第38回中日本五会研究大会

 
はじめに
 平成19年1月20日(土)に神戸国際会議場で日本公認会計士協会中日本五会の主催で第38回中日本五会研究大会が開催されました。中日本五会とは、近畿会、兵庫会、東海会、京滋会、北陸会の五つの地域会を指します。今回の開催の当番会は兵庫会であったため神戸市での開催となりました。
  研究大会の当日のスケジュールは以下のとおりでした。
(1) 自由論題の部   10:30〜12:00
(2) 統一論題の部   13:00〜17:00
(3) 懇親パーティー  17:00〜18:30
 
自由論題の部
 午前中は、自由論題の部として公認会計士業務の各分野にわたる8つのテーマについて各部屋に分かれて研究発表とその発表内容に関する質疑応答が行われました。テーマは、いずれも最近のトピックスを取り上げており興味深いものでありました。具体的なテーマと発表者は以下のとおりです。
(A) 全社的な内部統制の評価とその検討  
  北陸会  木戸 正裕氏
(B) 企業支配と連結納税   
  東海会  鷲野 直久氏
(C) 「ITへの対応」に関する問題点と財務諸表監査への影響 〜「ITへの対応」に重要な欠陥が検出されたとしたら・・・〜  
  東海会  平松 宏一郎氏
(D) 資本〜資本概念の変遷、組織再編行為と資本   
  京滋会  奥田 あづさ氏
(E) 非常勤社外監査役の行動指針  
  近畿会 
   
中務 裕之氏
  大倉 雄二郎氏
  野村 政市氏
  弁護士  家近 正直氏
(F) 将来情報の監査−ゴーイング・コンサーンについて   
  近畿会  東 誠一郎氏
  北山 久恵氏       
  蔭山 幸男氏       
  新免 和久氏
(G) 中小企業の非財務情報とその活用
  近畿会 百々 李仁氏
(H) 「IT統制に係る財務諸表監査と内部統制監査の連携」
〜監査証拠の相互利用可能性(限られた時間で監査を実施するために)〜   
  兵庫会  橋 潔弘氏
  近畿会からは上記のとおり3つのテーマの発表がありましたが、私は(F)の「将来情報の監査−ゴーイング・コンサーンについて」に参加しました。
(F)の「将来情報の監査−ゴーイング・コンサーンについて」の研究発表においては、まず東誠一郎氏からゴーイング・コンサーンにかかる監査上の実務の論点の整理の解説がありました。次に新免和久氏から、実際のゴーイング・コンサーンの注記・追記情報の記載状況の時系列分析の発表がありました。その後、蔭山幸男氏からはゴーイング・コンサーンの注記なしで倒産した企業の事例検証としての財務分析の説明がありました。四人目の北山久恵氏からは、継続企業の前提に係る理論的な諸問題の解説がありました。最後にまとめとして、再度、東誠一郎氏からゴーイング・コンサーンにかかる「将来予測情報」の監査における課題等の話がありました。発表内容はしっかりとした研究の成果であり、大変聞きごたえのあるものでした。
 
統一論題の部
  午後はメインホールに場所を移して統一論題の部が以下のスケジュールで行われました。今回の統一論題のテ−マは「監査の品質向上に向けて−監査事務所及び監査業務の品質管理への対応と課題−」です。
(1) 挨拶(13:00〜13:30)     
  日本公認会計士協会兵庫会   会 長 松山 康二氏
  日本公認会計士協会     副会長  増田 宏一氏
(2) 講演(13:30〜14:15)     
  講 師:増田 宏一氏(日本公認会計士協会副会長) 
  テーマ:「監査事務所の登録制への対応」
  質疑応答(14:15〜14:25)
(3) 講演(14:25〜15:10)  
  講 師:澤田 眞史氏(日本公認会計士協会副会長)   
  テーマ:「公認会計士法の改正の動向」    
  質疑応答(15:10〜15:20)    
(4) 講演(15:45〜16:30)      
  講 師:友永 道子氏(日本公認会計士協会常務理事)    
  テーマ:「協会品質管理レビュー実施結果に基づく中小事務所の留意点」
  質疑応答(16:30〜16:40)    
(5) 総合質問(16:40〜16:55)    
(6) 閉会の辞(16:55〜17:00)      
  日本公認会計士協会近畿会 会 長 佐伯 剛氏
 
 まず兵庫会の松山会長と本部の増田副会長から統一論題の部の開会の挨拶がありました。例年は藤沼会長からの挨拶があるのですが、今回は都合がつかず増田副会長が藤沼会長の挨拶を代読する形となりました。
 その後、3名の方々の講演となりました。従来の中日本五会の統一論題の部ではパネルディスカッション方式が多かったのですが、今回は協会本部から監査事務所及び監査業務の品質管理について深い知識と理解をお持ちの3名の方々をお招きすることができたことから、敢えて講演スタイルを採用しています。
 増田副会長からは、「監査事務所の登録制への対応」として、登録制度の導入の背景や協会の対応等についての説明がありました。
 澤田副会長からは、「公認会計士法の改正の動向」として、公認会計士法の再改正の方向性や個別論点の課題等の説明がありました。
 友永常務理事からは、「協会品質管理レビュー実施結果に基づく中小事務所の留意点」として、品質管理委員会の監査事務所のレビュウの状況についての説明がありました。
 質疑応答は各後援者の終了後に行われ、最後にも総合質問の時間がとられました。この品質管理の問題は参加者の皆さんにとって関心が高いためか活発な質疑応答が行われました。

 最後に近畿会の佐伯会長から閉会の挨拶がありました。

 
懇親パーティー
17:00〜18:30は場所を1階のレストランに移して懇親パーティーが開かれました。
 
おわりに
 来年の中日本五会研究大会の当番会は近畿会です。日程等は以下の予定となっています。 
日 時: 2008年1月26日(土)
場 所: 大阪国際会議場(中之島のリーガロイヤルの 隣のビル)
 
 中日本五会研究大会は、参加は無料であり、CPEも獲得できます。なにより日頃の実務とは少し離れた視点で会計・監査・税務等のセンスを磨く良い機会です。皆さん、是非ご参加ください。

(取材:研究部部長 佃 弘一郎)