副会長に再任して

副会長 中務 裕之

 
 
 この度副会長に3期目となります。正副会長の中で大手法人勤務でないのは私だけになってしまいました。本部理事でもありますので、近畿会副会長としての職責と本部理事としての職責を連携して果たしていきます。
1. 今期の担当は
   総務部、会員業務部、法務会計委員会、中小企業活性化委員会を担当します。
 各部、委員会の活動内容はそれぞれの部長、委員長の方の説明をご覧いただきたいですが、それぞれ、新しい切り口での活動が期待できると思います。
2. 会務への会員の参加を多くしたい
   毎期申し上げていますが、より多くの会員の方が会務に参加することを望みますし、今期はそのことに力を入れたいと思います。                                                                  これは政治連盟についての参加も同じです。
 また赤字の協同組合の利用の促進も図りたいと思います。(解散にでもなれば図書を安く買えなくなります)
 2年前の就任挨拶でも会員の参加を呼びかけたのですが、書くだけでは効果は期待できません。今期は直接の声がけをしようと思いますので、声をかけられた時には、よろしくお願いします。
3. CAPAの準備
   ご存じの方はどれ位いらっしゃるでしょうか。アジア・太平洋会計士会議(CAPA:Confederation of Asian and Pacific Accountants )の10年に3度の会議が2007年10月に大阪で開かれます。(10年に3度というのがユニークですね)
このための準備が各担当に分かれて進んでいます。有意義で楽しいものしたいと思います。
4. 個人会計士の行く末は
   ますます大手監査法人の業務比率が高まっているのではないでしょうか。
 個人、中小法人の業務ドメインは何でしょうか。会計士が多数化、多様化していく中で、私のような個人事務所開業会計士の居場所を確保、開拓していきたいと思います。このためには是非、皆さんのお知恵をお借りしたいです。
5. 監査の品質管理の厳格化
   大企業等の監査を行っている会員の方は感じておら   れるでしょうが、監査の品質管理の厳格化が進んでいます。金融庁はより一層の監督強化を進めます。監査は一層手間がかかり、コストがかかることになります。また会計士のミスに対する責任追及も厳しくなります。
 広く他の専門士業と比べた場合、品質を統一化しようという動きが監査の世界だけがなぜ厳しいのでしょうか。監査の問題が報じられるときは、「特定の公認会計士が起こした」というニュアンスではなく、「会計士全員の監査に問題がある」というニュアンスが強いと思います。弁護士や医師が問題を起こしたときとは反応が違います。また他の士業ではマニュアル制定やレビューなどをさほど、又は全く行っていません。人の命を預かる医者ですら、問題を起こしていない病院における医療行為を定期的にレビューすることはしていません。
 またこれらの品質管理を国際的に行おうとしているのも会計士業界特異なことです。
 なぜにそのような期待が強いのかを考え、社会のニーズを理解して対応して行く必要があります。
6. 会計士の多数化、競争促進
   会計士の多数化が進みます。監査以外の領域での活躍が期待されています。したがって協会は監査への対応以外に他の領域への対応が必要となります。また多数化が進めば、継続的専門研修制度などの品質管理について、監査業務とそれ以外について区分していくことが必要になると思われます。
 多数化し競争が促進されれば、品質を一定に保つことは困難になることは明らかです。「サービスの良し悪しは顧客が判断する」という市場原理は監査の世界では働きにくいです。というのは例えばレストランの場合でしたらサービスの提供者と受益者が直接的に相対しますが、監査の場合は、監査を依頼するのは株主総会で、会計士と株主、債権者とは目に見える直接的な関係ではないからです。 
 多数化、競争促進と品質とをどのように調和させるかが課題になると思います。監査業務とそれ以外の業務を区別して整理する必要があるように思います。
7. 会計と監査の精緻化について
   会計や監査は人や地球を幸せにする「道具」です。精緻化が常に最善とは限りません。 上場企業のように精巧な道具を必要としている会社もあれば、会計という道具を使えればそれでよいという中小企業があります。
 建築に例えれば50階建てのビルを作る技術や建築基準というものと、2階建ての木造住宅を作る技術や基準は同じである必要がないので、会計や監査においても会計士としての実績を踏まえた上で環境の整理をリードしていくことが必要と思います。