提供する公会計制度と監査制度の確立への取組みが今後の課題である。
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(3) |
地方行政や地域経済活性化への貢献 |
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我が国経済の発展には地域経済の活性化が不可欠である。低迷している地域経済の活性化には、地方自治の確立とそれを支える公会計制度の導入が必要である。公認会計士は、こうした分野での活躍が期待されている。 |
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2. 厳しい監査環境への対応 |
(1) |
公認会計士試験合格者の増加 |
(2) |
監査報酬の適正化への取組み |
(3) |
会計・監査制度を巡る制度的枠組みの改革への積極的な提言 |
(4) |
研修の充実 |
(5) |
教育財団構想による人材の育成 |
(6) |
自主規制能力の向上のための協会組織ガバナンス改革 |
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3. 拡大化・多様化する監査への期待
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(1) |
世界的な金融危機を契機とした世界的不況 |
(2) |
営利、非営利及び官庁部門等の全ての分野が厳しい事業運営に直面 |
(3) |
国民が一丸となって経済不況に対応 |
(4) |
ガバナンス機能とリスク管理能力を備えた事業体質の強化における監査の役割 |
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(報告:神谷直巳) |