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自 由 論 題 の 部 |
中日本五会研究大会発表を終えて |
豊 憲一郎氏 |
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平成20年1月26日(土)第39回中日本五会研究大会が開催されました。その自由論題の部におきまして、「公益法人税制改革の問題点と新会計基準の適用について」というテーマで発表させていただきました。
大阪国際会議場というすばらしい場所で、自由論題での発表機会をお与えいただきました近畿会、並びに、このような個人の発表であるにも係わらず、貴重なお時間を割いて熱心に耳を傾けていただきました諸先生方に、この場を借りて深く御礼申し上げます。
さて、平成20年度税制改正における公益法人税制の概略は以下の図表にまとめました通り、三つの区分が設けられ、大変、複雑な制度になりました。
理論研究の御立場からは、剰余金非分配という論拠を重視され、以下のAとBの間に引かれた区分こそが重要である、といった解説もなされている様です。
しかし、実務上は、@とAにおいても実質的な剰余金の分配が行われうるという現実があり、既存法人の扱いが@とAのいずれになるのかが最大の関心事となっています。
そこで、私の発表では実務家の立場から、以下の@とAの間を区分するための「公益認定」という問題を中心に検討させていただきました。 |
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非営利法人、公益法人と言うと、地味で固定化されたイメージがあるかもしれませんが、今、非営利法人の分野では様々な改革が実施されています。
その経緯の一つを振り返りますと、平成16年12月の閣議決定「今後の行政改革の方針」において、「公益法人制度改革の基本的枠組み」が具体化されました。
そこで提示された基本的枠組みとは、
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(イ) |
現行の公益法人の設立に係る許可主義を改め、法人格の取得と公益性の判断を分離することとし、公益性の有無に関わらず、準則主義(登記)により簡便に設立できる一般的な非営利法人制度を創設すること。
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(ロ) |
各官庁が裁量により公益法人の設立許可等を行う主務官庁制を抜本的に見直し、民間有識者からなる委員会の意見に基づき、一般的な非営利法人について目的、事業等の公益性を判断する仕組みを創設すること。
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というものでした。
このように、今般の公益法人制度改革は、公益法人の認定の問題、法人の自主的な運営に関するガバナンスの問題、といった広範な改革を含むものになっています。
私の発表は、この中から特に税制改革に主眼におき、平成20年度税制改正に至る歴史的な経緯を考察することにより、制度上の課題を明らかにし、公認会計士としての実務対応上の課題を提示することを目的としたものでした。
なぜ、このようなテーマに関心を抱いたかと申しますと、上記の公益法人(@の区分)に認定されれば、国税である法人税において、大きな優遇を与えられる事になりますが、この「公益認定」という重要な判定を、行政ではなく“民間”有識者である公益認定等委員会が担うという点を、大きな“チャレンジ”と感じたのです。
そして、公益認定等委員会(各都道府県においては合議制の機関)のメンバーには、我々、公認会計士の諸先輩方が選任されているのです。
発表の詳細は、あくまで個人研究にすぎませんので、この場に掲載することは致しません。もしご興味をお持ちいただけましたら、乱筆でお恥ずかしい限りでございますが「インデペンデンス」を、ご一読ください。
この場におきましては、今回の発表が決まりましてから、多数の皆様から御支援をいただいたことを思い起こし、感謝の意を表したいと思います。
まず、中務裕之会長からは、長年に渡る非営利法人への関与の御経験から、貴重な問題提議をいただきました。
牧野康幸委員長、野邊義郎委員長におかれましては、ご多忙の中、わざわざ東京まで足を運び本部から最新の情報を入手し、お伝えいただきました。
さらに、両委員長からは、研究大会直後に行われた近畿会の委員会におきまして、発表内容の概略説明の機会を頂戴いたしました。しかし、研究発表の余勢が残っておりました私は、遂、本部からの情報に対し討議をしてしまい、大幅な時間延長をしてしまいました。
たとえ本部から得られた情報であっても、まずは全てを疑い、自分なりに考えて納得しなければ解説の域を超えることは出来ない、という思いがある反面、本部で決定した情報だけ得たい、という皆様の貴重な時間を無駄にしてしまったのではないか、と思い当たり反省を致しておるところであります。
そして、最後になりましたが、研究大会という活動に参加する事で、一つ一つの協会活動を運営する上で、数多くの皆様がご尽力いただいている事が分かりました。
つたない記憶をたどりながらお名前を挙げさせていただき感謝の意を表したいと思います。
まず、レジュメから添付資料の準備等、全般にわたって多大なご負担をおかけした、松岡利江様、古岡典子はじめ近畿会事務局の皆様。
全体進行にご尽力いただきました小山謙司副会長、増田明彦委員長。
会場におきまして、司会進行にご尽力いただきました 公認会計士の古野康和様、川合力様。
発表終了後、私が書き乱したホワイトボードを自ら消してくださいましたのは、なんと、協会において数々のご要職を歴任された、蔵口康裕副会長であられました。
皆様に、この場をお借りして深く御礼申し上げます。
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(文責:豊 憲一郎) |