報告

新CPE制度の概要について

 近畿会研究・CPE研修部長 増田明彦

 
今回、継続的専門研修制度(以下CPE制度)に係る会則、規則及び細則の一部が改正されたことに伴い、平成21年4月1日以降、CPE制度が大きく変わります。本稿では、今回の改正について、現行のCPE制度(本年度はこの制度です)と新CPE制度とを比較しながらご説明したいと思います。
 
1.改正の趣旨について
 現行のCPE制度に関する諸規定は、平成10年4月の同制度の創設以来、大幅な見直しは行われず、予想される会員、準会員の大幅増への対応策など、改善を必要とする点が生じています。そうした事情に鑑み、今回、以下を主な目的として規定の改正を行うことになったものです。
@  履修期間及び履修単位数を、1事業年度に40単位の履修から、当該事業年度を含む直近3事業年度の合計が120単位以上の履修とする。これに伴い、従来の超過取得単位数の繰越及び不足単位数の翌年充当の制度は廃止する。
A 義務不履行者と処分対象者の範囲を一致させ、処分の迅速化を図る。
B これらを踏まえ複雑化した現在のCPE制度全般の簡素化を図る。
 なお、本年度(平成20年度、平成20年4月〜平成21年3月)は改正前の現行制度が適用になり、新制度については平成21年度(平成21年4月〜平成22年3月)以降適用されることになります。
 
2.履修を要する単位数及び期間について
 <現行CPE制度>本年度
現行のCPE制度では履修義務については1年40単位で、履修単位不足になると、翌年の履修義務単位数に加算される仕組みとなっています。例えば、従来履修義務を達成していた人が履修義務40単位のところを、25単位の履修に終わったとしますと、まずその年度は15単位の履修単位不足ということになります。そして、翌年度の履修義務は40単位ではなく40単位+不足15単位の合計55単位ということになります。そのため、翌年度は50単位履修したとしても、5単位の履修単位不足となり、引き続き義務未達成者となります。例えば、5年連続で25単位の履修のケースでは、その次の年度には不足15単位×4年+40単位の合計100単位の履修義務が生ずることとなり、99単位履修したとしても義務未達成となります。
 
 <新CPE制度>次年度以降
 新CPE制度では、履修を要する単位数及び期間は、当該事業年度を含む直近の3事業年度の合計が120単位以上で、各事業年度に最低20単位の履修を要することとしています。この制度変更により、3年以上前の履修不足単位が履修必要単位数に累積されることはなくなります。すなわち、前述の5年連続で25単位の履修のケースでは、次の年度では、120単位(直近3事業年度の要履修単位数)−25単位(当該事業年度の前年度)−25単位(当該事業年度の前々年度)の差し引き70単位が要履修単位数となります。なお、この年度で70単位の履修をして義務達成した場合には、その次の年度の要履修単位数は25単位(120単位−70単位−25単位)となります。
 適用初年度である平成21年度につきましては、平成21年度を含む直近の3事業年度の合計で120単位以上かつ平成21年度単独で20単位以上の履修義務を負うことになります。すなわち、平成21年度単独の要履修単位数は、「120単位−平成19年度の取得単位数−平成20年度(本年度)の取得単位数」と20単位のうちいずれか大きい単位数ということになります。その翌年度の平成22年度の要履修単位数は、「120単位−平成20年度(本年度)の取得単位数−平成21年度の取得単位数」と20単位のうちいずれか大きい単位数ということになります。
 
 本年度(平成20年度)の取得単位数は、本年度の履修義務達成の基礎となるだけでなく、次年度(平成21年度)、さらに、平成22年度まで影響を与えます!
 
 3.必須履修科目について
 <現行CPE制度>本年度
 
 履修単位数には、必須履修科目として職業倫理の4単位を含める必要があります。監査従事者についてはさらに、監査の品質管理の4単位も含める必要があります。
 
<新CPE制度>次年度以降

 必須履修科目及び当該必須履修科目の必要単位数については変更ありません。

本年度(平成20年度)においても、次年度(平成21年度)においても、必須履修科目として職業倫理4単位と監査の品質管理4単位(監査従事者のみ)を履修する必要があります!
4.義務不履行者への対応について

 今回の制度変更では、義務不履行者への対応をできるだけ具体化・明確化することにより透明性・公平性を高め、あわせて事業年度終了後から懲戒処分・必要な措置等を講ずるまでの対応をより簡素化、迅速化することが図られています。具体的には、3事業年度合計取得単位数及び各事業年度の履修状況に応じて、「履修結果判定表」を用いて義務不履行者への対応を決定することになります。

 例えば、判定事業年度の履修単位が25単位、3事業年度合計取得単位数が80単位で、職業倫理4単位は履修していた場合、3事業年度合計取得単位数については、「80〜99単位」の行を、当該事業年度の「20単位以上」「職業倫理4単位以上」の達成状況では、「両方達成」の列を見るので「履修勧告」ということになります。もし、判定事業年度の履修単位が20単位未満であるか、または職業倫理の4単位が未履修であれば「一方達成」を見るので「辞退勧告等」、その両方であれば「両方未達成」を見るので「氏名等公表」ということになります。 なお、義務不履行者としての措置等を過去受けた会員が、連続して義務不履行者となった場合、「履修結果判定表」の判定結果に加重する方向で実際の処分を決定する方向で検討されています。 特に、「氏名等公表」の処分を受けた翌年度に、「履修結果判定表」において「氏名等公表」に該当した場合には、綱紀審査会の対象になるものと考えられます。なお、綱紀審査会による懲戒処分としては、戒告、会員権の停止、金融庁長官に対する懲戒処分の請求があり、最悪のケースでは金融庁長官に対する懲戒処分の請求までいきつく可能性があります。
次年度(平成21年度)以降、履修義務違反者への対応について、履修義務違反の程度と、懲戒処分・必要な措置等との関係が明確になります。なお、本年度(平成20年度)におきましても、履修義務違反は懲戒処分・必要な措置等に直結することにかわりはありませんのでご注意ください!
5.免除・軽減制度について
 基本的に、免除・軽減制度につきましては、現行CPE制度も、新CPE制度も変わりはありません。 新CPE制度におきましては、研修の免除が承認された会員は、免除承認された事業年度の取得単位数が0単位の場合でも、40単位履修したとみなして3事業年度合計取得単位数を計算することになります。 また、研修の必要単位数の軽減が承認された会員は、軽減承認された事業年度の実際取得単位数に軽減単位数を加算した単位数を、3事業年度合計取得単位数の積算基礎とします。 例えば、平成19年度が免除、平成20年度が20単位軽減で25単位履修、平成21年度は軽減なしの場合、平成21年度履修必要単位数は、120単位−40単位−(25単位+20単位)の35単位となります。
 本年度(平成20年4月1日〜平成21年3月31日)の免除・軽減申請の期限は平成20年8月31日ですので、該当者で手続きがまだの方は、速やかに手続きをするようお願いいたします。本年度の手続き漏れは、次年度以降にも影響を与えますのでご注意ください。
6.最後に
 近畿会といたしましては、できるかぎりのバックアップをさせていただく所存ですので、会員の皆様には、是非とも履修義務を達成していただきますよう、よろしくお願い申し上げます。