年頭所感

日本公認会計士協会近畿会

会長 西田 隆行

 
 新年 明けましておめでとう御座います。
 最近の経済記事を見ますと、日本経済はバブル崩壊から十数年経過し、企業の財務内容もかなり改善されていると言われています。
 一方では、企業の投資が慎重になり、稼いだ資金を新規投資に回す、攻めの運用以外に有利子負債の圧縮や自社株買いにまわすといった一面も指摘されているところです。
 政府は、昨年の景気を、前半は「着実に回復」、7月にはバブル以後最も強い表現で「堅調に回復」と月例報告で表現しました。
 ところが原油価格の高騰等で11月、12月と連続して評価を下方修正しています。ドル下落が進み、アメリカの巨額赤字が今後ともこの基調で続くならば今年の日本経済は厳しい情勢に立ち向かわねばならないとの予測も出ています。
一方では、今年は郵政民営化等に代表される改革効果が進み着実に経済が良くなるとの見方も出ています。
 日本経済は、低経済にも耐えれる能力を持ちつつあることはバブル以降の動向を見ても事実であると思います。
 さて、会計士業界に目を転じますと、
 @2005年問題は2年延長されましたが、資金を借りて資産を購入したことに他ならない「リース会計」、簿価引継ぎを認めている「企業結合会計」等といった大きな相違点について的確に対応していく必要に迫られています。
 A公認会計士法が昨年4月1日から施行されました。独立性強化、CPE義務化、指定社員制度導入、監査法人や広告規制の緩和、公認会計士・監査審査会による立入調査権の導入等が具体的に運用されています。
   昭和23年に制定され、昭和41年の監査法人制度導入、平成4年の試験制度に短答式試験の導入以来の3回目の改正でした。改めてその改正内容について御認識頂ければと思います。
 B「会社法制の現代化」の名のもとに、改正作業が着実に進展しています。大きな改正であること、わが業界にも大きな影響が予想されると思います。早ければ来年前半にも法案化されるかもしれません。
 有限会社がなくなり株式会社に一本化される、最低資本金制度も撤廃される、監査法人も検討される新しい会社類型である「合同会社」制度等、注目していく必要があります。
 さて、現在の執行部は予算年度では余すところ3ヶ月余りとなりました。
 各部・委員会には積極的に事業計画の沿った活動を展開して頂いています。私は、公認会計士制度の社会からの更なる理解を深めていただく為にはどのような活動が必要かを念頭に考えて参りました。
 その為には、会務活動の成果を積極的にマスコミ等を通じて公表していく、公認会計士制度の理解を高校生レベルも含めた幅広い範囲に広げていく、更に専門士業「弁護士会・弁理士会・不動産鑑定士協会等」との連携による研究活動等を出来るだけ積極的にお願いしてきました。
 最近の会計処理は、過去情報のみならず将来予測をベースにしたところで検討されることが非常に多くなってきています。
「税効果会計」、「減損会計」、「継続企業情報」等、今までの実証手続きでは出来ない、確認できる「監査モデル」がない状況が今後ますます拡大していくことが予想されます。
 利害関係者と幅広く、また、いろんな専門家と連携しながら知恵をお借りする等、幅広い協会活動を推進していくことが必要であると痛感しています。
 最後に2007年開催のCAPA大阪会議に向けまして、まずは、「日中韓」の交流を積極的に展開すべく予算措置も含め「国際交流委員会」を設け活動してきました。
 その結果、「大韓民国プサン会計士会」とは交流に向けた具体的な覚書の調印に向けて進んでいます。
 中国上海会計士協会とは、会長選挙中でもあり、終了しだい交渉を再開する予定であります。
「日中韓」を核にグローバル化する経済に対応すべく積極的な情報交換と会員への情報提供等も出来ればいいと考えています。
 皆さんの積極的な協会活動へのご支援をお願い致します。
年頭に当たりまして、会員の皆さんのご健勝とご発展を心からお祈り申し上げまして新年のご挨拶とさせて頂きます。