リレー随筆 第6回

野良として会計士を考えてみる

高見亮

 去年在籍していた監査法人を辞めてみた。やっていた仕事は会計監査とシステム監査。内部統制がはやっているので、まあそれなりには必要とされていた業務ではあったかもしれないが、監査法人にいてこそ活きるスキルであることは否めない。

 辞めた後、退職金はFXのおかげですぐに無くなってしまったので、生きていくために独立した会計士がどんなことやっているのかと思い色々調べてみる。すると上場支援・デューデリ・株式評価・内部統制構築支援・M&A仲介・企業再生・税理士業務・etc・・・・、
実は自分って独立した会計士がしていそうな仕事をあんましてない!!と気づきちょっと愕然(やめる前に気づけよ!とつっこまれそうですが・・・)。

 なぜ会計士の仕事をあらためて考えているかというと、自分が監査法人辞めたということもさることながら、世間へのアピールとしてなんと監査法人をテーマにしたドラマ「監査法人」ってやつがもうすぐ放送されるらしいのだ。(キムタクとか主演にしてHEROみたいなブームを起こして欲しかったが、土曜ドラマなんでローカル感は払拭できんな)。中身を見てみると
 【第1回】「会社、つぶせますか」【第2回】「二千億円の裏帳簿」【第3回】「粉飾の連鎖」【第4回】「崩壊の序曲」【第5回】「夢の代償」【第6回】「会社、救えますか」。
 すげー、俺ってそんな壮大な仕事していたんだ!!と思わすような内容です。まあ「二千億円の裏帳簿」っていうのはさすがにばれるだろうが・・・。もうちょっと誰か早く教えてくれていたら、間違いなく無理やりエキストラの一人で使ってくれと監督にねじこんでいただろう・・、そうしたらそこからテレビ番組出演etcあったかも。かなり残念。

 独立したときに考えるのが、ドラマに出てこないいわゆる監査をしない会計士の社会的存在意義。我々が知っていたり、経験してきたことも、勉強している人なら大概知っていたりする。となると我々の力って、結局は新しいことや既知のことをあらためて調べる力、他の人がしていない経験を提供することでしかない。そういうことを考えると、常に勉強し、経験を積んでいかなければ取り残される結構厳しい職業だなと思う。

 まあドラマの会計士は、おもしろおかしかったら何でもいいのですが、なかなか野良会計士はそうもいかん・・・。監査法人やめた私のこれからを考えてみると
 【第1回】「監査法人、やめますか」【第2回】「地味にパート業務」【第3回】「日雇い業務の連鎖」【第4回】「結構いい年かも」【第5回】「監査法人ドロップアウトの代償」【第6回】「人生やり直せますか」
 みたいな感じになってそう・・・・、とまあ粉飾してなくてもこのままでは明るい未来はみえんので、色々地味な営業活動を展開中ですが難しいな・・・。(営業活動のため交流会とか行くと逆に営業かけられた、発明家という人に手帳販売の提携させられそうに・・・・、その人いわく日本の手帳市場は9000万冊で1%のシェアを取るだけでなんと90万冊だと。これくらいのアグレッシブさが自分にも欲しいですな・・・)

 でもいわゆる会計士の仕事を色々考えてみたときちょっと寂しくなるのが、あんま革新的なことが起きていない業界だということ。社会を眺めてみると、googleやMixiみたいな今まで想像できなかったような新しいサービスが生まれているのに、会計士業界からそんな仕事って出てないような・・・・。今も色々やっているが結局はいわゆる会計士の仕事であり、まったく革新的ではない。

 ということで今やりたいと考えているのは会計士じゃないと思いつかないようなサービスをベンチャー企業として提供すること。色々ネタを考えてはいるが、簡単に出るようだったら誰かやっているよな。でも諦めずに何かやりたいと日々たくらんでいます。

 すでに野良になっているので、今後はどっかに縄張り作るか、裕福な人に飼ってもらうか、野たれ死ぬかしかない。今のとこ縄張り作りに邁進しているのだが、実は裕福な人探すのが一番かも。昔は野良犬に吠えられると逝ってよし!!と思っていましたが、今は野良犬見つけたら餌をあげようと思うこの頃です。みんな大変だよね。