雑感

田中 章介(昭和10年生)

 
 かって私もその一員であった会報部から、しかも会務に大変熱心な林紀美代会報部長から、何か一筆書くようにとのご指示。何事かと思えば、年男だからという。本当のところそれを忘れていたのだから、驚いた。のんきなものである。
 自分なりには精一杯であったかつての会務活動から離れて10年以上にもなるから、今の時代、大昔ということになるが、その節は、実にたくさんの近畿会の先生方に支えられた。今もうれしい思い出ばかりがよみがえってきて、話題に事欠かない。改めて、心から感謝している。
 さて、齢72を数えての実感なのだが、加齢によって人は滋味あふれる生きものに磨き上げられていくものとばかり楽観していたら、これが全く誤りで、自分勝手になるは、口ばかり達者になるは、前向きな考え方ができなくなるはで、時に自己嫌悪に陥る。少々なりと周囲への役立ちを望むのであれば、余程の心懸けが必要なのだと肝に銘じている。
 現在は、主として大阪学院大学大学院の法学研究科で税法の授業と研究指導を担当しているが、来年度からは博士課程への入学者も見込まれ、ぼけている暇はなかなか無さそうである。年齢相応にではあるが健康であることが幸いしている。自分を踏み台に若い人材が巣立っていくこと、これが私にできる最たる社会貢献かとひそかに思っている。