本の紹介 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「世界の宗教が面白いほどわかる本」 |
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加藤智見 中経出版 580円 |
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![]() この本は、「そもそもなぜ宗教がうまれ、多くの人がこれを信じるのか?」というテーマから始まり、「誤った宗教は、自分に都合よく神や仏を利用する。しかし、正しい宗教観をもてば、強い生き方や生きる知恵が学べる」と主張し、古今東西の宗教をやさしい言葉で分かりやすく解説しています。文庫本ですので字数も少なく、新幹線で東京を一往復する間に全部読めます(途中で寝てしまったら一往復だけでは無理でしょうが)。釈迦の生涯とその教え、モーゼの十戒、キリスト教とユダヤ教の違い、イエスの生涯、マホメットの生涯、イスラム教の特徴、さらには、ヒンドゥー教、道教、儒教についても簡潔に解説しています。 また、日本人の宗教観についても分かりやすく説明しています。過去の第1次宗教ブーム(幕末〜明治初期)や第2次宗教ブームにおける入信のきっかけは、「生活苦」だったそうですが、最近の第3次宗教ブーム(新新宗教)は、若い人たちが支えており、「漠然とした不安感」が入信の主な理由だそうです。日本でなぜ宗教教育が禁止されているのかといういきさつや、正しい宗教教育の必然性、いじめ問題と宗教などのテーマについても書かれています。 「契約宗教」と分類されるユダヤ教・キリスト教・イスラム教は、強力な唯一神と人間との間の契約により神からの救済を受けるという考えが基本になっています。「信じるか信じないか」という二者択一を迫る神様との付き合いが長い民族は、ビジネスの世界でも同じような思考パターンをとるのではないでしょうか。砂漠のような過酷な自然環境下で生き延びなければならない人たちは消極的であいまいな態度では生きてゆけないのでしょう。この発想は、西洋近代において人間と自然を対立させ、人間中心の考え方によって自然を征服、支配するという考えに結びつくようです。最近は自然破壊を反省して自然保護の重要性に芽生えてきてはいますが、その保護という言葉の中にも「保護してやる」という人間中心の態度が依然として残っていると筆者は指摘しています。反省しながらも根本的な態度は変わっていないのではないかと言うのです。 これに対して、日本人などの宗教観は二者択一ではなく、中道の思いから出現する「包容性」の発想があると指摘しています。人間と自然の本質的な区別はなく、この2つは対立せず、親しく連続し、一つのものであると考えられているのです。常に何かを対立させて優劣をつけ、優れたものを選んで他を捨てるという発想ではないと筆者は解説しています。 下記は本書から抜粋した表です。 |
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(会報部 井上 浩一) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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