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中国公認会計士制度 |
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井上 貴司 |
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1. | 公認会計士(中国名:注冊会計師)の職務範囲 | ||
注冊会計師は適法なる注冊会計師資格を保有し、監査、会計相談あるいは他の会計関連業務を受託する。(注冊会計師法第2条) | |||
2. | 公認会計士が実施しうる監査業務 | ||
@. | 企業の財務諸表監査を実施し監査報告書を発行する。 | ||
A. | 企業の資本金を検証し、験資証明書を発行する。 | ||
B. | 企業の合併、分割あるいは清算に関連する監査を実施し、報告書を発行する。 | ||
C. | 法律、行政法規に規定する監査業務を実施する。 | ||
(注冊会計師法第14条) | |||
3. | 中国における会計士協会 | ||
中国では日本の公認会計士に該当する資格として“注冊会計師(士ではなく師)”がありその人数は12万人を超える。この注冊会計師を指導監督しているのが中国注冊会計師協会である。以下その概要について説明する。 中国注冊会計師協会は1988年に設立されその目的はサービス提供、監督、管理およびコーディネーションにある。その後国務院の指導に基づき中国注冊会計師協会は1995年に中国監査人協会と合併している。 2003年12月現在124,000人の会員がおりそのうち58,000人が会計士業務に従事する会員であり、残りの66,000は会計士業務に従事しない会員である。また、6,700の法人会員がいる。人口および面積に大きな開きがあるため単純比較は意味の無いことでは有るがざっと日本の公認会計士の8倍の会員数を有している。 また、中央のみならず地方にも協会があり、北京、上海、天津、重慶等の大都市はもとより黒龍江省、内蒙古、貴州、雲南等大都市以外の協会もインターネット上ホームページを持っており会員のためにサービス提供、監督、管理およびコーディネーションを行っている。 世界に対しても目を向けているようであり17の国と地域における20以上の職業会計人の団体と友好関係にあり、既にアジア太平洋会計士連盟会員である。さらには、近く国際会計士連盟のメンバーとなる予定である。 |
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4. | 中国における公認会計士試験の概況 | ||
中国における公認会計士試験の概況はつぎのとおりであり日本における公認会計士試験とは内容が異なる。この公認会計士試験の運営にあたるのは上述した中国注冊 会計師協会である。一定の基準を満たす必要があるが中国公民のみならず香港・マカオ・台湾および外国籍の人も試験参加することが可能である。 |
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・ | 実施頻度およびその時期 | ||
年に一度の試験であり毎年秋頃に実施される。 | |||
・ | 試験科目 | ||
会計、監査、財務原価管理、経済法、税法 | |||
・ | 合格の基準等 | ||
各科目別の合格となっており100点満点のうち60点以上が合格ラインである。また、合格科目の合格後4年間の持ち越しが認められており期限内に5科目全部に合格すれば公認会計士協会への入会申請が可能である。 |