報告

企業防衛シンポジウムを終えて

法務会計委員長 多田滋和

 
    

パネリスト4名

   昨年7月に法務会計委員長に就任して、当初は本年度の委員会の運営における適切なテーマが思い浮かばなかったところ、小川担当副会長から7月に大阪弁護士会と共催で「社外監査役シンポジウム」を行ったところ大変好評だったので、次も何らかのテーマで同様のシンポジウムが開催できないかとの話しがありました。当時はブルドックソース事件で敵対的買収防衛策に関する情報がマスコミで流れていたこともあり、敵対的買収防衛策に関して研究していけばとの提案をうけ当該テーマでもって大阪弁護士会と共同で月1回企業防衛研究会を開催していくこととなりました。当研究会の世話役は弁護士会は前回の社外監査役で世話役を引き受けていただいた岩谷弁護士、嵩原弁護士で近畿会からは小川副会長、河野会計士、そして小生です。

 各回の研究会における発表内容も弁護士側と会計士側が交代で報告できればよかったのですが、とりあげる内容からはどうしても法律的な関係7割、会計税務的なもの3割といったところとなるため当初弁護士側の発表主体で進んでいきました。また、この研究会の終着点をどのような形とするかにも相当の議論を費やしました。極端にいえば日々動いているテーマであり理論的にかつ実務的にも最終結論を導き出すことは到底無理であり、現段階での中間総括的なものとして関西経済界に向け2会から発信できれば成果があったものといえるのではないかということとなりました。開催時期も次年度の株主総会議案が決定されるまでの間に実施するのが好ましいという意見が多く、遅くとも3月にシンポジウムとして発表するべきとなった次第です。開催場所としては、共催であるので交互に実施していくのが好ましく、今回は会計士側となったのですが近畿会の研修会場では250名程度しか収容できないため、外部の会場を探す必要があり、前回の社外監査役で800名弱の参加があったので同様の参加者数を見込んでおく必要から800名程度を収容できる会場としてエルシアターが選ばれました。

第一部

 
 研究会で発表していただいた会計士は井上氏、河野氏、小川氏の3名で弁護士側は岩谷氏、渡辺氏、阪口氏で外部講師として大和総研経営戦略研究所から藤島裕三氏を招いて実務面でのポイント並びに現在の日本市場における状況等について講演していただきました。
 そして3月12日にシンポジウムの開催となり、当日は767名(一般企業548名、弁護士153名、会計士66名)の参加をいただき、申し訳ないことには一部立ち見の参加者も見受けられた状況でした。基調報告は3名(阪口弁護士、河野会計士、井上会計士)、そしてパネルディスカッションでは「敵対的買収防衛策導入の是非 導入する場合・しない場合の実務対応」をテーマに、コーディネーターに岩谷弁護士、パネリストとして買収防衛策を実務で担当されている弁護士(池田氏、渡辺氏)、あるいは独立委員会に委員として参加されている会計士(五郎川氏、安原氏)により内容濃い討議がなされ、最後に総括として家近弁護士にまとめていただいたのですが、参加者からのアンケートによると大変好意的な意見が多く寄せられていました。
 大阪弁護士会との共催による2回のシンポジウムがいずれも好評であったことから、大阪弁護士会との共催による事業を今後も引き続けていくことが大切と思っています。
 これもひとえに研究会のメンバー及び2会の事務局の方々の協力の賜物と感謝しております。特に岩谷弁護士、嵩原弁護士、小川副会長、河野会計士にはいろいろとお助けいただき本当にありがとうございました。この場をおかりして感謝申し上げます。今回の企業防衛シンポジウムは中間総括であるので、今後の買収防衛策の動向によっては再度このテーマでシンポジウムを開催することも一案ですが、より適当な具体的なテーマについて会員の皆様からご提案いただければ幸いです。また、法務会計委員会への多数の参加をお待ちしております。

第二部

 

開演時の様子