「トップインタビュー」第9弾!! | ||||||||||||||||||||||
近畿会では、関西の我々とかかわる業界との相互理解を深め、協力可能な施策について関係機関との連携を図るための方法のひとつとして、各関係機関のトップに佐伯会長がインタビューをするという形式で意見交換を実施しております。第9回は大阪市長との座談会を実施しました。 | ||||||||||||||||||||||
(会報部長 林 紀美代) |
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大阪市長との座談会 |
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■ | はじめに | |||||||||||||||||||||
佐伯会長: | ||||||||||||||||||||||
本日はお忙しい中、関市長には日本公認会計士協会近畿会との座談会のために貴重なお時間を頂きまして感謝申し上げます。 始めに、本日の座談会の趣旨を簡単にご説明させて頂きたいと思います。我々、地域会である日本公認会計士協会近畿会(以下、「近畿会」)では、事業目標として、関西経済活性化に向けた貢献を挙げております。これまで、大阪商工会議所会頭・近畿財務局長・近畿経済産業局長等々とのトップ座談会を行いましたが、これらを通じまして、関西経済活性化の核は「大阪」であるとの認識を強くもっております。その「大阪」の行政トップとして率直なお話が伺えればと思います。 |
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■ | 大阪市政改革の基本方針 | |||||||||||||||||||||
佐伯会長: | ||||||||||||||||||||||
先ず、「市政改革マニフェスト」(市政改革基本方針)(案)を昨年の選挙後に公表されましたが、改革の視点が明確なのと、かつボリュームが大きいのに驚きました。またその作成に携わった3名の公認会計士を含め関与された方々に深く敬意を表します。では、「市政改革マニフェスト」(案)の概要についてお話し頂きたいと思います。 | ||||||||||||||||||||||
関 市長: | ||||||||||||||||||||||
![]() 「市政改革マニフェスト」(市政改革基本方針)(案)は、@これまでの慣行・先例との訣別、A大阪市政への”経営”のしくみの導入、B「市民スタンダード」に則った市政運営の確立と、市政への市民の参画と市民との協働の推進、C自律改革を持続する組織づくり−今回の市役所改革は”未来に向けた発射台”と位置付ける−、という4つの基本戦略に基づいて策定されております。 そして4つの基本戦略を具体化するために、経常経費や職員の削減などをすすめるとともに、大阪市が所有する人材・資産・資金などの資産をフルに活用することで、健全かつ持続可能な経営体質を確立させることを目標としたマネジメント改革、情報公開の徹底やコンプライアンス委員会の設置など、市の各組織部門と個々人のレベルの両方で何が正しいことかを常にチェックし、かつ、組織の日常活動に内部統制の仕組みを根付かせ、市民からの信頼を回復することを目標にしたコンプライアンス改革、トップマネジメント機能の強化や局・区長の責任の明確化など、環境変化に即応し、日常的な改革を持続させる組織体質をつくり上げるために、政策・意思決定の集約化と執行の地域分権化を同時に目指していくことを目標にしたガバナンス改革の3つの改革を推進することとしております。 この3つの改革は、経常経費の900億円削減や7000人を超える職員数の削減など、87の具体的な取組みで構成されており、その大半を平成18年度には実行していくことを掲げ、これらに同時に取組み、組織全体の行動原理と組織風土を根本から変えていき、自律改革が持続できる組織基盤を作ることを目指しています。 |
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佐伯会長: | ||||||||||||||||||||||
お話しにあった「コンプライアンス委員会」の件については、会計士協会近畿会として対応させていただきます。現在、一般の企業でもコンプライアンスやガバナンスの議論がありまして、会計監査する外部の会計士、監査役、そして社長直轄の内部監査、この三つを機能させながらチェックする考え方が定着してきています。 | ||||||||||||||||||||||
関 市長: | ||||||||||||||||||||||
企業は当然そうでしょうね。最近は、コンプライアンス委員会を作っているところがかなりありますね。ただ、企業の場合は、コンプライアンスを徹底させてある程度自分の会社をディフェンスしないといけませんが、我々の場合は市民相手ですから、職員が市民と誠実に向き合って公正に仕事しているかどうかということこそがコンプライアンスなのです。ですから、もちろん法律を守るのは当たり前のことですが、公益通報として上がってくる様々なものにどう対応していくかということも重要になってきます 現在、条例案を作成中ですが、通報のあった案件について委員会も調査できるような体制にしたいと思っています。市民からの通報をきちっと役所が受け止められるようにしなければいけないわけですが、通報として来るものには様々なものが考えられ、建設的な意見もあれば、当然苦情もありますから、それをどう処理していくか。組織としてどううまく政策に生かしていくか。委員のかたにはその辺の助言もぜひお願いしたいと思っています。我々としては、どちらかというと市民感覚的なかたを望んでいます。 |
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佐伯会長: | ||||||||||||||||||||||
それと、新聞報道によりますと、「市政改革マニフェスト」(案)では地下鉄等の民営化や、ゴミ収集事業の独立行政法人化といった、民間ノウハウの採用や一部に運営形態に踏み込んだ構想を示されており、是非とも全国の先駆けとして成功させて頂きたいと思います。 大阪府でも同様に病院事業の地方独立行政法人への移行を打ち出していますが、地方独立行政法人法の対象業務にゴミ事業が含まれていませんが、この辺の見通しはどのように見ておられますか。 |
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関 市長: | ||||||||||||||||||||||
![]() 環境事業は、市民にとって不可欠な行政サービスであり、公共性を保ちながら、安定的に、しかも、収集コストを下げるなど効率的に実施していく必要があります。しかし、必ずしも大阪市自らが行う必要はないとも考えられます。安定的で確実な実施や民間市場の成熟度も考えあわせますと、現在法律の対象ではありませんが、現時点では公共性の高い事業を効率的かつ効果的に実施できる地方独立行政法人の活用が有力な選択肢と考えられますので、これを前提として検討していきたいと考えております。 今後検討を進めながら、地方独立行政法人の対象業務の範囲など、積極的に法改正について国に働きかけていきます。 |
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■ | 大阪府と大阪市(二重行政) | |||||||||||||||||||||
佐伯会長: | ||||||||||||||||||||||
以前、大阪府が大阪新都構想を展開し話題になり、この時、大阪市はスーパー指定都市構想を公表されましたが、行政改革の議論として、二重行政の解消は大きな論点であると思います。今回の「市政改革マニフェスト」でマネジメント改革の具体的内容として、“他の法人(大阪府)との連携を検討する”と記載されていますが、大阪府との関係についてのお考えをお聞かせ下さい。 | ||||||||||||||||||||||
関 市長: | ||||||||||||||||||||||
昨年12月に太田知事から、これからの府市連携について話し合うため、会談したいという申し入れがありました。私も大阪府との連携については、今後の市政にとって非常に重要だと思っており、12月に公表した「市政改革マニフェスト」にも、いくつかの例をあげて連携を推進することとしておりますので、知事の提案に賛成したところです。ご承知のように、府市連携には以前からも取り組んでおり、最近でも、ミナミの環境改善などで成果をあげてきております。また、お尋ねのありました「二重行政」についてですが、ただ単に施策や事業の類似性だけに着目するのではなく、住民ニーズへの対応といった観点も踏まえて検証し、非効率となっている場合については、できるだけ早く是正すべきであると考えておりまして、これまでに府市で研究会を立ち上げて取り組み、道頓堀川など河川管理権限の移譲、シンガポールと上海にある海外事務所の共同化や、府市の観光団体を統合して一本化するなど、一定の成果をあげてきております。 これからも、大阪府と積極的に協議をしていくつもりですが、もともと大阪府は市町村域をまたがる行政を担う広域自治体として、また、大阪市は住民に身近な行政を担う基礎自治体として、それぞれに求められる役割がありますので、こうした点を明確に意識しながら取り組んでいくことが大切だと考えています。いわゆる「二重行政」についてはもちろんですが、さきほどのミナミの件のように、府民・市民のメリットになるテーマは、他にもいろいろあるのではないでしょうか。また、目先のことではなく、先を見通した計画性のある中身にしていくことが大事だと思います。こうしたことを踏まえて、近く行われる会談で知事と話をしたいと思っており、そのうえで、さきほどの府市の研究会をリニューアルして、施策・事業目的の効果的な実現、住民サービスの向上という観点で、府市相互の役割分担の明確化や事業の共同化といった、さまざまな連携方策について検討を行っていきたいと考えております。 |
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佐伯会長: | ||||||||||||||||||||||
地方自治体で取り組む課題として、少子高齢化は避けられませんが、高齢者の看護・介護・医療を取り上げた場合、福祉・保険・医療サービスはトータルに扱われた方が効率・有効・経済的に行われることに異論は無いと思います。例えば、大阪府下に民間・国立・市立・府立病院が存在しますが、市民から見ると、大阪府下にある医師・医療施設が経営主体で重複して無駄が多いとの指摘があります。人・物・金・情報を大阪府と大阪市が市民の視点から上手くマネジメントして頂きたいと思います。 | ||||||||||||||||||||||
■ | 財政状況の市民への説明責任(適正・公平な税務行政と自治体連結財務諸表) | |||||||||||||||||||||
佐伯会長: | ||||||||||||||||||||||
次に、行政改革には市民も納税は当然のことながら、応分の負担が必要だと思います。例えばイギリスでゴミ収集事業サービスの改善を図るのに、市民がゴミ容器を収集車が移動しやすい道路に運ぶことで3E(経済性・効率性・有効性)を確保したと聞いたことがあります。この様に、市民にも応分の負担を求め、また依頼する前提として、税収確保の必要性や財政状態の厳しさを判りやすく市民に説明する必要があると思います。 地方分権の時代を迎え、地方税を中心とした税財政制度が確立され、市民の税への関心が高まる中で、より適正・公平な税務行政を推進し、市税収入の確保に向けて、いろいろ取り組もうとされていると聞いていますが、それについてお聞かせ下さい。 | ||||||||||||||||||||||
関 市長: | ||||||||||||||||||||||
歳入確保においては、市税が大きなウエートを占めており、適正公平な賦課徴収を推進することにより税務行政に対する市民からの信頼を得ることができ、そのことが市政への信頼にもつながるものと考えています。また、このことが、市税収入の確保にもつながり、負担いただいた税については、様々な施策を通じて市民へ行政サービスとして提供されることになるわけです。 市税収入確保に向けては、「市政改革マニフェスト」(案)にも掲げていますが、未収額の圧縮に努め、収納率の向上を図ることや、マルチペイメントネットワークを活用した電子収納の実施など、納付しやすい環境整備などにも取り組んでいくこととしております。その中でも目玉は、効率的で強力な賦課徴収体制の整備を行うための「市税事務所構想」の平成19年度中の実施を盛り込んだことです。 平成19年度には、私ども地方公共団体が一丸となって取り組んでまいりました三位一体改革に伴い、国の所得税から地方の個人住民税へ税源移譲が行われます。このことから、大部分の方について個人住民税が所得税より税額が多くなることになり、市民・納税者の市税に対する関心が確実に高まり、また税を通じて市政への関心が高まることに期待しています。一方、本市の厳しい財政状況の中で、税務事務においても一層効率的な運営を行っていかなければなりません。 この「市税事務所構想」の概略ですが、24区役所で行っている税務事務を一般市税事務所6ヶ所、法人等関係市税事務所1ヶ所に再編し、税務行政の高度化と組織の強化、あわせて効率化も図るものであります。これにより、規模のメリットを生かして計画的に課税対象の捕捉や実地調査の強化を図ることや、大きな成果をあげてきた市税収納対策特別チームを各市税事務所に再配置し、不動産公売や債権差押えなどの厳正な滞納処分の徹底も行っていきます。また、職員のスキルアップなど、専門性の向上に努め、市税事務所の体制強化を図っていきたいと思っています。 もちろん市税事務所は、市民・納税者の利便性にも配慮したものでなければならないと考えており、交通の便利な主要ターミナル周辺への設置や、市民ニーズの高い各種税証明書の発行事務は、市税事務所7ヶ所及び24区役所で行っていきます。また、これまでは、住所や資産の所在する区役所でしか対応できなかった用件が、基本的にはどの市税事務所に行っていただいても済むようにできるなどのメリットもあると思っています。 この「市税事務所」は本市税務行政始まって以来の大きな改革であり、指定都市でも初めての取組みであります。市政運営の最も基礎的で、かつ最前線の担い手である税の部門が時代の要請に応じて変革していくことの意味は大きく、平成19年度中の実施に向けて鋭意取り組んでいきますので、会長はじめ近畿会の皆様にもご理解、お力添えを賜りますようお願いします。 |
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佐伯会長: | ||||||||||||||||||||||
了解しました。お話しの「市税事務所構想」ですが、企業では、売上・売掛・入金がとても大事な取引になるのですが、今回は一般市税にかかわる6か所と法人関係を扱う1か所、合計7か所で集中的に税収をコントロールしましょうということですね。 | ||||||||||||||||||||||
関 市長: | ||||||||||||||||||||||
税を集めるのは、ある種の特別な技術、知識の要る仕事ですから、スペシャリストが必要なのです。 24区役所で行っているとそういう人材が分散されますので、もう少し集中したほうが人材を有効に使えるのではないかという、第一には人材を固めたいということですね。 それから、区ですとあまりにもエリアが狭いので、近すぎて踏み込んでいきにくいということもあります。 |
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佐伯会長: | ||||||||||||||||||||||
専門的な能力を持たれたかたがそこで人事考課を受けて、能力があれば持続して昇級・昇格できるというインセンティブを与えなければ、せっかくいい人材であっても、よく機能しません。3年ぐらいでぐるぐる回っていてはなおさらです。税に関しても、やはりそれだけの知識、専門能力を持ったかたを特定のところに集中させるというのは、とても大事なことだと思います。 設置される市税事務所が、いわゆる事務のバックヤード、単なる事務処理センター的なものでなく、地方税務行政のプロ集団として市民・納税者から信頼されるものになるよう期待しています。 それと、別の論点になりますが、市民から提供された税金の収支と残高を複式簿記で処理し、特別会計・一般会計を一元化し、更に連結財務諸表として公表することで、大阪市の財政状況を客観的に市民に説明し理解を求める手続きが必要であると思います。この点について「市政改革マニフェスト」のコンプライアンス改革の具体的内容として“民間企業的な視点による財務諸表の整備”を提示されていますが、今後の進め方についてお聞かせ下さい。 |
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関 市長: | ||||||||||||||||||||||
現行の官庁会計による予算書や決算書は、市民にとって分かりにくく、情報公開の流れに適応したものになっていないと感じています。 ただ、予算書・決算書の様式や会計処理は法令で定められていますので、当面は、それを補完する資料を工夫することにより、財政状況をできるだけ客観的に説明するよう努めていきたいと考えています。 財務諸表については、これまでも、国のマニュアルにもとづいてバランスシートを作成しており、普通会計は平成11年度決算から、特別会計を合わせた全会計についても平成13年度決算から公表しています。 さらに、外郭団体も含めた「連結バランスシート」の試案をこの1月に公表したところですが、今後、これらの有効な活用方法について研究を重ねていきたいと考えています。 また、公営企業会計については、現在、公認会計士の先生2名に参画をいただいて立ち上げた「公会計プロジェクトチーム」において、より経営的な観点に立って事業の財務状況の実態を的確に把握し、リスク管理に役立てられるよう、減損会計の導入や退職給付引当金の計上などの検討を行っているところです。 |
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■ | アジア・中国 | |||||||||||||||||||||
佐伯会長: | ||||||||||||||||||||||
![]() 大阪市のアジア諸都市との国際交流の戦略のようなものがありましたらお聞かせ下さい。 |
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関 市長: | ||||||||||||||||||||||
大阪は昔から、内外の交流の結節点として発展してきた都市であり、とりわけ地理的に近く歴史的なつながりも深いアジアの諸都市とは緊密な関係を築いてきました。私は大阪市を、これまで培ってきたネットワークを活かしながら、アジア交流圏の拠点として、創造力の源となる人材が集まり、お互いに刺激し合い、価値ある新しいものを生み出す、活気あふれる「創造都市」にしたい、と考えています。 近年のグローバル化の進展に伴い、アジアを中心に大都市の間で競争が激しくなっておりますが、経済的な相互依存関係も強まっている韓国・中国の各都市とは、競争の中でも協調を図るwin-winの関係を目指し、都市の持続的な発展を実現すべきです。 中でも友好都市提携を結んでいる上海市と、友好港提携を結んでいる釜山市とは、それぞれの国で第二の都市であり、空港・港湾を備えた国際的なゲートウェー都市として名高いなど、大阪市との共通点が多く、連携して東アジアの「ゴールデン・トライアングル」として、3都市間の交流はもとより、国際的な観光ルートとして、欧米をはじめとした全世界にもPRしていくことになりました。関空の2本目の滑走路が供用開始され、IAAF世界陸上競技選手権大阪大会が開催される2007年には、大阪で釜山・上海の市長を迎えて観光サミットも開催したいと考えております。そしてこの観光サミットを、文化、スポーツ、教育、行政施策などさまざまな分野で具体的な成果を挙げる「創造的な国際交流」を進めるきっかけとして、3都市間の連携をより緊密なものとしていきたいと思います。 また、大阪市では、成長を続けるアジア・太平洋地域との経済ネットワークを構築するため、すでに12都市とビジネスパートナー都市提携を締結し、上海とシンガポールにある海外事務所なども活用して、アジア経済との結びつきを強化するとともに、在阪企業の国際展開を支援しております。特に在阪企業にとって豊富なビジネスチャンスが見込まれる中国については、南の香港、中部の上海に引き続いて北の天津とも提携を行い、経済先進地域の中国沿海部を軸にした関係を構築いたしました。経済は観光と並ぶアジア諸都市との交流の柱ですから、今後とも、こうした都市間ネットワークの一層の充実を図っていきたいと考えております。大阪にはアジア・太平洋9カ国の総領事館をはじめ、多くの政府関係機関もありますから、これら公的機関とのネットワークも貴重な資源です。 佐伯会長は、上海や釜山をはじめ、諸外国の会計士協会との交流を熱心に進めておられますので、今後の成果に大きく期待申しあげます。2007年のCAPAの大阪開催は、専門性の高いグループによる国際会議として大変意義深く、本市の事業とも相俟って大阪の魅力を広くアピールする好機として、心強く感じます。 大阪市では2006年にアジアで初の「世界バラ会議大阪大会」、2007年に先に申しあげました世界陸上の開催に向けて準備に力を入れており、さらに2008年サミットの関西への誘致活動に取り組んでいます。これらの国際活動を通じ、アジアの交流拠点としての魅力を高め、積極的な役割を果してまいりたいと思いますので、近畿会の事業とも連携して進められるものがあれば、ぜひ協働して大阪をアピールしていきましょう。 |
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佐伯会長: | ||||||||||||||||||||||
このCAPA大阪大会は日本の会計士協会でやるのですが、我々が組織委員として実質的に段取りをしていますので、大阪城と文楽を大阪の文化としてうまく使おうと思っています。 | ||||||||||||||||||||||
関 市長: | ||||||||||||||||||||||
文楽というのは割合分かりやすいのですよ。この間、国際人形劇フェスティバルというのをやったのですが、人形劇というのは各国にあるのですね。ヨーロッパでもあります。でも、技術とかいろいろな面で、やはり文楽がいちばん水準が高いです。一つには見て分かる。歌舞伎よりも分かりやすいですし、男女関係のストーリーが多いので、外国のかたにもよく分かるというので、文楽協会には大阪市も様々なかたちで支援をしています。ほかにも、来年8月終わりから9月初めに世界陸上があって、そのあと9月に神戸・大阪で世界華商大会をやろうということで計画が進んでいます。 佐伯会長:非常に興味深いお話しありがとうございます。大阪の「強み」として、これまで培ったアジアとの文化・人材交流の歴史と蓄積がありますから、これらを大いに活用し、我々も大阪市と連携してアジア諸都市とのパイプを広げて行きたいと思います。 |
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■ | 中小ベンチャー企業支援 | |||||||||||||||||||||
佐伯会長: | ||||||||||||||||||||||
最後に、近畿会では3年前から関西経済活性化支援の一環として、大阪弁護士会・日本弁理士会近畿支部と共同でバイオ知識を持つ専門家養成を目的とした「バイオサポーターズ三会協議会」や、同協議会をベースに「関西バイオビジネス研究会」を立ち上げ、関西地域でのバイオビジネス起業支援を行っています。 更に昨年11月に、バイオに限定せず全ての中小ベンチャー企業への金融支援を目的として、大阪商工会議所と「中小企業の金融支援研究会」を立ち上げ、大阪銀行協会と組んで知的資産等の非財務情報を活用した融資制度のあり方について、今年7月を目処に提言を公表する予定で活動しております。この取り組みにオブザーバーとして近畿財務局・近畿経済産業局にも参加頂く予定です。 大阪市でも中小企業者向けの多様な融資制度をはじめ、創業やベンチャー支援のための様々な施策を展開されていますが、その現状は如何ですか。 |
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関 市長: | ||||||||||||||||||||||
大阪市では、新しいビジネスに挑戦する創業者や事業者に対し、ビジネスチャンスをつかむ機会や場を提供することにより、市場開拓や事業提携、投資促進を図る様々な事業を展開しています。 また、企業の成長段階や産業分野に対応した多様なインキュベーション施設を整備し、創業期企業の経営等をきめ細かく支援するなど、これからの大阪経済を担う中小企業やベンチャー企業の育成に取り組んでいます。 本市の中小企業・ベンチャー企業の総合的支援拠点である大阪産業創造館では、創業にかかるコンサルティングやセミナーを開催するほか、経理・税務をはじめ中小企業の経営全般に関する相談や専門家の派遣を行っています。また、将来性や意欲のある中小企業等に対する融資制度の充実を図るとともに、CLO(ローン担保証券)融資やCBO(社債担保証券)といった証券化手法を活用した資金調達方法の多様化にも取り組んでいるところです。 これら融資制度に加え、有望なビジネスプランを持つ中小企業やベンチャー企業と、金融機関とのマッチングの場を提供するなど、経営上の助言だけでなく、販路拡大や事業提携、投資など多角的な経営支援を行っています。 こうした各種セミナーの講師や経営相談の専門家として、またビジネスプランの市場性や成長性等の評価にあたって、多くの公認会計士の方々にご協力いただくなど、中小企業・ベンチャー企業の育成・支援策に貢献いただいています。 さらに、本市では、昨年7月に、近畿会の中小会社活性化委員会委員長にもご参加いただいて、「地域金融機能の強化に関する研究会」を立ち上げ、産業振興施策を金融面から強化するための方策について検討を進めています。 中小企業やベンチャー企業の中には、優れた技術を有しながらも、有形の資産が少ない、直近の決算内容が悪いといったことから、従来の物的担保等に頼った融資では、資金調達に困難を抱えるケースもあり、こうした企業の成長をサポートする、金融面にとどまらない幅広い取り組みが求められています。 こうした観点からも、近畿会を中心に立ち上げられた研究会で検討されているように、無形の知的資産など企業価値の的確な評価に基づいた新しい形の融資や投資の仕組みの充実など、創造的なビジネスに挑戦する中小企業やベンチャー企業が次々と生まれるような環境づくりに向けて、官民が取り組んでいくことが重要であると考えています。 企業価値の評価に基づいた資金調達の支援や、創業から株式公開に至るまでの企業の成長のサポート、さらに、企業会計だけでなくコンプライアンスも含めた企業情報の適正開示を通じた市場の信頼性の向上など、企業活動の様々な面で、公認会計士に期待される役割は今後ますます高まっていくと思われます。 今後とも、近畿会をはじめ関係機関との連携を深め、大阪経済を担う中小企業やベンチャー企業が、その特性である創造力や機動性を十分に活かして活躍できるよう積極的に応援していきたいと思います。 |
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佐伯会長: | ||||||||||||||||||||||
本日は、ご多忙なスケジュールのなか貴重なお時間を頂き改めて感謝申し上げます。冒頭に申し上げました様に「大阪」は関西経済の核ですので、今回の「市政改革マニフェスト」を関 市長の強いリーダーシップで推し進められますよう大いに期待しております。近畿会も出来る範囲でのご支援をさせて頂ければと思います。本日は誠に有難う御座いました。 | ||||||||||||||||||||||
注1)市政改革マニフェスト(案)は、会談後、正式に「市政改革マニフェスト(市政改革基本方針)」として公表されました。 | ||||||||||||||||||||||
注2)府市連携についての知事・市長会談は、平成18年2月14日に開催されました。 |