年頭所感

日本公認会計士協会
会長 藤沼 亜起
 
 新年明けましておめでとうございます。
 平成17年を迎え、近畿会の会員・準会員の皆様に謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 昨年7月6日、会長に就任してからは、各地域会の総会等への出席をはじめ中期計画の策定、一部上場会社の不適正な開示情報を巡る問題の対応などに、大きなエネルギーを費やしました。
 本年は、監査実務の充実に向けて大きな転換点になるよう、会員の皆様のご協力を強くお願いしたいと思っております。
1. 公認会計士・監査審査会
   昨年4月に発足した公認会計士・監査審査会は、日本公認会計士協会の自主規制の下で行われている監査の品質管理レビューをモニタリングすることが主な役割になっています。したがって、協会と会員は監査の品質管理の改善に主体的に行動することが強く望まれております。また必要があれば審査会は、協会又は監査事務所に改善勧告をすることができ、協会と監査事務所はそれを確実に実行することが求められます。近畿会の会員の皆様には、今後も財務情報の信頼性を確保することなど公認会計士に課せられた使命を達成するためのご努力をお願いいたします。
   
2. 中期計画の策定
   会長就任時に、ビジョンの明確化と執行部の達成課題を提示しましたが、現在、現執行部の任期3年にわたる中期計画を策定中です。その主な内容についてご説明いたします。
 ・監査実務の充実
  監査実務の充実は、最重要課題と思っています。昨年9月16日付で会長通牒「監査実務の充実に向けて−十分な監査時間数の確保の必要性−」を発出しました。先進諸国と比べて監査時間に1.1から2.8倍の不利差異があること、一般的に実証手続に監査時間が多く費やされ、監査計画などの評価や検証に十分時間が配分されていないことが明らかになりました。監査上のリスクを見逃さないためには、監査時間を十分に確保し、監査計画と内部統制システムの評価の段階で企業の固有のリスクと統制リスクを把握し、実証手続に結び付ける必要があります。 協会としては、「監査の充実強化策に関するプロジェクトチーム」を設置し、新たな制度の確立も含め、多面的な働きかけをしていきたいと考えております。
 ・中小事務所の業務支援
  中小事務所の業務上の手助けとなる実務指針の開発などについて、新たな角度から取り組むべくプロジェクトチームを設置いたしました。PTでは、中小企業への任意監査導入など業務の拡大策も検討する予定です。また、CPEについては、リスク・アプローチによる監査やIT監査などの分野の研修を強化していくつもりです。
 そのほか、新公認会計士試験制度への対応など多くの課題を抱えていますが、パブリック・インタレストの保護と公認会計士制度のより一層の発展のため皆様のご協力をお願いします。
 年頭に当たりまして、会員の皆様のご健勝と益々のご活躍をお祈り申し上げます。