年頭所感

 

財務省近畿財務局 近畿財務局長 式部  透

 
 新年明けましておめでとうございます。
 日本公認会計士協会並びに会員の皆様には、日頃から近畿財務局の業務運営に関しまして、深いご理解とご協力を頂きまして、厚く御礼申し上げます。


 我が国の金融システムは、不良債権問題の正常化に伴い、金融機関が自らの責任と判断で積極的にリスクをとって金融仲介を行い、資源の適正配分機能を果たすことが求められるようになってきております。また、金融・資本市場においては、投資家に正確でタイムリーな情報を提供することで、市場を通じた公正な価格形成が行われることが必要であります。
 こうした課題の実現に向けて、金融商品取引法の制定をはじめ様々な規制改革を進めるとともに、地域金融機関に対しては、地域密着型金融の推進やガバナンス向上のための取り組みをお願いしてきたところです。
 このような中、近畿財務局としては、地域密着型金融の一層の推進に取り組み、昨年12月初めに地域金融機関による中小企業金融の円滑化に向けた特色ある取り組みを紹介する「地域密着型金融に関するシンポジウムin大阪」を開催しました。
 また、地域のサービス機関として、地域の中堅・中小企業が直面している課題・問題を聴取し、それを分析・検討しフィードバックすることにより、企業活動を支援し、関西経済活性化に少しでもお役に立てるよう「企業ヒアリング」を実施しております。
 さらに、佐伯会長には、国有財産近畿地方審議会委員、中務副会長には、金融行政アドバイザリーをお引き受けいただき、貴重な助言をいただいておりますほか、近畿会におかれては、大阪商工会議所と連携して、中小企業が有する財務諸表に表れない企業の成長性などの非財務情報の目利きの一助とするため、新たなツールとして「非財務情報(知的資産経営)の評価チェックリスト」を作成し活用を図っておられ、私どもも、その効果を期待しているところであります。
 最近の会計監査をめぐる様々な問題の発生を受けディスクロージャー制度の重要性が一層増すとともに、公認会計士監査に対する関心や社会的な期待も一段と高まってきております。さらに、公認会計士監査に対する社会のニーズは近年、多様化、高度化しており、的確な監査を実施していくため、組織的監査の重要性がますます高まっております。
 このような観点から、現在、金融審議会の公認会計士制度部会において、
 ・監査法人等における品質管理・ガバナンス・ディスクロージャーのあり方、
 ・監査人の独立性と地位の強化のあり方、
 ・監査法人等に係る監督・責任のあり方、
 等の諸論点において、幅広く議論を進めているところであります。
 また、今後の会計、ディスクロージャーに係る制度面の課題としては、本年6月に成立した金融商品取引法において、四半期報告制度及び財務報告に係る内部統制報告制度が導入されることとなっており、企業会計審議会で、これらの制度が、円滑に実施されていくよう現在、実施基準が取りまとめられ、広く一般のご意見を求めているところであります。また、企業会計の分野では、企業会計の国際的なコンバージェンスに対して前向きに対応していくという方向で意見書が取りまとめられたところであります。
 近畿財務局においても、公認会計士業界を取り巻く大きな流れの中、金融庁とも密接に連絡を取り、また、会員の皆様方とも協力して、適切なディスクロージャーと会計監査のために努力していきたいと考えており、昨年12月には公認会計士・監査審査会会長及び委員による業務説明会を開催して、業務に対する理解と意思疎通に努めてきたところであります。幸いにも業務説明会には、多数の会員が参加され、また、現場の生の声もお聞きすることができ大変好評であったと思っております。今後とも、このような機会を通じて公認会計士の皆様との風通しをできる限りよくしていきたいと考えております。
 最後になりましたが、新年を迎え、貴協会の一層のご発展と会員各位のご健勝と益々のご活躍を心よりお祈り申し上げまして、年頭のご挨拶といたします。