本部委員だより

 

業種別委員会報告の改正作業に関わって

北本 敏

 
 日本公認会計士協会(業種別委員会)ガス業専門部会の園木専門委員の代理で平成18年3月8日開催のガス業研究部会に参加したことが協会活動への関わりとなりました。その日のテーマは、・ガス業の託送事業について・大口収支の監査報告書の様式・その他、平成18年3月決算期の留意事項等で、かなり業種特有のものでした。私は大阪ガスの監査を担当して4年になることもあって、代理出席を要請されました。といっても、託送事業は大阪ガスでも始まったばかりであり、託送収支計算書の監査の要否を検討するのか、大口収支の監査報告書の様式の変更を検討するのか内容を十分把握しないまま当研究部会に出席しました。
 主たるテーマは平成7年3月28付の業種別監査委員会報告第11号「大口供給を行う一般ガス事業における部門別収支計算書に関する職業的に資格のある会計監査人による証明書について」を改正することでした。というのは、平成16年11月29日付で企業会計審議会から公表された「財務諸表等に係る保証業務の概念的枠組みに関する意見書」において、公認会計士が行う保証業務のあり方が明らかにされたことを受けて、公認会計士等の保証業務等についての指針の整備を協会が進めており、ガス事業部門別収支計算書の証明書発行業務についても見直す必要が生じたことによるものでした。
 山口部会長から同報告第11号の改正案を3月24日までにまとめるよう指示を受け、私と東邦ガス担当の鬼頭先生に依頼がきました。大変なことになったなぁと不安になりまし たが、指名を受けた以上はやらなければと、早速、関与している大阪ガスの企画部の方の意見も聞きながら、ガス事業法及びガス事業部門別収支計算規則等を熟読しました。また、電力の方でも業種別監査委員会報告第22号「一般電気事業者が作成する部門別収支計算書に関する公認会計士等による確認のための調査」の改正についてその草案が出てましたので、これを参照しながら、私の担当部分の改正案をとりまとめ、3月16日に事務局に送信しました。これを第11号改正案のたたき台として事務局で新旧対照表が作成され、3月22日に鬼頭先生ご担当の箇所(合意された手続実施結果報告書関係)が追加され、3月27日までに専門委員の方々のコメントをもらうことになりました。
3月28日に山口部会長から第11号の改正趣旨の文章をもらい、その中で、ガス事業部門別収支計算書の証明書発行業務は、それを行う主体によって、すなわち財務諸表監査を行っている監査人が、証明書に係る業務を行う場合は、「保証業務」であり、財務諸表監査を行っている監査人以外の者が、証明書にかかる業務を行う場合には、「合意された手続」となるとのことでした。こうなると、合理的保証業務としての証明書発行業務にかかる手続も必要になり、それを考えるのは今からでは大変な作業になるなぁと心配していました。鬼頭先生もその点を質問され合理的保証業務の手続等の作成を依頼されていました。
 これらのメールのやりとりを受け、4月5日にガス業専門部会が開催され、当該証明業務を「保証業務」とするのか、「合意された手続」とするのか議論されました。私も、これまでやってきたガス事業部門別収支計算書の証明書発行業務は単純な照合と計算チェックであり、どちらかというと「合意された手続」と考えていましたし、保証業務のような仰々しいものではないとの感覚がありました。いろいろ意見が出されましたが、結局、山口部会長の「改正趣旨」のとおり、本体監査人=保証業務、本体監査人以外=合意された手続との枠組みに落ち着きました。それを受けて4月7日に、山口部会長がドラフトを大幅に修正され、合理的保証業務についての説明も非常にコンパクトにまとめられましたが、その際の苦渋がよくわかりました。
 その後4月13日の理事会において第11号改正公開草案が承認され、19日に資源エネルギー庁とガス協会に事前説明に行かれたようです。4月24日に「業種別監査委員会報告第11号「大口供給を行う一般ガス事業における部門別収支計算書に関する職業的に資格のある会計監査人による証明書について」の改正について」(公開草案)を公表し、5月15日まで広く意見を募集しましたが、結局、意見がなかったため、公開草案がそのまま5月18日に理事会で承認され公表されることになりました。
 これら一連の委員会報告改正の作業に関わることができ、本当にいい経験をさせてもらいました。何より自分の考えた文が一部残っていることを大変嬉しく思っています。
 本当にありがとうございました。