報告

 

世界会計士会議(於トルコ共和国イスタンブール)報告

広報担当副会長 和田 頼知

 
 世界会計士会議が11月13日から16日、トルコのイスタンブールで始まりました。私は来年のCAPA大会の運営の参考にするため、12日の夜、ソウル経由で到着しました。「飛んでイスタンブール」です。この町は、昔コンスタンチノープルと言われた都市であり、オリエント急行の始発、シルクロードの終着点でもあります。ボスホラス海峡に架かる橋がこの町を西洋と東洋に分けている古い文化都市です。
 私は13日の朝からCAPAのブースを設営するために会場に向かいましたが、守衛が英語を理解せずさっぱりです。なんとか入り口を見つけて富岡さん、佐伯さんと共同で午前中に設営を完了しました。我々以外に34団体がブースを設置しており、半分は会計士協会などの非営利団体、残りは会計事務所、受験学校、新聞社などです。ブースはメイン会場の通路に設営されており、午後になると登録を終えた参加者が続々とブースを見学に来ました。我々はCAPA宣伝用に「うちわ」、「バッグ」をそれぞれ300枚、今回のために作成した「パンフレット」300枚、それから「CAPAシール」1000枚程を持参しました。今回の参加者は、全体で5000人程度、アフリカ諸国、イラン、中国、モンゴル、日本の姿が目立っていました。イスタンブールは日本でいうと青森あたりの緯度で11月の中旬はとても寒く「うちわ」はどうかと思っていましたが、いわゆる人気殺到でなんと開会式の前に全部なくなってしまいました。バッグも同様に明日以降にもブースに並べられるよう机の後ろに隠さざるを得ないほどの人気でした。
 開会式の同時通訳の機器の貸し出しは「パスポートと引き換え」という手段が採られたため、通訳機を求めて会場前に長い列ができました。かつ金属探知機のチェックに時間がかかったため予定を40分も遅れて始まりました。IFAC会長以外のゲスト(トルコ国の総理大臣も参加)はトルコ語でスピーチし、それを日本語に同時通訳していたのですが、この日本語が理解不能、全体のスピーチも2時間余りあり日本人の多くは途中で退場しCAPAブースで和んでいました。また楽しみにしていた「歓迎レセプション」は通路にワインと軽食が並んだだけのもので、皆主食を求めてホテルに帰っていったようです。
 2日目も同時通訳機を求めて長い列ができていた点と分科会の会場によって同時通訳の機器がデジタルとアナログに分かれており混乱した状態となっていました。日本人用には協会本部の方が事前に手配していたため、混乱は避けられました。さて我々のブースには多くの外人から「CAPAに参加したい」という依頼がありましたが、相手はナイジェリア人、チェニジア人、トルコ人、イラン人などCAPAの加盟国でない国の人々です。単なる冷やかしでもなさそうなので、国際色豊かなCAPAになるかも知れません。分科会が始まっても半数の人はブース周りで時間をすごしています。人と逢い、友達を作り、会話をして情報収集することも世界会議の重要な役割なのです。今までCAPAの中身の準備を精力的に行っていましたが、このような「楽しみ」の場所を検討する必要があるのかも知れません。
 2日目、私は「会計士の規制」に関する分科会に参加しましたが、そこではEUも日本や米国のように国による会計士の規制が出来つつあり、ヨーロッパで起債や上場している日本企業の監査は誰が検査するかという問題が発生しそうです。その日の夜はジャパンナイトと称して日本人だけでアジアサイドに渡り海鮮料理を楽しみました。日本からはご婦人も含めて総勢130名あまりの方が参加し、楽しい時間をすごしました。料理は「いまいち」でしたが。
 3日目は終日分科会が行われましたが、メイン会場はトルコ会計士の会議が開催されていましたので、CAPAブースも午後はクローズにしてすこし街を見物いたしました。ヨーロッパ側のイスタンブールの街は新市街と旧市街に分かれており、旧市街は丸ごと世界遺産に登録されています。旧市街ではいわゆる高層ビルはなく、あちこちに点在するモスクや宮殿が観光スポットであり、夜になるとそれらがライトアップされ、また街にコーランの声が響き、映画にでもでてくるようなエキゾチックな雰囲気をかもし出してくれます。
 3日目の夕食はガラディナーで皆がバスで市内にある宮殿に移動しました。大阪から参加した近畿会の役員は皆、CAPAで開催するガラディナーの参考にしようと意気込んでいたと思います。宴会会場の2階、3階のあちこちにトルコ料理が並び、小部屋では、ベリーダンス、民族舞踊、写真撮影など、豪華絢爛なディナーであり、「ちょっと勝たれへんなー」というのが正直な感想です。
 意気消沈して迎えた最終日は午前中の分科会に続き閉会式が行われました。前回開催の香港の会計士会議の閉会式では、参加者が1/3ぐらいに減ってしまい、残念な気持ちでしたが、今回はトルコ会計士の多くが最後まで参加し、締りのある閉会式となりました。フィナーレは、舞台では花火、会場全体に花吹雪が舞い、「ちょっとやりすぎ」の閉会式という印象です。
 韓国の会計士協会会長にトルコ会議の印象を聞いたところ、ガラディナーを褒めるよりも、運営のまずさを指摘されており、予算の限られたCAPA会議ですが、まずはしっかりした運営をしなくてはいけないと心に刻んでおります。
 
  CAPA会議の教訓としては、
1. 英語、韓国語、中国語のできるスタッフを配置し、参加者の質問に応えられる体制を作る
2. 同時通訳機の貸し出しに混乱が生じないように会場毎に配置、回収する
3. 国際会議ですが、「和みの場」「出会いの場」を設ける検討をする。
4. 参加者には最後まで出席していただけるプログラムつくりを行う。
5. 同時通訳者に対して会計単語の教育や、講演者の資料の読み込みを行う
 
 皆様、いろんな意見や希望は随時受け付けています。心にのこるCAPA大会を目指していますので、ご協力のほどよろしくお願いします。