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業種別委員会の専門委員として |
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業種別委員会信金共同事務センター専門部会 |
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このたび、業種別委員会より平成18年7月25日付で研究報告第5号「信用金庫監査における共同事務センターの内部統制評価のあり方について」が公表されました。これは、「信用金庫の共同事務センターの監査のあり方について検討されたい」との諮問に基づき、業種別委員会に「信金共同事務センター専門部会」が設置され、そこでの検討結果として公表されたものです。 ここ数年間、会計監査業務から離れ、金融機関におけるシステムリスク管理態勢の評価等の業務が中心になっていましたので、業種別委員会の委員に就任しようとは思ってもみませんでした。今回の専門部会の設置では、信用金庫部会委員の方々のほかに、従来から信用金庫の共同事務センターにおける内部統制の評価作業を担当していた実務者が専門委員およびオブザーバーとして参画することになりました。私は、信用金庫の会計監査の制度化以降、共同事務センターの内部統制評価を担当してきたことから、今回の専門部会の専門委員に就任することになったものです。 信用金庫の共同事務センターは、地区ごとに全国で7箇所設立されています。共同事務センターの組織形態は、事業組合形式で運用されているケースや各地区の信用金庫協会に付設されているケースなど、複数の形態が見受けられますが、地区ごとに共同加盟されている信用金庫を実質的な構成員として運営されていることに変わりはありません。 7箇所の共同事務センターは、組織的には各々か独立して運営されており、7箇所それぞれで必要なコンピュータシステムの設備を保有し、各地区の共同事務センター職員が外部の情報処理会社の支援を得てそれぞれに運営業務を行っています。しかし、各共同事務センターで稼動している業務システムは、同一の業務システムとなっています。これは、各地区の共同事務センターが合同で仕様を協議・検討し、7箇所の共同事務センターで合意された仕様に基づいて、外部の情報処理会社が開発したものです。 信用金庫の会計監査の実施にあたっては、共同事務センターで運営されているコンピュータシステムが信用金庫の内部統制に重要な影響を与えると多くの信用金庫の会計監査担当者が認識しています。そのため、多くの信用金庫の会計監査担当者が共同事務センターにおける内部統制の評価を希望します。しかし、信用金庫の会計監査担当者が個々に共同事務センターの内部統制の評価作業を実施した場合には、共同事務センターに多大な負担が生じ、日常の情報システムの運営業務に支障を与えることが予想されます。そのため、共同事務センターの内部統制の評価は、信用金庫の会計監査担当者が同一の作業スケジュールで、各会計監査担当者が一堂に会して往査しますが、評価作業は、各会計監査担当者自身が実施するという、いわゆる合同監査方式により実施されています。合同監査方式では、各会計監査担当者の判断により、必要な評価作業が実施されるため、有用な評価作業が行われていると言えますが、別の見方をすると、参加されているほとんどすべての会計監査担当者が同一の作業を実施するため、全体としては非常に不効率な方法であると言えます。 特に、企業における内部統制に対する社会的な要請の高まりや改訂後の監査基準等への対応を考えた場合、信用金庫の会計監査における共同事務センターの内部統制の評価作業をより一層充実させる必要があります。このような状況から、この研究報告では、今後の共同事務センターにおける内部統制評価の方向性としてはセンター監査人方式が望ましいと結論づけています。しかし、共同事務センターを取り巻く関係者は数多く存在しており、センター監査人方式を採用する場合に調整しなければいけない事項は山積しています。今回の専門部会の活動は研究報告の公表により、終了することになりますが、今後とも、共同事務センターにおける内部統制のより一層の構築と適切な評価作業が可能となるための取り組みが必要です。 |