厚生部

芦原温泉越前ガニ・ツァー

岡本 善英

 
 近畿会の旅行部・写真部の恒例になっている1泊旅行に参加しました。今年は11月14日(日)〜15日(月)の日程で芦原温泉へ越前ガニを食べに行くツァーです。ちなみに、昨年は鳥取県の三朝温泉の松葉ガニ・ツァーで、最近はカニカニ・ツァーになっているようです。
 参加者10名は、11月14日の昼前にJR大阪駅を出発し、特急サンダーバードで一路、福井県の芦原温泉駅に向かいました。車中で昼食の駅弁を頬張り、ビールを飲んで談笑しているうちに、2時間程で芦原温泉駅に着きました。駅まで温泉宿のバスが出迎えにきいて、バスに乗り込み、車窓から温泉街を見ていると大小さまざまな温泉宿が立ち並び、さすが県下随一の繁華な温泉地だと感心しているうちに、我々が宿泊する温泉宿「八木」に到着しました。「八木」は芦原温泉地のメイン・ストリートに面していて、そこに4件の格式のある温泉宿が軒を並べています。「八木」もそのうちの1件で創業百余年を誇る寛ぎの和風の宿で、名物の庭園露天風呂は宿泊客の旅の疲れを癒してくれると好評のようです。
 温泉宿「八木」に着いて、一息ついてから大浴場に入湯。芦原温泉の泉質はナトリウム・カルシュウム塩化物泉で無色透明、サラッとした湯でヌメリがなく肌に優しい感じです。温泉で体を温め、食欲も出てきたところで今夜の宴会場に全員集合。
 まず、代表世話人の木村功先生のご挨拶に続いて、僭越ながら私の乾杯の音頭で宴会は始まりました。料理は言わずとも知れた越前ガニ。お膳からはみ出そうな1匹まるごと の茹でガニ、カニの天婦羅、カニの鍋物、焼きガニ、カニ寿司、カニの味噌汁とカニ三昧です。カニのフルコースに舌鼓を打っていると、1人だけ全く食の進んでいない人がいます。その人は、カニ・アレルギーでカニを全く受け付けないとのことで、お気の毒と言いながらその人のカニを他の者が食べてしまう有様でした。それにしても、諸先輩方はよく食べてよく飲まれます。諸先輩方のバイタリティーは、この食欲からきているのかと感服致しました。宴会の後もカラオケで自慢の喉を披露され、その後、露天風呂にも入湯しその夜は更けました。
 翌朝は、あいにく雨模様の天気でしたが、皆元気に宿を出て定期観光バスに乗り込みました。最初に向かったのは、北陸の観音霊場「瀧谷寺(たきだんじ)」で自然の丘陵を生かした庭園は日本名勝庭園の一つの数えられるという閑静なお寺でした。「瀧谷寺」を後にして、次に「東尋坊」に向かいました。「東尋坊」は巨大な柱のような奇岩が1kmほども続き、見事な景観を呈し、断崖には日本海の荒波が打ち砕けていました。「東尋坊」の名称の由来は、怪力の坊さんを懲らしめるため、断崖から海に突き落としたところ、その坊さんは東の極楽浄土の方を拝んで(尋ねて)昇天したところから、「東を尋ねる坊さん」だそうです(ヘぇヘぇ)。また、「東尋坊」は自殺の名所で、年間30〜40人の自殺者があるとのこと、ということは、10日間に1人が自殺する勘定になり、そのあたりに成仏されない霊魂があまた浮遊しているのではないかと背筋が寒くなりました。
 次に、「永平寺」に向かいました。その門前の食堂で昼食となり、そば・とろろ・田楽・豆腐等の精進料理を賞味しました。「永平寺」はNHKの行く年来る年にもよく出る全国的に有名なお寺です。「永平寺」は西暦1244年に道元禅師によって開かれた坐禅修行の道場で、現在は曹洞宗の大本山として、僧侶の育成と檀信徒の信仰の源となっています。坐禅は修行の根本で、背筋を伸ばして姿勢を正し、静かに息を整えて坐れば、心も自ずと正しくなり、み仏の徳がそなわるということだそうです。境内には大小70余の建物が並んでいて、寺院の規模、僧侶や修行僧の多さには驚かされます。また、伽藍(寺院の建物のこと)の中で一際目を引くものに、156畳敷き「絵天井の大広間」があります。絵天井は花鳥風月を描いた色彩画で飾られていて、寺院全体が質実剛健な雰囲気の中で、この大広間だけが優雅で別世界のような印象を受けました。
 定期観光バスで最後に訪れたのが、一乗谷朝倉氏遺跡です。この一乗谷は永平寺からバスで20分ほど南下した山間に位置していますが、この夏の台風による水害で水浸しになり、その遺跡のあちらこちらにその傷跡が残っています。近くの川の橋は、橋下駄だけが残り無残な姿を晒していました。朝倉氏は南北朝時代にここ一乗谷に城を築き百年余り繁栄しましたが、織田信長に敗れ朝倉氏は滅び、城下町も焼き討ちにあい灰燼に帰しました。遺跡は一乗谷川にそって南北に500m余りにわたって現存しています。現在、遺跡の復元作業が行われていて、武家屋敷や庶民の町屋が形成されていた様子がリアルに再現されていました。
 一乗谷朝倉氏遺跡に別れを告げてJR福井駅に戻り、特急サンダーバードに乗り全員無事に大阪に帰ってきました。
 今回の旅行は、料理も観光も充実した内容で楽しい一時を過ごさせて頂きました。最後に、旅行のお世話をして頂きました旅行部・写真部の代表世話人の木村功先生に厚く御礼申し上げます。