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財産評定専門部会報告 |
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経営研究調査会財産評定専門部会 |
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溝端 浩人 |
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1. | 財産評定専門部会とは | |
経営研究調査会の財産評定専門部会は、「会社更生法下における財産評定の実務について調査研究されたい」という諮問に基づいて組織された部会である。この部会の成果物としては、平成16年5月に経営研究調査会研究報告第23号として公表された「財産の価額の評定等に関するガイドライン(中間報告)」がある。この報告書は前回の専門部会で取りまとめられたため、残念ながら私はこの報告書の作成には加わっていない。平成16年9月に招集された今回の部会は、委員長と常務理事以外に、4大監査法人の東京事務所から各2名の8名、東京の個人事務所から2名、東京の弁護士1名、そして近畿の個人事務所から新たに私の1名が加わってスタートした。 | ||
2. | 参加の経緯 | |
なぜ、この部会に私が呼ばれたのかについて推測するに、前回の部会には東京の会員しかいなかったところ、上記ガイドラインが公開草案で出された段階で、私のところに近畿会のとある会員から、関西のことが理解されていない、みんなで意見を出そう、という連絡があり、この公開草案に近畿会から多数の厳しい意見が出されたことが原因でないかと推測している。ということで本当かどうかは別にして、文句をいうのなら直接言うようにというようなことで、近畿会の人間も一人くらいは入れておこうという話しがあったのではないかと勝手に想像しているところである。 | ||
3. | 研究の内容 | |
というようなことで、参加することになったわけであるが、この専門部会は、いわゆる弁護士の世界で言う「倒産村」で色々な仕事をしている会計士が集まって、会社更生法下における財産評定を中心にして、会社再建に関係するさまざまな手続きにおける資産評価の方法等の研究を行った上で、上記ガイドラインのQ&Aを完成させることを最終目標に活動している。よって、昨年は、産業再生機構、日本不動産鑑定士協会、生命保険協会、整理回収機構から講師を招聘し、それぞれの立場における資産の評価や企業価値の評価についての考え方をお聞きし、現在は、更生手続における財産評定を基本におきながら、倒産手続全般についての議論を行い、最終的にガイドラインに関するQ&Aを取りまとめる計画である。 | ||
4. | 近畿からの参加の使命 | |
選ばれた経緯からしても、私の使命は、関西の泥臭い会社再建の実務を東京の会計士に理解させ、東京地裁と大阪地裁の実務の違い、東京の実務だけを前提に全国向けに報告書を公表するのではなく、他の地域の情報も十分勘案する必要があるということを訴えていくことにあると考えて いる。ただ、倒産村の会計士にも、債権者側で仕事をするものやM&A関係の仕事が多いもの(監査法人系)、債務者側で仕事をしているもの(個人系)といった違いがあり、更に、ギリギリまで諦めないためお金もなく泥臭い債務処理をしていかなければならない関西の債務者側での仕事をしている近畿の個人系とすると、数では、監査法人対個人、東京対近畿、という意見の対立時には非常に弱い立場に置かれるところであるが、そこは、たった一人の参戦であったとしても、とにかく頑張るということで努力してきた次第である。今年に入り、Q&Aの最終取りまとめ段階に入って、近畿会から強力な個人系のメンバーに加わっていただいたので、関西の力関係も強まってきており、多分であるが、今後公開されるはずのQ&Aを読んでいただくと、前回公表されているガイドラインと違って、随所に大阪地裁の取扱い等についての説明が加わっているはずである。 |
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5. | まとめ | |
部会への参加は一日仕事になるため、近畿の人間にとっては予定の調整が大変であるが、他の部会員とは「倒産村」の会計士として、仕事においても出会うことが多く、スムーズに仕事を進める上でも部会での議論は有用であり、また、関西の実務を東京の方々に理解してもらうということだけでなく、逆に、東京の実務を知って近畿会会員にフィードバックする機会にもなるため毎月それなりに楽しく参加させていただいている次第である。 |