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最近の企業の不祥事や環境問題についてよく「企業の社会的責任」という言葉を耳にすることが多くなりました。英語では「CSR:Corporate Social Responsibility」といわれています。このキーワードは過去にも何度か取り上げられていますが、それは人権問題に対するものであったり、公害問題に対するものであったりしました。また、その当時も企業に社会的責任があるのかという議論がされていました。 それは企業論として、企業は「利潤の最大化」を単一目的とする社会の器と考えるか、あるいは、企業は利益追求はするがその社会・環境への影響の大きさや企業だけで生き残れないという観点から社会の一員として活動する器と考えるかの違いでもあるようです。所有と経営の観点からも、その分離が不十分な中小企業などのオーナー企業では所有者が経営者であり、専門経営者がいたとしてもその経営は社会のためではなく、所有者中心の利益追求型経営となっています。しかし、資本調達が高度に分散されればその経営は専門経営者に移行し、所有者から分離した経営者支配になっていく傾向にあります。 また、今日の社会・顧客は企業の勝手な論理の経営には「NO」を突きつけることも多くなり、企業が持続的成長をしようとするとステイクホルダーを無視したり特定のステイクホルダーに偏ることもできません。その結果、経済・社会・環境を重視した経営をすることが企業の成長に欠かせないと専門経営者は認識し経営するようになってきています。 このような社会の変化や企業体質・規模の変化は、過去の企業の社会的責任論と異なり、企業の自主的な取り組みを求めていて、その「責任」は、obligationという消極的なものでなく、abilityという積極的・自律的なものあり、「企業の使命」と考えたほうがいいのかも分かりません。 |
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( 会報部:松尾 雅芳) |