報告

XBRL研修について

 
 EDINETにおいて、平成20年4月以降開始する事業年度の財務諸表よりXBRL形式が採用されることより、会計士業務にとっても影響を受けるため、本部XBRL対応専門委員会委員長の五木田先生をお招きし、12月12日に「起こりうるエラーと監査人の対応」と題して近畿会にてご講演を頂きました。ここでは、私の理解した範囲でその概要を記載したいと考えます。

IT委員会委員長
夷谷信行

XBRLによるEDINETでの開示ですが、重要なところを列挙しますと、
第1四半期より開始される(3月決算では8月)
EDINETタクソノミでは、上場企業の勘定科目数約5万が約4千に集約されている。
意味・属性が同じであれば、企業は自ら選択した業種別タクソノミの科目に合わせるべきであり、それが困難な場合は他の業種別タクソノミの科目を用い、出来るだけ新たな科目は用いるべきでない。
これを誤ると、企業間の比較可能性が減じてしまう。
企業よりXBRL形式で提出されたデータは金融庁によりHTML形式に変換され、HTML形式での開示が行われる。別途XBRL形式のダウンロードも行うことが出来、投資家等の分析に利用される。
仮登録が可能で、開示前にHTML変換データをダウンロードできる。
となります。
 公認会計士が行うべきことは、現在のところ以下と考 えられます。
提出企業に、勘定科目の比較検討をできるだけ早期に行うよう働きかける。
勘定科目の選択の適切性について確認する。
会計監査の対象は各企業が作成した印刷物だが、仮登録を行って得られるHTML形式の財務諸表との照合は実施する。 等
 現在公表されているEDINETタクソノミは暫定版ですが、1月頃に改訂版が出るそうです。また、金融庁から1月に、新EDINETに関するガイドラインが公開される予定とのことです。さらに、今までは技術面中心にIT委員会にて議論されてきましたが、このような勘定科目の変更は表示の変更にあたるか否か等、明確化すべき監査マターも多く、監査・保証実務委員会での検討も並行して行われているようです。従って、公認会計士協会からも今後意見書等が出されることになるものと思われます。今後クライアント等からの問い合わせも増えてゆき、公認会計士の指導機能が求められる可能性が高いと思われます。このためにも1月以降のこれらの動きをフォローアップし対処頂けたらと思います。
 また、投資家にとっては、企業間の比較検討において、各勘定科目が適切か否かが重要なポイントになりますから、財務諸表全体に対する意見表明を行う会計監査の枠組みを超えて、企業別タクソノミとインスタンス文書に対する保証という新たな期待ギャップが生じる可能性があります。事実、国際監査保証基準審議会(IAASB)ではこの方向での検討を始めるとのことです。
 五木田先生のご講演では、この他、科目の選択を誤った場合の影響等を、具体的例示で判りやすくご説明頂きました。本部委員会での最後の詰めのお忙しい中お越しいただきまして、本当にありがとうございました。
 
追 記

2007/12/25 JICPAから審査・倫理・相談課ニュースNo.4「電子開示システム(EDINET)の変更に伴う監査人としての当面の対応について」が公表されています。