報告

モンゴル公認会計士協会と近畿会の交流について

 
はじめに
  10月24日に、モンゴル公認会計士訪問団10名(モンゴル公認会計士協会会長、モンゴル国財務省会計政策方法局長、公認会計士協会ウランバートル市支部長他2名、監査事務所経営者5名)が近畿会を訪問されました。近畿会を訪問された目的は、今年から3年間、国際協力機構(JICA)がモンゴル国財務省及びモンゴル公認会計士協会から要請を受け決定した「モンゴル会計・監査機能向上プロジェクト」に基づくもので、その研修の一環として日本公認会計士協会の地域会組織とその運営状況を把握することにあります。
 今回実施された研修は2週間のプログラムで実施されましたが、工場視察(アサヒビール吹田工場)と合わせて1日のスケジュールで近畿会の協力の下に行なわれました。
モンゴル国について
 現在、成田―ウランバートル間に定期便はありますが、関西空港からは夏期のみの運行となっており、成田から約5時間半、関西空港からだと約4時間半となっています。モンゴル国の国土は日本の4倍で、人口は約250万人で、首都のウランバートルに約90万人が生活されています。政治体制は大統領制で、議会制民主主義(1院・複数政党制)となっています。ビジネスアワーは、月曜日から金曜日で9:00〜18:00、昼休みは13:00〜14:00で、通常は土・日曜日は休みとなっているとのことです。
 皆さんご存知のようにモンゴル相撲がさかんで、日本では朝青龍ほか6名の力士が活躍中ですが、今回訪日されたメンバーの内に2名の親戚関係者がいらっしゃいました。ところで、朝青龍の意味ですが、「朝」は朝日として日の出の勢いを示し、「青」はモンゴルで最も高貴な色とされ、「龍」は天に昇る象徴とされます。
モンゴル公認会計士協会の概況
平成17年7月20日本部理事会資料から、モンゴル会計士協会を説明しますと概ね次の通りです。
1993年に会社法が制定され、1997年に監査法が制定され、国営企業や上場企業に対する監査の法的整備が行われました。
1993年に資格としての公認会計士が誕生し、2000年にCAPAに加盟し、2003年に国際会計士連盟に準加盟しました。
2005年現在、モンゴル会計士協会の個人会員は1290人で、内7割が首都ウランバートルに住んでいます。
民間セクターにおける会計監査が開始されて歴史が浅く、大手の監査事務所でも職員17名(内、公認会計士10名)といった事務所もあるようですが、国際監査規準に準拠した企業監査を実施しています。(なお、今回の訪問団のあるメンバーはモンゴルの最大級の監査事務所の副社長で、同社は57名の職員を抱え、準大手の国際的な会計事務所Nexiaと提携しているとのことです。)

また、今回の訪問団によりますと(聞き間違えがあるかも知れませんが)、

会員は主に監査(民間・公的機関)、税務及び教育研修に関する業務を実施しており、支部は全で22支部あり、ウランバートル支部に約700名が集中しているとのことです。
モンゴル証券市場に上場している会社は、約430社あります。しかし、こうした上場企業でも少数の大株主が過半数の株式を所有しているケースが非常に多く、証券市場についての意識が低いため、証券制度は必ずしも十分に発達していませんが、将来に向けたインフラ整備として公認会計士法が現在改正作業中とのことです。

1990年代初めに国有企業が民営化され時、300ドル相当の証券が無料で国民1人ずつに配付されましたが、その後、株式所有が無数の株主に分散し、経営者に対する株主の発言力がほとんどない状態では、国営企業のときと余り変わらないことから、モンゴル政府は、証券市場での株式の譲渡を認めることとしました。大多数の国民は、株式を持っていても配当があるわけではないため、株式を買いたいという人に売却し、その結果、ほとんどの上場企業で、株式所有がそれぞれ少数の大株主に集中する結果となったそうです。上場会社株式を大量に購入した人は、自己資金で大量の株式を買うか、又は銀行借入をして大量の株式を購入したようです。(この部分は、文献等で調べたものです)
研修・質疑応答
 近畿会での研修として、CAPA大阪大会、近畿会の組織・活動状況・財務内容等々を説明させて頂き、その後、質疑応答を行いました。既に日本公認会計士協会のレクチャーを受けておられたこともあり、ポイントを絞った質疑が行われました。会議の終わりに、モンゴル公認会計士協会会長(ドンドク氏)から、近畿会に対し来年の正式訪問要請と、2007年CAPA大阪大会への参加表明を頂きました。
 閉会後、CAPA大阪大会シンボルである大阪城を経由し、新大阪から東京へ戻られました。率直な印象として、皆さんが素朴な方々で、また新しく国づくりを行う熱意・情熱を強く感じ、近畿会としても出来る範囲での支援が出来ればと思いました。
今後の交流
 近畿会では、2007年CAPA大阪大会を契機に、アジアでの大阪・関西の存在感を高め関西経済活性化への社会貢献を重要施策としています。既にプサン・上海との友好合意を通じた人材・情報交流を図っておりますが、今回のモンゴル公認会計士協会訪問を受けて、ウランバートルとも地域会レベルの友好合意を検討してはと考えております。

(文責:佐伯 剛)