取材

統一論題の部

増田宏一公認会計士協会会長あいさつ(要旨)

 

 本日は、中日本五会研究大会にお招き頂きましてありがとうございます。
 最近の本部の状況についてお話させて頂いて、あいさつに代えさせて頂きたいと思います。昨年の12月に臨時総会を開催し、本年の4月から施行されます改正公認会計士法に備えて、会則、規則等を変更いたしました。ご承知のように、この中の大きなテーマといたしましては、監査法人に特定社員制度が設けられました。もう一つは、有限責任の監査法人制度を設けることとなりました。それなりの条件は付けられていますが、我々業界にとっての大きな課題であったものが、今回実を結ぶことが出来て良かったと思っています。これらについて、協会の中で導入についての問題点がないか、導入した場合と現状がどう違うのかといった点について検討している段階です。それ以外でも、公認会計士法のなかで会計士の説明書類、監査法人については経理の状況であるとか財務の状況などの内容について説明書類を備え置くことを定めた規定、大会社を監査している個人の会計事務所についても同様の規定がありますが、こういったものについても協会としてはガイドラインを作っていく必要があると思っております。あと、先ほど中務近畿会会長より政治資金規正法について話がありましたが、これから監査方法、マニュアル等について政治資金適正化委員会で検討することとなっています。政治資金規正法に基づく監査は、我々公認会計士だけではなく弁護士と税理士も入っていまして、いわゆる我々が言っている会計監査とはちょっと違うということをご理解頂きたいと思います。その意味で、先日のニュースレターに記載しておりますので是非お読み頂きたいと思います。それから、内部統制報告制度及び四半期開示制度についても、今年の4月から導入される金融商品取引法の大きな目玉になりますが、これから実施していくうえでいろいろな話が出てくるのであろうと思います。内部統制報告制度は、もともと会計士協会が望んで導入をして頂いたものです。これは、何回かお話しているのですが約4年前に西武鉄道事件というのがありました。西武鉄道事件は、有価証券報告書の「株主の状況」に虚偽記載があったとして、最終的には西武鉄道は上場廃止となりました。そのことについて、金融庁における金融審議会のディスクロージャー部会で議論がされ、どうしてそうなったのか、公認会計士、監査法人は何をしていたのかと責任を追及されました。我々は財務諸表に対する監査は行っていますが株主名簿に記載されている株主が真正な株主か否かを監査しているわけではありませんが、そのへんのところがなかなか理解して頂けなかった。企業が出している情報自体の信頼性をどのようにして担保するのかということになって、結局情報を出す仕組み、内部統制がしっかりしていなければならない、その具体的な状況はどうなっているのかということで、その年の終わりぐらいに1ヶ月ぐらいかけて当時の上場会社三千数百社について自主点検を実施しました。その結果、約16%の企業が訂正報告書を提出しました。こういった実態を踏まえて、やはり企業の情報を出している部署に関してはきちっとした仕組みが必要なのではないかということで、内部統制報告書制度を導入するべきだということが金融審議会の意見としてまとまった経緯があります。当時はすでにアメリカにおいてエンロン事件が発生していましたので、アメリカにおいては内部統制監査制度が始まっていました。また、韓国においても日本より一足先に内部統制監査制度が始まっていた状況でありました。日本においても一周から二周遅れて内部統制報告制度が導入されました。また、我々としては同然だと思いますけれども、経営者確認制度が導入されるということで、監査人としては、我々の監査に資するという意味で良かったと思います。そういう意味で、是非ご理解頂きたいと思います。
 それから、昨年の8月にIASB(国際会計基準委員会)とASBJ(企業会計基準委員会)とで東京合意がなされ、日本の会計基準と国際会計基準とのコンバージェンス(同等性)が進められていくスケジュールが明らかになりましたが、その状況のなかで将来的にはIFRS(国際財務報告基準)にしたがって財務諸表が作成される時代が来るであろうと予想はしていましたが、それが非常に速いスピードで、昨年の12月にはアメリカのSEC(証券取引委員会)で国外企業(アメリカの国以外の企業)の財務諸表についてはIFRSUSGAAPのいずれかの基準で財務諸表を作成することが出来ると認めました。それに加えて、アメリカの国内企業についても同じようにUSGAAP以外にIFRSでの財務諸表の作成についても選択適用を認めることについての意見募集が行われています。これらを受けまして公認会計士協会においても、継続的専門研修のなかでIFRSについての研修を今月の中旬過ぎから始めております。残念ながら、日本の公認会計士も、企業関係者もIFRSに関する知識がある人は非常に限られています。出来るだけ早いうちに進めていく必要があると思っています。IFRSと日本の会計基準とに大きな差異はありますが、公認会計士であれば理解可能な範囲ですので是非とも参加して頂きたいと思います。
 また、公会計についてですが、残念ながら公会計に関する基準、自治体に対する財務報告の作成方法については統一した基準がない状況です。公認会計士協会としては、いま統一した作成方法を作成しようとしています。協会のなかに公会計監査特別委員会を設け、現在鋭意作業中ですが、早ければ3月初め頃に公表できると思っております。それに基づいて研修において理解を深めて頂いて、自治体等への指導に当たって頂きたいと思います。
 最後に、前執行部から引き継いでいる組織、ガバナンス改革ですが、協会の事務局をはじめとして役員、組織、地域会を含めて、いま改革を進めているところであります。その中にあって、昨年7月より新しく専務理事制度を設けました。これは、協会事務局の強化として公認会計士の方が役員であると同時に事務局のトップとして座って頂くことが必要であろうとのことで、前執行部において決定されたものです。これ以外に、今後の執行部の活動方針を1月の理事会で承認して頂きましたので、近々に発表が出来ると思います。今年は公認会計士制度発足60周年に当たります。ささやかではありますが、60周年記念行事を行う予定です。
 まだいろいろと申し上げたいことはありますが、これであいさつに代えさせて頂きます。

(文責:神谷 直己)